築30年超えのマンション、本当に大丈夫? 購入前の最終チェック!
マンションの購入や住み替えを検討している人の中には、コスト面の魅力から築30年以上のマンションを視野に入れている人も多いのではないでしょうか。
実際日本の中古マンションのうち、築30年を超えるマンションは増え続けており、同時に購入を検討している人の数も増えています。
とはいえ築30年以上となると耐震性や老朽化などが脳裏をよぎり、「本当に購入しても大丈夫なのか?」と不安に感じている人もいるはずです。
ここではそんな不安を払拭するために、築30年以上のマンションの魅力と、購入の際にチェックしておきたい5つのポイントを解説していきます。
築30年以上のマンション購入に不安を抱えている方、マイホームの購入を考えている方は、是非一度読んでみてくださいね。
目次
築30年を超えたマンションを購入する際にチェックしたい5つのポイント
まとめ|安さだけではなく、様々な面をチェックして理想の住まいを手に入れよう!
築30、40、50年超えのマンションは増加している!?
実は、築30年超えのマンションは、近年増加傾向にあります。
国土交通省が2013年に作成した資料によれば、2013年時点の築30年以上(昭和58年以前)のマンション戸数は129万戸とされています。このうち築30年超40年未満が97万戸、築40年超50年未満が31万戸、築50年超が1万戸でした。
(参照:国土交通省『老朽化マンションの建替え等の現状について』、『マンション建替え等の促進について』より)
この資料から国土交通省は、5年後にあたる2018年の時点で築30年以上のマンション戸数は185万戸(築30年超40年未満が112万戸、築40年超50年未満が68万戸、築50年超が5万戸)に増加すると予想しており、増加傾向は10年後、20年後も続くとしています。
事実2015年に国土交通省が同様の資料を作成した時の築30年以上(昭和60年以前)のマンション戸数は、151万戸(築30年超40年未満が100万戸、築40年超50年未満が50万戸、築50年超が1万戸)となっています。
国土交通省はこの調査結果を受け、築30年以上のマンション戸数の増加傾向は今後さらに続くという見解を示しました。
今後、更に増えると予想されている築30年以上のマンション。その増加にあわせて、不動産業界も中古マンションに注目し、市場を盛り上げているのはご存知でしょうか。
(引用:REINS『首都圏不動産流通市場の動向(2016年度)』)
新築物件の方が好まれる傾向にあると思われがちですが、REINSが発表した『首都圏不動産流通市場の動向(2016年度)』によると、中古マンションの成約件数と新規登録物件は、共に前年度を上回り、過去最高となっています。
成約件数と新規登録物件が増加しているということは、それだけ多くの人の関心を集めているということにもなります。
中古マンションの増加に伴い、人々の関心も更に高まっていくことが予想できるでしょう。
築30年を超えるマンション魅力を解説!
築年数の古いマンション、とりわけ築30年以上経ったマンションを購入する際の不安や心配などは、考えだすとキリがないかもしれません。しかし同時に、築30年以上だからこその魅力もたくさんあるのです。
以下ではメリット・デメリット両方の解説を通じて、築30年以上のマンションを後悔なく購入するためのポイントを紹介します。
新築物件よりも比較的安価で購入しやすい
築30年以上のマンションの最大のメリットは、やはり価格の安さにあるでしょう。
(引用:REINS『築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)』より)
中古マンションの築年帯別平均価格によると、成約物件は築10年以内が4000万円超(築5年以内なら4700万円台)、築11~15年で3600万円台、築16~20年で2700万円台、築20年超となると2000万円未満と急速に低下しています。
立地や間取りによって価格には大きな違いが生じますが、同条件であれば築30年以上のマンションはほぼ底値で購入できるのです。
「安さ」がメリットになるのは購入時だけではありません。すでに底値まで下がりきったマンションを購入すれば、万が一売却する状況になった時にもあまり値崩れしないため、大きな損失を出さずに済みます。
一方、新築マンションを購入すると、たった10年でも大きな値崩れが起きる可能性が高くなってしまいます。買う時も売る時も最小限のコストで済むという点が、築30年以上のマンションの大きな魅力です。
立地条件のよいマンションが多い
立地条件に恵まれた物件が多いという点も、築30年以上のマンションを購入するメリットです。
まず、「立地条件がよい」とは具体的にどのようなことを指すか考えてみましょう。
- 駅から近いなど、交通の利便性が高い
- 学校やスーパーが近いなど、生活の利便性が高い
- 自然が多い、街並みが整っているなど、環境がよい など
以上の条件が揃っている立地とは、すでに発展している地域です。
こうした地域の好立地には、築浅の物件よりも築年数の古い物件の方が多い傾向があります。なぜなら「物件を建てよう」と考えた時に、好立地から順に建設されていくからです。
その結果、地域の発展過程でどんどん好立地に物件が建てられていくので、地域が成熟した頃には好立地は築数十年の物件が増えています。もし新しく物件を建てようとしても、立地条件の面ではどうしても劣ってしまい、駅から遠い場所や郊外になってしまう可能性が高くなるのです。
更に立地条件のよい地域に建っている中古マンションは、今後も値崩れのリスクが最小限で済みます。
築年数の古いマンションには、すでに古いため値崩れしにくいだけではなく、立地条件がよいために値崩れしにくいという特徴もあるのです。
管理の現状を知ることができる
築30年以上の古いマンションには、その年月だけの歴史があります。
隅々まで掃除が行き届いており、適切な修繕などが行われていれば、大切に扱われてきたことが一目でわかるでしょう。長い期間大切に扱われてきたということは、管理会社や管理組合がしっかり機能しているということです。
逆に築年数が古いにもかかわらず、目立った修繕記録が残っていなかったり修繕積立金の積立がされていなかったりすれば、管理会社や管理組合が機能していないことがわかるでしょう。
新築のマンションの場合は、建物自体はきれいな反面、今後どのような人が住み、どのように管理されていくのかはわかりませんよね。
管理の状況を確認できるという点も、築30年以上の古いマンションの魅力のひとつと言えます。
リノベーションを行えば、理想の間取り・内装が実現できる
築年数の古いマンションを購入する際に心配な点として、内装や設備、間取りの使い勝手の悪さなどが挙げられます。
しかし価格を比較的安く抑えられる築30年以上のマンションを購入した場合、最初からリノベーションすることを前提に予算を設定しておけば、新築マンションよりも低コストで理想の間取りや内装を実現できるかもしれません。
リノベーションの費用を住宅ローンに組み込める金融機関もあるため、うまく活用しましょう。
ただし、リノベーションを行う場合にも注意するべき点はあります。
バルコニーや玄関ドアなどの共用部分の位置が変更できない点、給排水配管をまとめている「パイプスペース」によっては水周りのリノベーションに制限が生まれる点には注意が必要です。
また天井の高さが変更できない点や、リノベーション工事には他の住民の承諾が必要な点も覚えておくとよいでしょう。
築30年を超えたマンションを購入する際にチェックしたい5つのポイント
築30年を超えたマンションは、メリットばかりではありません。デメリットも存在しているのです。安いからというだけで何も考えずに築年数の古いマンションを購入すると、後悔してしまう可能性もあります。
以下では、後悔しないためのチェックポイントを5つ解説します。
「新耐震基準」で建てられたマンションか?
購入を検討しているマンションが、1981年6月に施行された「新耐震基準」に基づいて建てられているかをチェックしましょう。
日本では現在に至るまで幾度となく地震被害に遭い、を端緒に関東大震災の翌年にあたる1923年の「市街地建築物法施行規則」、1950年の「建築基準法」、1981年の「新耐震設計基準」と耐震設計についての法律をアップデートしてきました。
1981年の「新耐震設計基準」では、1978年に起きた宮城県沖地震の被害を反省して制定されたもので、従来の耐震設計法の抜本的な見直しが行われました。単に地震に耐えるだけでなく、建物内の人たちの命を守ることが主眼に置かれたため、従来よりも更に高い耐久性が求められたのです。
実際、1995年の阪神淡路大震災では、新耐震基準で建てられた建物が旧耐震基準で建てられた建物よりも被害が少なかったことがわかっています。
国土交通省の調査『マンション建替え等の促進について』によれば、2014年末時点でのマンションストック総数は約590万戸であり、そのうち約106万戸が1981年以前に建てられた旧耐震基準ストックだとされています。すなわち2014年末時点で現存するマンションのうち、約18%が旧耐震基準で建てられたマンションだということです。
旧耐震基準で建築されたマンションには、住めないという訳ではありません。しかし、購入を判断するためのひとつの材料として検討することも、住んでから後悔しないためには必要になるかもしれませんね。
もし耐震基準に不安を感じるのであれば、専門家に見てもらうとよいでしょう。
配管設備の寿命はどれくらいか?
1970年台後半の研究でも鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命は100年を超えると推定されており、適切に建てられたマンションであれば築30年を経ても十分現役で住むことが可能です。
しかし、マンション内部の配管設備の寿命は25年〜30年といわれています。つまり築30年以上になると、すでに配管設備が一度寿命を迎えているため、修繕を行わなければならないのです。
配管設備の修繕がすでに行われた後なのか、もしくは直近で修繕が行われる予定があるのかのチェックは欠かさず行うようにしましょう。
また、比較的古いマンションには、配管をモルタルで埋め込んでしまっているパターンがあります。この場合、配管設備を取り換えるために一度モルタルを砕いて剥がす作業が必要となります。
したがって配管設備の寿命のチェックを怠ると、せっかく購入したマンションにあっという間に住めなくなる最悪の事態すらあり得るのです。
建物の表面だけではなく、内部の状況もきちんと確かめておきたいですね。
今までの修繕履歴・今後の修繕計画は適切か?
修繕履歴・修繕計画の確認が必要なのは、配管設備だけではありません。
適切な修繕履歴・修繕計画は、マンションの寿命を大きく左右しています。
例えば1960年代から70年代に建てられたマンションの場合、修繕計画が作成されないまま月日が経ち、資金不足を理由に今もなお修繕が施されていないケースも少なくありません。
修繕費用を積み立てていなければ、修繕しようとしても住人への負担が大きくなりすぎて、結果的に修繕ができずにただ老朽化していくだけになってしまいます。
適切な修繕をしてきていない、あるいは修繕計画が作成されていないということは、今はまだ現役のマンションでも、月日が経てば修繕されないまま老朽化していくマンションになりかねないということです。
このような状況を防ぐには、購入前の入念な修繕履歴・修繕計画のチェックが欠かせません。
適切な管理がされているか?
築30年以上ともなると、いつまで住めるのか心配になる人もいるかもしれませんが、管理組合が機能し適切な管理がされていれば、マンションの寿命は長くなります。逆に適切な管理がされていなければ、本来の寿命よりも短くなる可能性も十分あり得るということです。
マンションの寿命は、「こういう材料でこのような建築方法を採用して、こんな土地に建てたから○年」とはっきり言えるものではありません。
寿命が決められないからこそ、管理組合が正常に機能し、日々のメンテナンスや定期的な修繕工事が行われているかをチェックする必要があるのです。
廊下や駐輪場、ゴミ捨て場などの共用部の掃除やメンテナンスが行き届いているかの確認をしてみましょう。配管設備の寿命や修繕履歴・修繕計画のチェックも必要です。
「マンションの寿命を縮めるような管理をしていないか」という視点で見ていくことが大切なのです。
将来的な売却は可能か?
もし将来的にマンションの売却を考えているのならば、購入前に売却できるマンションかどうかを確認しておく必要があります。
「将来的に売却のしやすいマンション」というのは、以下の4つのポイントをできるだけ多く満たしているマンションを指します。
- 立地条件がよい
- 眺望・日当たりがよい
- 適切な管理が行われている
- 内装や間取りが時代に合っている
購入したマンションに永住する人や売却時に値崩れによる損失をある程度まで許容できるという人は、自分の満足度だけを考えてよいでしょう。
しかし、将来的に売却の予定があるなど、できるだけ値崩れを防ぎたい場合は、事前にこの4つのポイントを入念にチェックしておくようにしましょう。
まとめ|安さだけではなく、様々な面をチェックして理想の住まいを手に入れよう!
築30年以上のマンションの最大の魅力は、価格の安さにあります。しかし築年数の古いマンションには安さ以外にも立地条件がよかったり、管理状況の現状が把握できたりと多くの魅力があることが分かったと思います。
しかし同時にチェックを怠ると、せっかく購入したマンションなのに後悔してしまうこともあるのです。
コスモスイニシアでは、中古物件だけではなく、新築物件やリノベーション物件も取り揃えています。
また、築30年以上経過したマンションの間取りや内装に不満がある場合は、リノベーションを行うことで思い通りの住まいの実現が可能です。様々な魅力がありますので、物件価格を安く抑えたうえでリノベーションを行うことも考慮しつつ、住みやすいマンションを探してみてもよいかもしれませんね。
価格の安さだけに惑わされてマンションの購入に失敗をしないよう、様々な面をチェックして理想の住まいを手に入れましょう。
2017/06/15時点での情報です。