欠陥住宅に騙されない! マンション購入時の注意点とは?

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一生に一度の買い物と言われている、マイホームの購入。もし欠陥のあるマンションを購入してしまうと、問題の解決に時間と手間がかかるうえ、引っ越しや子どもの転校など、ライフスタイル自体の変更を余技なくされることがあります。
「せっかくのマイホームを購入したのに、実は欠陥住宅だった」なんてことは、絶対に避けたいですよね。

ところが実際は、一般の人がマンションの欠陥を見抜くのは難しく、専門性を持った第三者の診断を必要とする場合があります。
重大な欠陥に早く気づき、賢く解決するには、マンション購入の際に気をつけるべきポイントがあるのです。

この記事では、欠陥住宅の種類や原因、購入を防ぐためのポイントについて解説していきます。マンション購入を検討している方は、しっかりチェックしてくださいね。

 

目次

 まずは、「欠陥住宅」の基礎知識を確認

 「欠陥住宅」とは?|簡単な補修やリフォームで対応できるものは「欠陥」ではない!

 知っておきたい! 瑕疵担保責任とは?

 なぜ起こる? 欠陥の種類と原因

 【Case1】表面上の欠陥

 【Case2】内部構造の欠陥

 【Case3】工事の「カンリ」不足による欠陥

 【Case4】不同沈下による欠陥

 ここに注目! 欠陥住宅の購入を防ぐためのチェックポイント

 【Check1】契約内容に納得してから締結をしよう! 

 【Check2】住宅性能表示制度の利用はあるのか?

 【Check3】重要事項説明書の確認をしよう!

 【Check4】専有部分は、傾き、建て付け、床の浮き沈みに注意!

 【Check5】共有部分は、ひび割れ、汚れ、破損等をチェック!

 購入後に欠陥を見つけたら|第三者に相談を

 最後に|冷静な判断で、住宅購入の決断を!

 

まずは、「欠陥住宅」の基礎知識を確認

欠陥住宅とは、どのような住宅を指すのでしょうか。

まずは、欠陥住宅についての基礎知識を確認しておきましょう。

「欠陥住宅」とは?|簡単な補修やリフォームで対応できるものは「欠陥」ではない!

欠陥住宅と一口に言っても、簡単な補修やリフォームで直せるようなものは当てはまりません。安全性・快適性などの観点から、通常の暮らしに支障を来す住宅のことをいうのです。

つまり、建物が最低限備えていなければならない重要な性能(構造、防火・耐火、健康などの安全性)や、基本的な使用機能(雨漏り、床の傾斜など)を失っている住宅を欠陥住宅といいます。

建築確認申請に提出した図面や、設備図・工事仕様書・特記仕様書などの書類のとおりに施工されていない住宅も含まれるでしょう。

また、建築関連の法令を順守していないマンションも、欠陥住宅です。

しかし建築当初は法令を満たしていたにも関わらず、法改正などにより現在満たさなくなってしまった住宅は既存不適格と呼び、欠陥住宅には含みません。他には、経年変化によって自然に劣化していった場合も「欠陥」とはいえません。

知っておきたい! 瑕疵担保責任とは?

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、引渡後に売買物件の権利関係あるいは売買物件そのものに引渡時には知りえなかった瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任をいいます。ここでいう瑕疵とは、通常有するべき品質・性能を備えていない状態を指します。

つまり、引渡後に物件に瑕疵が発覚した場合、売主に通常有するべき品質・性能を備えた状態への修正や損害賠償を求めることができるというものです。

民法では、買主は瑕疵があることを知った時から1年以内であれば、売主に損害賠償を請求することができることとしています。また瑕疵が原因となって居住することができないなど契約の目的を達することができないときは、契約を解除することも可能です。

しかし、これでは期限なく重い責任を負うことになるため、売主が個人のときは瑕疵担保責任の期間を2〜3ヶ月と設定して契約することが一般的です。中には現状引渡や瑕疵担保責任を負わないという契約もありますが、買主の同意なしに結ぶことはできません。

一方で中古マンションを不動産会社から購入した場合は、「宅地建物取引業法(宅建業法)」により、瑕疵担保責任の期間は引渡しから2年以上と決めています。

また、新築マンションの場合は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって10年間の瑕疵担保期間が設けられています。

なぜ起こる? 欠陥の種類と原因

欠陥住宅が生まれる原因はさまざまです。近年の特徴としては、マンションの場合は工期が限られていることに起因した欠陥がよく見られます。どうしても目に見えない部分で工期の短縮が図られることが多く、作業精度の低下を招く事例もあるようです。

実際には、どのような欠陥があり、何が原因で起こってしまうのでしょうか。

この章では、どのような欠陥があるのかを解説していきます。

【Case1】表面上の欠陥

住宅を建てた直後、あるいは入居してすぐに気がつくのは表面上の欠陥です。
貼られたクロスやタイルが浮いている、ドアの開閉具合が悪い、塗装にむらがあり仕上がりが悪いなど、目視で確認できるものがあげられます。

新築なら内覧会、中古なら物件案内の際に見つけることができ、指摘すれば補修の対象になります。比較的早く問題の解決ができるでしょう。
またプロでなくても見つけやすいので、後々問題になることも少ないのです。

目視で確認できる欠陥よりも注意しなければならないのは、構造そのものに起因して起こる表面上の欠陥です。
例えばドアの開閉が悪いとしましょう。欠陥が、単なる建具の不具合なのか、それとも建物自体がゆがんでいるかで問題の大きさが変わってきます。

【Case2】内部構造の欠陥

欠陥住宅の種類は多種多様です。しかし、表面上は美しく施工されているにも関わらず、目に見えない構造や躯体の部分に手抜きをしているものが、近年では多く見受けられます。
例えば、内部構造の欠陥は日常生活で送るうえで支障をきたすこともなくわかりづらいですが、耐震性に劣るなど、居住者の生命をも脅かす可能性があるのです。

工程の簡便性を図るための具体的な欠陥としては、水増ししたコンクリートを使用した際の強度不足や、鉄筋の本数不足、防音性能の素材の低下などがありますが、一般の人が見抜くのは難しいでしょう。専門性を持ったの第三者による検査が必要になります。

また、築年数を経た中古マンションの場合は、不具合が明確になっていることが多いです。実際に住んでいる人や管理担当者に確認してみるのもよいでしょう。

【Case3】工事の「カンリ」不足による欠陥

建築現場には、「監理(カンリ)」と「管理(カンリ)」という2種類のカンリがあります。読み方は同じですが、役割や立場は大きく異なります。

「工事監理者」は、一般的に設計事務所の設計者が担当します。主な業務は、設計図どおりに施工が進行しているかのチェックや、図面だけでは伝わらない内容の伝達、そして工事現場との打合せや指示・報告など、「建築主の代理人」として工事を監督することです。

「工事管理者」は、施工会社の現場監督のことを指します。主な業務は、工事全体の工程管理、使用する材料の発注や管理、安全管理、そして請負金額内で材料費や人件費等の金銭管理をすることです。建設会社の一員として「工事現場を動かす責任者」の立場を担うのです。

本来であれば立場が異なる「カンリ」ですが、マンション建設の場合は、設計と施工を同じ会社が担当することがあり、チェック機能が甘くなってしまう可能性は否定できません。そこに、建物精度に関する落とし穴が潜んでいるのです。

【Case4】不同沈下による欠陥

建物全体が均等に沈下せず、1つの方向にだけ傾斜してしまう場合があります。このように、地盤や建物が不揃いに沈下を起こすことを不同沈下といいます。

不同沈下が起こると、建物が斜めに傾き、ひび割れや歪みが生じます。傾きが大きくなると、ドアの開け閉めが困難になったり、雨漏りを起こしたり、すきま風が入ったりと、さまざまな不具合の原因になることもあります。

さらに、地盤への荷重のバランスが崩れると大きな負荷がかかり、建物自体が倒壊してしまうこともあるのです。

不同沈下の主な原因には、以下のようなことが考えられます。

  • 基礎の地盤固めがきちんとされていない
  • 盛土や埋立地の締め固めが不十分である
  • 盛土などの軟弱基盤に対して十分な地盤補強工事を行っていない
  • 地中の土塊や有機物の腐食で空洞ができて圧密沈下している

マンションの購入前に、ハザードマップ等で元々の地盤の強度を調べることも大切です。軟弱な地盤や高低差のある地盤上に建っている場合は、より詳細に工法等を確認する必要があります。

ここに注目! 欠陥住宅の購入を防ぐためのチェックポイント

欠陥マンションを買わないためには、いくつかの大切なチェックポイントがあります。
物件を実際に確認する際や、契約のときに気を付けるべきポイントをまとめました。

【Check1】契約内容に納得してから締結をしよう!

住宅購入の際に取り交す契約書は、一般の方にとって見慣れない用語が並んでいたり、細かい注釈が付けられていたりと、読みこなすことが大変です。
しかし、重要な内容が含まれるので、疑問があれば必ず解決してから契約するようにしましょう。

また、契約書だけではなく、添付されている図面・仕様書・見積書、中古マンションの場合は告知書や修繕履歴書、管理規約書等に目を通すことも重要です。
この様々な書類を手元に残しておくことで、将来のトラブル防止に役立てることができるのです。
契約書にきちんとした書類が添付されていない場合は、売主に必ず確認しましょう。

【Check2】住宅性能表示制度の利用はあるのか?

マンションを購入する際には、品質確保に基づく設計住宅性能評価書および建設住宅性能評価書を取得しているものを購入したほうが安心できるでしょう。

この品質確保に基づく設計住宅性能評価書および建設住宅性能評価書の書類には、住宅性能表示制度により、(1)構造の安定、(2)火災時の安全、(3)劣化の軽減、(4)維持管理への配慮、(5)温熱環境、(6)空気環境、(7)光・視環境、(8)音環境、(9)高齢者への配慮、(10)防犯、の10項目について、各々等級が表示されています。等級が高いほどよいとされているので、事前に確認しておきましょう。

【Check3】重要事項説明書の確認をしよう!

マンションの売買契約の際には、「重要事項説明書」が交付され、宅地建物取引士によってその書類内容の説明が行われます。契約当日に渡されることが多いですが、不動産や法律の専門用語が並ぶため、理解するのは難しいこともあります。できれば事前にコピーを入手し、細かいところまで目を通しておくべきです。

また重要事項説明時には、不明点があれば遠慮なく質問してきちんとした回答をもらい、自分が納得してから売買契約に進むことが大切です。

【Check4】専有部分は、傾き、建て付け、床の浮き沈みに注意!

マンションを内見する際は、専有部分では以下のことに注意しましょう。

  • 窓や扉がスムーズに開閉できるか
  • 床の上を歩いたとき浮き沈みがないか
  • ビー玉やピンポン玉を置いて転がらないか
  • 室内に異臭を感じる場所はないか
  • エレベーターや配管の音や振動がしないか

専有部分に関しては、床の浮き沈みや建具の開閉、異臭など、実際に住むことを考えながら、細部のチェックをすることが大切です。音の問題は住み始めてから気が付くことが多いので、予め図面でエレベーターや配管の位置を確認しておくことも大切です。

大きな振動や音などが感じられるなら、原因を突き止める必要があるでしょう。

【Check5】共有部分は、ひび割れ、汚れ、破損等をチェック!

共用部分でも気を付けておきたいことがあります。

以下の項目は、実際に生活していく上で影響してくる部分なので、専有部分ではないからといって安心してはいけません。

  • ひび割れ、さび、汚れはないか
  • ゴミや破損物が放置されていないか
  • 掲示板が機能しているか

建物のひび割れやさびは、目視で確認できます。表面の劣化は内部の劣化にもつながっていることがあるので気を付けましょう。
またゴミが放置されていないか、掲示板が機能しているかなどの確認は、ちゃんと管理が行き届いているどうかのチェックにもなります。

購入後に欠陥を見つけたら|第三者に相談を

万が一、購入したマンションに不具合が見つかったら、専門性を持った第三者に相談するようにしましょう。まずは、どのような欠陥がどこにあるのか、そしてその欠陥がどのような損失を及ぼすのかを明らかにしなければなりません。

最近では、ホームインスペクター(住宅診断士)の存在がよく取り上げられています。内装の傷みや配管の状態、バルコニーの現状など、専有部分以外のチェックもしてもらえます。

最後に|冷静な判断で、住宅購入の決断を!

一度欠陥住宅に関するトラブルに巻き込まれると、明確な違法建築でない限り、売主が欠陥住宅であることを認めなかったり、裁判が長期化したりと、手間も時間もかかってしまいます。最悪の場合、実費での補修や建て替えを余儀なくされることもあります。デザインや設備の立派さ、価格の安さなどに惑わされず、しっかり冷静な目で確認することが大切です。

また、細かい部分に関しては、専門家に頼まないと分からないこともありますが、一般の方でも気づけることはたくさんあります。

自分の資産は自分でチェックするという気持ちで、住みよいマンションを購入しましょう。

2017/03/23時点での情報です。