ベランダライフを叶える! マンションの選び方辞典
マンションの購入を考える際に気になるのは、部屋の間取りや周辺環境、交通のアクセスなどですよね。しかしもう一歩踏み込んで、「ベランダ」にも注目してみましょう。
近年は間取りの多様化に伴い、形・個数・面積の異なるさまざまなベランダスペースを持つ住宅が生まれました。
マンションの購入を検討している方の中には、広いベランダが付いている物件を見学した際に、「洗濯物を干す以外にどのように使ったらよいのだろう?」と疑問を持った方もいるかもしれません。
また、何もしないままでは殺風景なのでうまく活用したいと思ってはいるものの、どうすればよいかわからない方もいるでしょう。
ベランダは、使い方次第で部屋が広く見えたり、新しいリラックススペースができたりと、色々な機能を持たせることができるのです。
この記事では、マンションのベランダの活用術や、どのような特徴で選べばよいかなどを解説していきます。読めばきっとベランダへの見方が変わってくるはずです。
自分たちのライフスタイルや、やりたいことを見つめ直し、自分だけのベランダライフを楽しみましょう!
目次
ベランダとは
まずは、マンションのベランダにはどのような役割があるのかを確認していきましょう。
ベランダは「専用使用権が認められた共用部分」
マンションのベランダは、普段はその部屋の住人のみが使うことができるため、住人の所有権がある「専有部分」であるように感じます。
しかし実際は、「専用使用権が認められた共用部分」として位置付けられ、マンションの管理組合が管理する場所となっています。
なぜベランダが共有部分なのかというと、非常時に同階の人や上下階の人が通行できる避難経路としての役割を担っているからです。
また、ベランダを専有部分にすると、所有する住人によって自由に改造が行われ、マンションの景観が損なわれてしまう可能性もあります。そのため、「共用部分」という位置付けにされているのです。
専用使用部分であるベランダへは、普段は専用使用者以外の人が勝手に出入りすることはできません。そのため、清掃や日常の維持管理は専用使用者である住人が行います。
しかし、マンションの修繕工事でベランダの防水工事や塗装などが必要な際は、専用使用者はこの工事に協力しなければいけないのです。
ベランダは、普段はその部屋の住人のみが使用できる場所ですが、あくまで共用部分であることを覚えておきましょう。
ベランダ・バルコニー・テラスの違いってなに?
ベランダとよく似たものに、バルコニーとテラスがあります。この3つのスペースの違いはご存知ですか?
ベランダは、住宅の外壁からせり出した屋外スペースの中でも、人の出入りを前提とします。特に2階以上にある屋根付きの場所を指しています。
一方バルコニーは、2階以上にある屋根なしの屋外空間を指し、一般的なベランダよりもスペースが広い場所を示すときに用いられることが多いです。下階の屋根部分を利用したバルコニーは、「ルーフバルコニー」と呼びます。
ベランダとバルコニーは、屋根が付いているかどうかで見分けることができます。
しかし、この2つの区別は曖昧で、同じ空間に対して「ベランダ」と呼んだり「バルコニー」と呼んだりしているのが現状です。
この記事では、マンションの各住宅からせり出した屋外スペースを「ベランダ」という表現で記載をしています。
テラスは、建物の1階部分の外部に、部屋の延長としてせり出した平らな床のことです。
地面からは1段高くなっており、レンガやタイル貼り、ウッドデッキなどさまざまな材質でアレンジができます。
2階以上にある屋外空間はベランダかバルコニー、1階部分にある屋外空間はテラスと考えておきましょう!
要確認! ベランダ利用時に注意すること
マンションのベランダでは、洗濯物を干したり、ガーデニングをしたり、テーブルや椅子を置いたりと、自由な使用ができる場所です。しかし、ベランダはあくまで「共用部分」であることを忘れてはいけません。きちんとマナーを守らなければ、近隣との間で思わぬトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。
ベランダを使用する際は、以下の項目に注意しましょう。
ベランダに置いてよいもの・いけないもの
ベランダに置いてもよいものといけないものについては、それぞれのマンションで細かく決められています。
以下には、代表的な例を示しています。もし記載がない物に関して不安があれば、マンションの管理組合もしくは管理会社に確認するようにしましょう。
ベランダに置いてよいもの小型の植木鉢、エアコン室外機、物干し竿、テーブル・椅子、一時的に置くゴミ袋、撤去が簡単にできる人工芝や装飾タイル、ウッドデッキ
ベランダに置いてはいけないもの大型の観葉植物、花壇、倉庫、物置、温室、縁側、サンルーム、プレハブ、フェンス
ベランダには、小型の植木鉢や、エアコンの室外機、テーブルや椅子、撤去が簡単にできる人工芝、装飾タイル、ウッドデッキなどの設置が可能です。
しかし、緊急時には避難経路として利用される共用部分となるので、大型の観葉植物や物置、プレハブなどの簡単に動かすことができないものや、避難の妨げになるような物を設置することは禁止されています。
また、ベランダの柵にペットの落下防止用や目隠し用のフェンスを取り付けることも、避難時や救命時の妨げになります。マンション全体の景観に影響するので避けるようにしましょう。
表に記載したもの以外でも、自転車やレジャー用品、アウトドア用品など、置けると便利な物も多数あります。物によっては判断が難しい場合があるので、安全管理のためにも管理組合もしくは管理会社に確認することをお勧めします。
特に、景観配慮に厳しいマンションは近年増加しているので、注意が必要です。
ベランダでの注意点や禁止事項
次に、マンションのベランダでの注意点や禁止事項を紹介します。
下記の解説以外にもマンションごとに決まりがありますので、ご自宅のマンションの管理人にも確認をするようにしましょう。
・手すりに布団を干す際は、落下事故に注意する
布団を干す際、固定が不十分だと、風で飛んでいってしまうことがあります。布団が落下すると、人にケガをさせたり、下階のベランダの植栽を崩してしまったりする危険性もあるので注意しましょう。
高層マンションでは、高層階ほど強い風が吹く可能性があるので、布団を干す行為を禁止しているところもあります。
・多量の喫煙は控え、時間帯や頻度にも配慮する
ベランダでの多量の喫煙は控えましょう。タバコの煙は上に昇っていき、上階の住人の洗濯物に臭いが付着するなど、トラブルへつながることがあります。マンションによっては、ベランダでの喫煙を禁止しているところもあります。
喫煙する際は、時間帯や頻度に注意しましょう。
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・フェンスや壁等を勝手に改修・塗装しない
ベランダのフェンスや壁等を、勝手に改修・塗装してはいけません。住人が好き勝手に塗装をすると、マンションの外観に統一感がなくなり、マンション全体の価値が下がってしまいます。ベランダを共用部分に設定しているのもこのためです。
・排水溝が詰まらないよう定期的に清掃する
ベランダの排水口を掃除するのも、住人の役目です。もし排水口が詰まり、水があふれて下に流れてしまうと、下階で干していた洗濯物が汚れてしまったり、最悪の場合は水が別の箇所から染み込んで下階の雨漏りを起こしてしまったりする可能性もあります。
特にガーデニングをしている方は、土や枯葉による排水口の詰まりに注意しましょう。
・洗濯水を流す際に、隣戸や下階への配慮を忘れない
洗濯水を流すときには、隣や下の階へ大量の水が流れないように注意しましょう。下の階でせっかく干していた洗濯物が汚れてしまうことも考えられます。
隣戸や下の階の住人への配慮を忘れてはいけません。
・窓を開け放った際、ペットの臭いや鳴き声に注意する
ペットを飼っている家は、窓を開け放った際にペットの臭いや鳴き声が外に漏れ、近隣の方の迷惑になることもあります。注意しましょう。
使い方は多種多様! ベランダ活用術を紹介
この章では、さまざまなベランダの使い方を紹介していきます。
新しく住宅購入を考えている方、今住んでいる住宅のベランダの使い方を工夫していきたい方などは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ガーデニングをする
ベランダでやりたいことといえば、ガーデニングと答える方も多いのではないでしょうか。植物は見ているだけで癒されますし、ベランダの風景を鮮やかに変えてくれます。
広いベランダの場合は、小さな家庭菜園も楽しめます。
枯葉を放置したり虫がついたりする場合もあり、隣接する住戸に迷惑が掛からないように注意しながら楽しみましょう。
子どもの遊び場にする
ちょっとしたおもちゃを置くと、子どもが遊ぶスペースにもなります。
時間的に外に出るのが難しい時や雨の時などは、屋根のあるベランダスペースを有効に使って子どもを遊ばせるのもよいですね。
ベランダなら、他の家事をしていても目の届く場所なので安心です。
イニシア桂大橋Eタイプモデルルーム/バルコニー写真(平成28年4月撮影)
※バルコニー天井には打ち込みアンカーが入っていますが、取り付けている「ハンギングバー」はオプション仕様です。
※バルコニーの使用にあたっては管理規約・使用細則を遵守ください。
リラックススペースにする
テーブルや椅子、ソファを置いたり、ハンモックを設置したりして、自分だけのリラックススペースをつくるのもよいですよね。
朝食をとったり、読書をしたり、仕事をしたりと、普段室内でしていることを外でするのは気分転換にもなります。
ラグやカーペット、ウッドパネル、タイル、人工芝などを敷いても印象が変わりますし、温かい雰囲気になるのでおすすめです。
「机、椅子、ラグなどを置いてひとりでティータイム」
「机と椅子、ウッドパネルを置いてスリッパのまま使えるように」
「机とソファを置いて友人とお茶」
「机、椅子を置いて家族で朝食」
部屋を広く見せる
ベランダの使い方次第で、部屋を広く見せることができます。リビングや居室からベランダへと繋がる窓を開けると、それぞれが一続きの空間であるように見え、部屋が広くなったように感じるのです。
特に、ベランダに机や椅子を設置すると、その場所も人が居られるスペースになります。リビングとベランダを一体的に使うことができるようになるのです。
「リビングとベランダが繋がり、広い空間に見える」
「窓を開けることで空間を一体的に使える」
自分らしいベランダの選び方
部屋を広く見せたり、新しいリラックススペースを作ったりと、さまざまな機能を持たせることが出来るのがベランダのよさです。
マンションの間取りを見てみると、さまざまな広さ・形のベランダが見つかります。この中から自分のライフスタイルに合うものを選ぶには、どうしたらよいのでしょうか。
まずは、自分がベランダでやりたいことをピックアップし、そのためにはどれぐらいのスペースが必要なのかを考えてみましょう。
この章では、ベランダの形や個数などにも注目し、間取りによってどのような使い方ができるかを解説していきます。
ぜひ実際の生活を思い浮かべながら読んでみてください。
使い方で奥行きを選ぼう!
まず注目したいのが、ベランダの奥行きです。奥行きによって、ベランダに置けるものやできることが変わってきます。
ちなみに、人が一人歩ける程度の幅は70センチメートルです。この寸法を基準にして、ベランダの奥行きについて考えていきましょう。
マンションのベランダの中には、奥行きが100センチメートル以下のものもあるでしょう。この場合、人が一人通るだけのスペースしかなく、くつろぐどころか洗濯物を干すだけで精一杯です。
奥行きが130センチメートルほどになると、椅子を置けるようになります。椅子に座って読書をしたり、日光浴をしたりと、ベランダでできることが少し増えます。鉢植えを並べて、小さな家庭菜園をつくることも可能です。
150センチメートル以上の奥行きになると、ちょっとしたテーブルと椅子が置ける幅になります。コーヒーを飲む、軽食を食べるなどができ、外で過ごすひと時がやみつきになるかもしれません。リクライニングチェアを置いて昼寝をしたり、本格的なガーデニングを楽しんだりと、生活の重要な時間をベランダで過ごすこともできそうです。
さらに奥行きの深いベランダの場合は、複数人で集まって食事をすることもできるでしょう。
このように、奥行きの深さによってさまざまな使い方ができるので、新しい物件を探すときは必ず確認したいですね。
下図のように、少し奥行きのあるベランダでは、リクライニングチェアを置いてくつろいだり、ガーデニングを楽しんだりすることができます。
なお、図中にある「バルコニー」の表記は、本文中での「ベランダ」と同義です。以下に続く複数の図も同様です。
下図の間取りであれば、奥行きが深く、広いベランダを所有しています。複数人で集まっての食事や、本格的なガーデニング・家庭菜園を楽しむことが可能です。
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複数あれば使い分け可能!
次に注目すべきは、ベランダの個数です。一般的なマンションの場合、隣にも住居が並ぶので、ベランダは一方向・一箇所のみ、というところが多いです。
しかし中には、下図のような横長の間取りもあります。ベランダも横に長く、中央で2つに区切られているのが特徴です。
リビング・ダイニング・キッチンから続く左側のベランダは、洗濯物を干すなど実用的な使い方をし、洋室から続く右側のベランダは、よりプライベートな外部空間として使用するなど、それぞれ使い分けることができます。
下図のようにベランダが2箇所ある間取りでは、それぞれのスペースで完全に用途を分けることができるでしょう。
洗濯機置き場から近い洋室側のベランダでは、洗濯物を干し、それぞれの洋室から取り入れることができるようになっています。また、リビング・ダイニング・キッチンから繋がった上側のベランダに椅子を置き、少しくつろげるスペースとしても利用できます。
リビング・ダイニング・キッチンの周辺で、複数の家事を同時に行いたい人は、リビング・ダイニング・キッチン側のベランダで洗濯物を干し、洋室と繋がったベランダをくつろげるスペースにすることもできます。
それぞれの生活スタイルによって、使い分けが可能なのです。
形や居室との繋がりにも注目!
最後に、ベランダの形や居室との繋がりにも着目してみましょう。
ベランダには大小さまざまな大きさ、形のものがあります。下図の間取りにも、長細いベランダや、奥行き・横幅ともに十分取れたベランダが設置されています。より正方形に近いベランダには、複数の人が集まりやすく、大勢で食事を囲む場合にも使いやすいです。
また、リビング・ダイニングと繋がっているもの、1つだけの洋室と繋がっているもの、2つの洋室と繋がっているものなどがあることがわかります。
リビング・ダイニングと繋がっているベランダは、より開かれた使いやすい場所です。洋室と繋がっているベランダは、よりプライベートな場所として使うことも可能です。
それぞれの空間の性質や繋がりをうまく読み取り、よりライフスタイルが充実するような使い方を楽しんでくださいね。
方角の豆知識
ベランダの方角によって、どのような使い方に適しているかは変化します。
南向きは1年を通して日照時間が長く明るいので、朝から夕方までの長い時間、ベランダライフを楽しむことができます。太陽が当たる南向きのベランダは温かく、日中の読書やランチ、布団や洗濯物干しなどに最適です。
東向きは、朝日が出る方角なので、午前中は温かな光に照らされます。
朝食をとったり、ストレッチをしたりと、朝日を浴びながら1日の始まりを楽しめるでしょう。夕方からはマンションの陰になり、日が当たらない可能性が高いです。主に午前中ベランダを使用したい方には向いている方角です。
西向きは、午後から夕方にかけて日が当たるでしょう。夕日を眺めながら早めのディナーを楽しんだりお酒を飲んだりする時間を楽しみたい方におすすめです。空の色が変化していくのを最も楽しめることができるのも西の方角です。
北向きは、直接太陽が当たらないので人気がない、というイメージを持たれがちですが、実はそんなことはありません。特にマンションのような周りを眺めることができる環境の場合、北側の景色に日が当たることでとても綺麗な眺めになるのです。また、陰をつくるため、夏は涼しくなります。場合によっては、室内よりも過ごしやすい場所になるかもしれません。
このように、どのようにベランダを使いたいかで適した方角も変わってきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
詳しくはこちら:「日当たりは南向きがいい」って本当? 後悔しない、日当たりのいい住まいの見つけ方
まとめ
ベランダは、マンションの共用部分でありながら、住人が自由に使うことのできる特別なスペースです。洗濯物を干すなどの家事以外に、工夫次第で想像以上にたくさんのことが実現できる空間になることが分かったと思います。
近年はマンションの間取りが多様化し、それに伴い、形・個数・面積の異なるさまざまなベランダスペースを持つ住宅が生まれました。
まずは、この機会に自身のライフスタイルを見直し、ベランダライフに夢膨らますのもよいのではないでしょうか?
コスモスイニシアでは、エリアやこだわりから希望する物件を探すことができるので、さまざまな条件や間取りの中から自分にピッタリの住まいを見つけてみてくださいね。
2017/04/06時点での情報です。