地域に貢献し、不動産の価値を最大化する新しいオフィスのかたち「MID POINT(ミッドポイント)」
社員紹介
コスモスイニシア 賃貸事業部 運営一部ビルマネジメント一課 課長 村上 元希
コスモスイニシア 賃貸事業部 運営一部ビルマネジメント一課 面矢 実咲
賃貸事業部 面矢 実咲 賃貸事業部 課長 村上 元希
レンタルオフィスの需要が増加
インタビュアー(以下:I):現在、レンタルオフィスの需要が増えているようです。
村上(以下:M):働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響を受け、レンタルオフィスやシェアオフィスが増えてきました。
各社、「レンタルオフィス」「シェアオフィス」「サービスオフィス」「サテライトオフィス」「コワーキングオフィス」等様々な呼び方をしていますが、拠点数、面積ともに増加しているようです。
この背景には、やはりコロナ禍の影響が大きく、職住近接と言われる、職場と住居を近くしたり、できる限り安全に個室を用意したりするケースも多く、実際に都心よりも住居に近い地域での展開ニーズが増加しているように感じており、今後、働き方改革を含めた生産性向上を考えるうえでも、レンタルオフィスやシェアオフィスのニーズは高まっていくと考えています。
レンタルオフィスと一言で言っても、その形態は様々です。例えば、出先でのリモートワークの場として使用することを想定して、駅前やビジネス街に出店する会社もあれば、ラグジュアリーコンセプトで、渋谷や六本木など、いわゆる高級立地で展開する会社もあります。また、スポットとしてドロップインで入る時間貸しの施設もあります。
I:コスモスイニシアのレンタルオフィス「MID POINT」はどのような商品ですか。
面矢(以下:O):「MID POINT」は職住近接型のレンタルオフィスで、2018年頃にコスモスイニシアの1棟再生流通のソリューションのひとつとして開発されました。MID POINTはあえて電車に乗らずに、自転車や徒歩で通勤し、仕事をすることができるような半住宅(オフィス、住居が混在する)のエリアに出店しています。
MID POINTのコンセプトは「中心」「中間点」「通過点」「ニュートラルな場所」です。「個人で働くこととも、事務所で働くこととも違う、その中間で、一人で働きつつ他の人とも関わりながら、新しいもの、価値、コミュニケーションを生み出していく。そのようなニュートラルな場所を提供したい」という思いを込めて名付けられました。
I:なかでも目黒不動前の「MID POINT」は特徴的です。
M:MID POINT目黒不動前の5〜8階にはMID POINT、1階には店舗が入っており、2〜4階は「オールセットオフィス」という仕様で貸し出しています。これは、成長企業向けに考案された形態で、内装や家具を装備した状態で貸し出しているオフィスです。ただ、面積が約35坪なので、会議室は作ることができてもラウンジのようなスペースは作りづらくなっています。ここにMID POINTの形態が入ることで、成長企業のみなさんが好まれる、MID POINTのオープンな雰囲気のラウンジやテラスを利用していただけるようになります。
このようなラウンジスペースは珍しいようで、オフィス事業をされている他社の方が見学に来ると、「オフィスだけやっている会社ではそのような発想にはなりません。やっぱり住宅をやっている会社だからですね」と言われます。
I:MID POINTを活用いただくスキームを教えていただけますか。
M:大きく分けると、コスモスイニシアがMID POINTを活用して再生し、バリューアップして売却する事業とコスモスイニシアがテナントとして出店するケースがあります。
前述した1号店のMID POINT目黒不動前では、企業の自社ビルを買い取り、元々は駐車場だった1階に店舗を入れることで収益が上がるようにしました。目黒や五反田であれば事務所があってもおかしくありませんが、目黒不動前は住宅立地で、事務所のニーズが少ない地域です。しかし、山手通り沿いで視認性も良く、2〜4階については、成長企業を後押しするため、今までのような一般オフィスではなく、オールセットオフィスの仕様、5〜8階はレンタルオフィスの仕様としました。このように、立地エリアに最適な仕様・用途を組み合わせて出店した後、1棟丸ごと売却しました。
O: 最近は、様々なところから出店したいという引き合いをいただいいています。ひとつは、オーナーさまが新規で建物を建てる場合、ゼネコンや設計事務所から相談をいただくケースです。
また、オーナーさまから土地の有効活用の方法を相談された場合は、施設を一般オフィスで建てるパターン、MID POINTで建てるパターン、ワンルームマンションで建てるパターンと複数の提案をしています。
既存物件で、すでにテナントさんが退去していて、空室をどうやって埋めるか相談いただくケースもあります。特に2021年は新型コロナウイルス感染症により先行きが不透明な状況となりました。住宅地で企業も簡単に見つかりそうもないときなど、仲介会社からご相談を受けるケースもあります。
職住近接で地域に貢献
I: コミュニティを形成する具体的な方法を教えてください。
O:武蔵小杉駅前の約800戸のタワーマンションの1・2階のテナントとして、MID POINT武蔵小杉を出店しました。オーナーは地元の金融機関です。MID POINTで一度賃貸契約を結んだ後、貸床の一部をコーヒーショップに転貸して、半分カフェ、半分MID POINTにしています。タワーマンションにも仕事ができるような共用スペースがあるのですが、上階にお住まいの方々に利用していただくなど、ニーズと非常にマッチした出店となりました。
地元の金融機関がオーナーであるだけに、営利よりも地元への貢献が条件で、カフェを入れてほしいというのもオーナーさまのご要望です。人が集まるような、くつろげる空間を提供してほしいというお話でした。MID POINTは職住近接を謳っていますので、地元の方が集まって起業すれば、金融機関はそこで資金の応援をすることができますし、企業が成長すれば地元に貢献することができます。
M:MID POINTには、コミュニティマネージャーという入居者間のコミュニケーションを活性化する役割の方がいます。コミュニティマネージャーは入居者同士を結びつける、皆のお母さんのような存在です。地元の主婦の方にお願いしており、地域に雇用を生み出すことにもなります。
地主さまは土地に愛着があるため、地域に何か還元したい、単に収益性を上げるだけではなく、プラスアルファを社会に生み出したいと考える方が多いようです。
MID POINTは収益性にプラスアルファして社会貢献ができるソリューションです。職住近接なので、地元の方々が入居されますし、さらに地元の企業や飲食店ともコラボレーションすることができます。
不動産の価値を上げる
I:MID POINTとして出店できるための検討条件を教えてください。
M: 出店の条件として、駅から徒歩5 分以内で、基準階面積が30 坪以上、出店できるフロアサイズは総面積150〜200坪程度と決まっています。賃料は1万2000〜1万8000 円程度です。それから、初期内装費用をオーナーさまにご負担いただくのも条件です。通常、既存のビルはすでに事務所として仕上げられていて、天井や床がある状態です。コスモスイニシアのレンタルオフィスの場合、ラウンジや、1名用・複数名用の個室を作るため、それにかかる内装造作の費用についてはオーナーさまにご負担いただいています。
I:オーナーさまにとっては、より高い賃料が可能になるということですね。
O:MID POINTは、六本木や西麻布のような超都心のエリアではなく、目黒不動前、大塚、武蔵小杉、川崎のように、住宅地も混在する立地に出店しています。コンセプトでもありますが、住宅立地で用途が事務所の場合、通常のレジデンスよりも収益性がプラスアルファで出せるような商品になっているからです。
MID POINTは初期内装費用をオーナーさまに負担していただきますが、その分10年間の賃貸借契約がつきます。新築の場合、50万円÷10年間(120カ月)で、坪単価約4000円になります。1万2000円に対して4000円、1万6000円より高く賃貸できるのであれば投資する価値があると考えます。
また、MID POINTだけを入れるよりも、例えば10階建てのうち半分くらいをMID POINTにするほうが、ビル1棟の収益性が上がります。一般オフィスを借りるお客さまも、MID POINTがあるからという理由でリーシングに成功することもあるので、そのような規模で考えているオーナーさまにはよりプラスアルファの価値を提供できると考えています。そういったことも含めて、まずはご相談いただきたいと思います。
コスモスイニシアでビルの管理を受けることも可能です。1階から10階まであって、ワンフロア100万円の賃料であれば、単純に1000万円が入ってきて、その中から管理料をいただくことになります。上層階をMID POINTでお借りして、下層階に一般事務所、飲食店を入れる場合、コスモスイニシアが管理を行っていれば、実質MID POINT分の管理料はかかりません。下層階部分だけの管理料でビル1棟全体を管理させていただくので、そこでも収支に貢献できます。
M:MID POINTを単に出店するのではなく、オーナーさまにとっての不動産価値の最大化とは何かを常に考えます。MID POINTが入ることによって他のテナントさんにもハッピーになっていただき、その結果オーナーさまもメリットを享受いただく。これを目指しています。
一方で、1棟全体で出店するケースもあります。2021年12月には、渋谷の神泉で1棟8階を丸ごと使ってMID POINTを展開しました。コスモスイニシアが自社で持っていた物件で、オフィスビルを建てる予定だったのですが、MID POINTであればもっと違う活用が考えられるのではないかと、途中で変更しました。ビルとしては珍しく自転車置き場を完備した、過去最大規模の席数を持つレンタルオフィスになります。
I:コスモスイニシアさんは時代性を考えたいろいろなプランをお持ちです。
M:レンタルオフィスの需要は、働き方や人口動態の変化に非常にマッチするものです。法人向け、個人向けなど各社方針があると思いますが、これからますます成熟していく産業です。コスモスイニシアでは不動産価値最大化に向けて何ができるのかを協議し、様々なご提案をしながら、ソリューションを開発していきたいと思っています。
O:合わせて、MID POINTでは、ハロウィーンパーティ、クリスマスパーティ、節分の豆まきなど、季節ごとの行事やイベントを積極的に推奨しています。MID POINT目黒不動前では、利用者さま同士が自発的にイベントを設定して、盛り上げて運営してくださっています。まさにコミュニティが形成されて、そこで新しい人々のつながりが生まれているのです。また、MID POINTを通じて新たなビジネスをする利用者さまもいらっしゃいます。利用者さま同士のビジネスマッチングが起こるなど、派生の効果があると実感しています。
2022年1月、MID POINT大森がオープン
I:今後はどのようなかたちで展開していきますか。
O:2022年1月に、7号店としてMID POINT大森を出店します。オーナーさまは、一般事務所ではなく、何か新しい商品を取り入れたいという考えをお持ちでした。
この物件では、約200坪のフロアが空いてしまい、コロナ禍もあってリーシングに苦戦されていました。そんな中MID POINTにお声掛けをいただき、出店することになりました。200坪を50坪に分割すれば貸しやすくなるかもしれませんが、分割によって廊下や通路を入れることになるので、貸床が減ってしまいます。ですから、200坪丸ごとすぐに借りることができ、MID POINTは非常に良いテナントだと思っていただけたのではないでしょうか。MID POINTだからこそ1テナントで借りることができて、個室に分割して地元の企業家の方々にシェアすることができるのだと思います。
内装のデザインは、乃村工藝社さんにお願いしていますので、新しい時代にマッチしたデザインに仕上がると思います。この事業を企画するタイミングで乃村工藝社さんと一緒に内装等を考えてきましたので、今でも力をお借りしています。今回の大森もデザイン監修に入っていただきました。
M:MID POINTは、利用者さまが自信を持ってお客さまをお招きすることができる物件です。小規模事業者の方が、オフィスにラウンジや会議室を持つのは大変なことです。見栄えの良い環境をご用意することで、利用者さまからは「お客様を呼べるオフィスで良かった」という声をいただいています。そうしたアプローチも大事だと思っています。
MID POINTによって、オーナーさまや他のテナントさまそれぞれが価値を提供し、皆が共存共栄できる、皆がつながって価値を共有できる、そのような「場」を提供していきたいと思っています。
コスモスイニシアの「オフィス事業」サービスページ
https://www.cigr.co.jp/biz/service/share-office/
レンタルオフィス「MID POINT(ミッドポイント)」シリーズページ
https://www.cigr.co.jp/mp/index.html
「MID POINT(ミッドポイント)大森」公式ホームページ
https://www.cigr.co.jp/mp/omori/
聞き手・構成:猪口真(株式会社パトス)
■ 株式会社乃村工藝社について
設立 1892年3月15日
資本金 64億97百万円
代表者 代表取締役会長 渡辺勝、代表取締役社長 榎本修次
事業内容 集客環境づくりの調査・企画・コンサルティング、デザイン・設計、制作・施工ならびに各種施設・イベントの活性化、運営管理
本社所在地 〒135-8622 東京都港区台場2丁目3番4号
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