「暮らしをもっとおもしろく」。
仕事もプライベートも
建築にのめりこみ“すぎ”

建築本部 統括部
2018年 新卒入社・総合職

コスモスイニシアには常軌を逸するほど何かに熱中し、極める。いわゆる“おたく”が数多くいる。
それは業務に直接的に関わることだけにはとどまらない。例えば登山、筋トレ、料理、コーヒー……なんでもござれだ。

様々なバックボーンや趣味を持っている社員が多くいるからこそ、化学反応が起き、新たなアイデアが生まれ、数多の「Next GOOD」を創出できているのかもしれない。

そんな、コスモスイニシアの新たなアイデアが社会にも認められていることを示す一つの指標がある。
名前を聞いたことがある人も多いかもしれないが、「グッドデザイン賞」という、産業の発展とくらしの質を高めるデザインを評価する日本で唯一の表彰だ。
コスモスイニシアは、集合住宅部門で21年目、累計51プロジェクトを受賞。

その取りまとめを担当し、立役者となった向山もまた何かを極める一人だ。

建築学部を卒業し、いまでは建築本部で働く彼は平日はもちろんのこと、土日の休みを利用し、セミナーをはじめ、巷で開催されている建築の展示に足繁く通い、本を読んでも映画をみても、24時間365日といっていいほど“モノづくり”のことばかりを考えている。

そんな社内きっての“建築おたく”、向山を紹介しよう。

クリエイティブ脳は親譲りのDNA。
物心ついた時からモノづくりが好き

彼の両親がコピーライターとして活躍していたこともあってか、幼い頃から小説などの活字に触れることや、模型の工作など何かを想像して形にしていくことが好きだったという向山。

その流れの中で、彼は大学で「建築」という大きなモノづくりを本格的に学ぶことを決めた。
そして、他の学生と同様に就職活動を迎えたのだが、人一倍思慮深い彼は就活の際、その時の建築業界と自分の志向を照らし合せた結果、疑問点があったという。

「単純に家を設計する、という形を作るのではなく、どんな住まい方をしたら楽しいかということがしたかったんです。
 でも、ハウスメーカーなどに入ったらそれができない可能性が大きい。
なので結局、そのときは就職の道をやめて大学院に行きました」

それで進んだ大学院時代、「この時間はほぼ様々な企業のインターンやワークショップにとにかく参加していました」といい、その数はおよそ約50社にものぼる。

一方で、当時大ブレイクした「人狼ゲーム」に大ハマりし、プレイ動画を見る中で、“職業は遊び人です”と語る人物を見つける。
なんとも突拍子もない事を言うその人物の発想から、自分も「不動産や建築を遊び倒せる人になれたらいいな」という思考が湧いてくる。

とはいえ数多のインターンやワークショップを経験してきただけに、就活もすんなりと決められたわけではなかった。
“自分とは一体何者なんだろう”、“自分は何者になりたいんだろう”というところをぐるぐる思考しながら探る日々。

気に入った理念の企業が見つかっても、その企業にとっては「即戦力」──つまりキャリア採用となる人しか、採用していないという。
自分の希望はすぐには叶わない。それならば「早めに力をつけられる会社へ」と、成長環境として、そしてモノづくりもしているコスモスイニシアを選ぶことにしたのだ。


「見せ方を変える」「暗黙知を言語化する」
——— 多角的に「暮らし」をとらえたい

入社後、向山は社内の一級建築士事務所に配属となった。
一級建築士事務所では、建築部では行っていない建物の設計・工事監理を一級建築士事務所として受注しているほか、グッドデザイン賞受賞に向けた戦略立案・事務局も担当しており、物件の選定からプレゼンの策定まで期間にして半年以上をかけて準備する。

「この会社すごいな、面白いなと思ったのは、入社1年目の“ぺーぺー”の私でも、『グッドデザイン賞』の表彰式典に参加させてもらえるんです。
他社の方は10年、20年かけてその境地にたどり着けるところを、私はまだ入社したばかり。
こんな経験を積ませてもらえることは本当にありがたかったです」

そのグッドデザイン賞で印象深かったのは、2年目を迎えた時のこと。
自分が入社する以前に竣工していた、とある都内の物件を応募プレゼン作成のために見学した際、「こんな暮らし方提案ができるのでは!?」とビビビ!ときたという。

世の中のマンションを見渡すと、4人家族を想定したファミリータイプの3LDKか、単身を想定したシングルタイプの1LDKが主流。
その物件においてもファミリータイプの3LDKが作りたかったのだが、設計の関係上どうしても二人暮らしでしか暮らせない部屋ができてしまったのだった。

「でも、2人暮らしという単位って結構需要があると思うんです。
 新婚さんをイメージしがちですが、子どもたちが育った熟年夫婦、または親子ということもあります。
実際、この物件はそうした方々に評価されました」

この世の中に照らし合せた時、2人という単位の空間提案は希少だとし、企画書ではその暮らし方の多様性と有効性をストーリー化している。

この発想と商品化が評価され、向山が挑んだ表彰の舞台で受賞が叶った。
このときの想いを彼はこう語る。

「世の中にうまくいっていないもの、変なものというのは必ず存在します。でも見え方を変えるだけでおもしろくなったり、価値がうまれたりする。
僕は実は受験も失敗していて、最初から建築学部に行きたかったわけではなかったんです。でも、大学受験に失敗したからこそ今がある。
失敗やアクシデントがあると何かが起こり、やるしかなくなる。その結果、異なる観点が生まれて、それを誰かに伝えることができる。
そういうことに価値があると思うんですよね」

入社して3年が経ったとき、彼は建築本部統括部統括課という部署にいた。
建築本部の全体を見渡し、既存商品のフォローアップや商品企画、予算管理や戦略促進、人材育成やICT推進まで、幅広く実施している部署だ。

その中の一つの仕事で、「商品企画ガイドライン」の策定を行った。

物件を建設していくためには「商品のコンセプト」が必要になる。
これを建築担当がひとりで、コンセプト立案から商品企画まで考えていくのだが、部署を超えて打合せを重ねていく中で反論・異論などによりブレが生まれることがある。これでは時間と労力に大きなロスがあると感じたという。

そこで効率化をはかるために、社内の建築担当のための「商品企画ガイドライン」として、ターゲット層の言語化や抽象的になりがちなマーケティングキーワードを“見える化”したのである。

「これにより、建築担当一人ひとりがアツい想いを持って向き合っている物件の商品企画のこだわりをさらにパワーアップしたかったんです。
また、お客さまが言葉に表せないニーズを、言葉にしていないがために『ないもの』としていることにも違うんじゃないかと思っていました。
格好いいもの、おしゃれなものは簡単にできても、お客さまのとっての価値がないと意味がないですよね」

とも向山は語る。

その他、ESGプロジェクトや、社内物件のフラッグシッププロジェクト、建築部初のアイデンティティプロジェクトなど、直接建築にかかわるものだけではなく多角的に関わっている。


いつでも、どこでも、みんなで
「暮らしをおもしろがっていきたい」

休日に何をしているのかと問うと、有名な建築物を見に行ったり、美術館や展示会などに出向いたりすることが多いという向山。
そうした「一流の世界」と「素の自分の世界」を行ったり来たりしながら、着実に知識と経験を積み上げていきたいらしい。

そして、一時期には週一度と回数を決めて、建築本部内の社内チャットに一方的に自分がインプットした情報を発信していたそうだ。

「自分が感じたことを言語化するというか、言葉の噛み砕きをしていくことが結構好きで、そうやって自分自身も思考の整理をしています。
僕がそれを何かアイデアにできなくても、ただアウトプットしているだけでも、誰かの発想の種になるかもしれませんから」

また、彼の中ではマイブームがあるそうで、最近は“電車”がめちゃくちゃ熱いテーマとのこと。

「電車の車両に“雨どい”があるって知ってました?
雨の日にホームで停車している電車を見てほしいんですが、縦樋から雨水がバシャバシャ音を立てて落ちているんですよ。

あの雨どいは2類類あって、たとえば田町駅(会社の最寄り駅)を走っている京浜東北線と山手線でも違うんですよね。
これって、戸建ての雨どい設計などにも活かせそうだと、社内のみんなを誘って埼玉の『鉄道博物館』にツアーを企画しました。
いろいろ知ってほしいなと思って自作のパンフレットをつくっていたら、10ページ超えの大作になりました(笑)」

と、非常に楽しそうに語ってくれた。

建築、設計にこだわることはもちろん、社内ガイドラインであったり、遊びのパンフレットに至るまで、とにかくモノ作りが好き過ぎる──というよりおたくの域だ。

最後に、なりたい自分の理想像を訊くと

「やっぱり、暮らしをおもしろがっていきたいんですよね。
そのためには、楽しみ方を知ることももちろん、他者を巻き込むことも必要だと思っています。

自分は文化や暮らしが好きですが、ある本に『建築だけで文化を語るな』という一説があって、すごく印象に残っています。

自分は建築学部を卒業しましたし、会社でも建築本部に所属していますが、いわゆる“建築”だけには意味がないと思っています。
だからこそ、全領域の知識が必要ですし、あらゆる事柄を暮らしに結び付けたい。自分だけではできることも限られているし、自信もないですから、人と人とをつなぎ、みんなでおもしろがっていきたいです」
思慮深い向山らしい、そして志の高い、なんとも頼もしいコメントが返ってきた。

仕事もプライベートも関係なく、建築——いや、暮らしに“のめりこみすぎ”ている向山。

そんな向山も、夜空に輝く一つの星。
コスモスイニシアという大宇宙にはまだまだ数多の“おたく”という星があり、日々輝いている。

そんな“おたく”たちが自らの領域や仕事においてこだわり、のめりこみすぎている。
それもまたコスモスイニシアの特徴であり、Next GOODを生み出す源泉のひとつなのである。