昨年暮れに平成29年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回はそのうち主に個人の税金にかかるものにつきご紹介していきます。
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し(平成30年分以後):所得税 ①配偶者控除
※住民税においても平成31年度分以後、70歳未満の配偶者については上限33万円、70歳以上の配偶者については上限38万円として段階的に控除額が設定されます。
配偶者の所得金額が年38万円(給与収入であれば年103万円)以下の場合に適用を受けることができる配偶者控除につき、納税者本人の所得金額が年900万円(給与収入であれば年1,120万円)を超えると控除金額が逓減し、年1,000万円(給与収入であれば年1,220万円)を超える場合には配偶者控除の適用はできないこととなります。
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し(平成30年分以後):所得税 ②配偶者特別控除
※住民税においても平成31年度分以後、納税者本人の所得金額に応じて段階的に控除額が設定されます。
配偶者の所得金額が年38万円超76万円未満(給与収入であれば年103万円超141万円未満)である場合に適用を受けることができる配偶者特別控除につき、配偶者の所得金額の上限が年123万円以下(給与収入であれば年201万円以下)に引き上げられ、配偶者控除と同様納税者本人の所得金額が年900万円(給与収入であれば年1,120万円)を超えると控除金額が逓減していくこととなります。なお、現行制度と同様に納税者本人の所得金額が年1,000万円(給与収入であれば年1,220万円)を超えると配偶者特別控除の適用はできないこととなります。
積立NISAの創設:所得税
手元資金の少ない若年層の利用を促進するため、非課税期間が長く、少額からの積立分散投資を対象としたNISA制度が平成30年に創設されます。現行のNISA制度との選択制となります。
タワーマンションに係る固定資産税評価額の見直し:固定資産税
平成30年度から新たに課税されることとなる高さ60mを超えるマンション(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)については、1階上昇するごとに約0.26%の固定資産税評価額が上昇する措置が講じられます。
広大地評価の見直し:相続税
これまで面積が1,000㎡以上の土地(三大都市圏では500㎡)の評価については、土地の形状等にかかわらず路線価と面積に対応した評価 方法を採用しておりましたが、不整形や奥行きなどを考慮した補正率を導入する評価方法へ改められることとなりました。
平成30年1月1日以降に相続、遺贈または贈与により取得した土地の評価に適用されます。
医療費控除に必要な添付書類の簡略化:所得税
平成29年分以後の確定申告から、医療費控除に必要な書類が現行の医療費等の領収書に代えて、医療費の明細書(協会けんぽから交付を受けた医療費のお知らせ等)や医療費の購入明細書とされる改正が行われます。
次回は、前回までの非上場会社の事業承継の続きで自社株式の株価引き下げ対策についてご紹介いたします。
税理士 西村敦正氏
株式会社BAMC associates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。