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人口動向、世帯数推移、都市間移動人口データから不動産市場を知る~データで読み取る不動産知識(1)~

人口動向、世帯数推移、都市間移動人口データから不動産市場を知る

賃貸住宅市場は、人の移動と密接な関係があります。人々が移動する背景には進学や就職、転勤、結婚など生活様式の変化があり、移動後は早期に居住空間を確保する必要があるからです。不動産経営にあたっては、人口の移動や世帯の変化などの動きを把握しておくことが不可欠です。

世界人口は77億人、日本には1.2億人

日々生活を送っていると、人口はどれくらいなのかを意識することはまずありません。しかし不動産経営は、人々が移動することによって成立するビジネスといわれます。大まかでもその動向を知っておけば、経営の大きな失敗は防ぐことができるのではないでしょうか。人口動向を掴むひとつの手立ては、数字を知ること。必ずしも正確に覚えておく必要はありません。インターネットで即座に情報を入手できる時代ですから、大雑把で構いませんので、その数値を覚えておきましょう。

出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」

国際連合の調査「世界人口推計2019年版」によれば、世界人口は77億人。2050年には100億人に達するといわれています。わが国の人口は外国人住民を含めて1億2744万人(前年比26万3696人減)。これは総務省が毎年、住民基本台帳法に基づいて住民票記載者の数と世帯数を集計し、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」として公表している2019年1月1日現在の数値です。「日本の人口は約1億」と昔からいわれてきました。あまり変化はないようですが、1968年に調査を開始して以来最大の減少数を記録し、2010年から10年続けて減少しています。

 

自然増減と社会増減

人口の動態を2つの要素から算出した数値が「自然増減」と「社会増減」です。初めて聞く言葉かもしれませんが、人の増減や移動は住宅の需要と供給と大きく関わっているので、この数値は不動産経営を続ける上での大まかな判断材料のひとつになります。自然増減とは、生まれた者の総数から亡くなった者の総数を引いた数値。出生者が死亡者を上回れば自然増加になり、その逆になれば自然減少になります。

都道府県別の自然増加率でプラスになっているのは沖縄県だけで、同県を除けば少子化が進み、平均寿命が上昇しているわが国の特徴が明確に表れています。沖縄県は40年前に調査を開始して以来、連続して自然増加率トップを維持しています。少子化と人口減で自然減少が進むと住宅ニーズは先細り、新規の住宅着工戸数が減少すると予想されます。そこで中古住宅市場が注目されます。わが国では依然として新築住宅信仰が強いですが、国はこうした住宅事情を改善するため、中古住宅の流通促進を狙いに優良中古住宅の普及を目指す「安心R住宅」などの対策を取っています。

社会増減は、2つの地域の間で人の出と入りを示す数値。ある地域から別の地域に転入した者の数と、転出した者の数の「差」です。転入者数が転出者を上回れば社会増加、その逆が社会減少です。2010年から転入者数が多い「社会増加」が続いており、そのトップは当然ながら東京都。2018年は8万5000人。神奈川、千葉、埼玉と首都圏が上位を占め、福岡、大阪、愛知が続いています。

わが国では、1970年代の高度経済成長期から一貫して社会増加が定着しています。大都市への人口流入が加速し、地方の過疎化も進んだことが数値にも表れています。首都東京に流入する人々がいかに多いか。社会増減を見れば明らかです。

 

「世帯」は今後、どのような変貌を遂げるか

「世帯」とは、住居と生計をともにしている人またはその集団を指します。国立社会保障・人口問題研究所の調査は、「単独」「夫婦のみ」「夫婦と子」「ひとり親と子」「その他」の5つの家族類型を採用しています。同研究所は5年ごとに調査しており、「日本の世帯数の将来推計(2018年)」によると、世帯総数は2023年にピークに達し、2040年には5000万世帯にまで減少すると予測しています。また、「単独」世帯や「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が増え、65歳以上の高齢世帯が増加。高齢者の独居率が上昇するとの予測を立てています。

人口が減少し1人あたりの世帯構成人員も減っているのに世帯数が増加している背景には、ライフスタイルの変化があるようです。未婚率が上昇して単独世帯が増え、子どもを持たない夫婦や、いわゆるシングルマザーなどの「ひとり親と子」など、世帯が多様化しているのです。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)

生活様式が多様化すると賃貸住宅のニーズは高まると見られています。世帯が増えれば(多様化すれば)、住居はその分必要になるからです。単身世帯を構成する人の多くは比較的若い世代。彼らは持ち家志向が低く、住居は賃貸で構わないと考える人が増えています。シェアハウスに住み、家賃を「シェア」することを厭いません。また高齢者の中でも単身世帯が増加することを考えると、将来は単独世帯の比率がより高まると思われます。

 

3大都市圏における人の流れは?

東京・名古屋・大阪の「3大都市圏」は、わが国の中で人口が集中している地域です。総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告 2018年結果」によると、2018年の3大都市圏の転入・転出超過数で東京圏は13万5600人の転入超過。前年に比べ1万5821人増加しています。一方、名古屋圏は7440人の転出超過となっており,前年に比べ2461人拡大。大阪圏は7907人の転出超過で前年比918人縮小でした。東京圏の転入超過は1996年以降23年連続、名古屋圏及び大阪圏の転出超過は2013年以降6年連続となっています。

出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2018年結果」

1960年代初頭の経済成長期では、3大都市圏への人口集中がピークに達していました。しかしそれ以降は徐々に地方への人口分散が始まり、関西圏では70年代中盤から転出者が転入者を上回る「社会減少」が始まり、現在に至っています。名古屋を中心にした中部圏も転入と転出が拮抗する状態が続いています。東京圏もバブル崩壊の90年代中盤に転出者が増加しましたが、それ以降は一転して転入超過になっています。

3大都市圏の中では東京の「独り勝ち」が続いていますが、今年世界を巻き込んだ新型コロナウィルスは、人々の生活スタイルを一変させました。首都東京における一極集中が今後も続くのか、あるいは50年前のように地方への分散が再来するのか。注視していく必要がありそうです。

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