住み替えとは?方法や費用とあわせて実際の流れ・ローンの種類・注意点も解説!
季節の移り変わりと共に、転勤や進学など個々に関するさまざまな事情で自宅の住み替えが必要になるケースがあります。
しかし、住み替えは適切な方法で行わなければ、大きな損失を抱えてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
本記事では、住み替えについて詳しく解説していきます。
方法や費用とあわせて、実際の住み替えの流れやローンの種類・注意点も紹介しますので、住み替えを検討している人は、是非参考にしてください。
住み替えとは
住み替えとは、不動産用語の一つで、物件の売買といった、不動産の売買取引を伴う住居変更(引っ越し)のことです。
住み替え検討をすることの多いタイミングとは
国土交通省が発表した平成30年住生活総合調査では、5年以内(調査時点)に住み替えを経験した世帯の住み替えの目的を調査した結果、上位から以下のようなケースが多いとされています。
- 通勤、通学などの利便性を向上させるため:35.9%
- 家を広くする、部屋数を増やなどの家の間取りが理由のため:21.8%
- 実家世帯から独立するため:18.6%
- 新しい家やきれいな家に住むため:16.6%
- 結婚をして独立をするため:14.5%
(引用:平成30年住生活総合調査(速報集計)結果|3.今後の住まい方の意向に関する事項)
住み替えを検討することの多いタイミングとして一番多いのは、生活環境の変化によるものが挙げられます。
通勤や通学、出産や老後を見通した際など、生活の変化が発生したタイミングで、生活の質を向上させるために、住み替えを検討する人が多いといえるでしょう。
住み替えにかかる期間目安
一般的に住み替えにかかるとされている期間の目安は、約3ヶ月〜1年とされています。
住み替えは、不動産の取引きが伴う引っ越しになるため、時間がかかるのが特徴です。
- 住み替え先が決まっていて現居を売却する場合:約3ヶ月~6ヶ月
- 住み替え先が新築の注文住宅:約6ヶ月~1年
また、上記のように住み替え先によってもかかる期間が変動します。
住み替えを検討している場合は、最長1年ほどの期間が必要になることを視野に入れておくようにしましょう。
住み替えの方法
住み替えの方法には、
- 売り先行(今の住まいを売ってから新居を買う)
- 買い先行(新居を買ってから今の住まいを買う)
- 同時並行(今の住まいを売りながら同時に新居を買う)
の3つの種類があります。
種類 | メリット | デメリット |
売り先行 | 住み替え費用を工面しやすい ・家の売却に時間をかけられる |
・手間と費用が増える可能性がある ・家の購入に時間をかけにくい |
買い先行 | ・手間と費用を抑えられる ・家の購入に時間をかけられる |
・二重ローンになる可能性がある ・資金計画を立てにくい |
同時並行 | ・一度に全ての手続きが完了する ・手間と費用を抑えられる |
・新居選びを焦る可能性がある ・売却を焦る可能性がある |
それぞれメリットやデメリットが異なるので、スムーズに住み替えを行うためにも、自分に適した方法を選ぶことが大切です。
以下よりそれぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
売り先行
売り先行とは、今住んでいる物件の売却活動を先に行う方法です。売り先行を選んだ場合の住み替えの流れは、以下の通りになります。
【1.住居売却の流れ】
- 現在の住居の査定
- 現在の住居の媒介契約
- 現在の住居の売却活動
- 現在の住居の売買契約を締結する
- 現在の住居を引き渡して、代金を受領する
- 仮住まいへの引っ越し
【2.新居購入の流れ】
- 資金計画を立てる
- 住み替え先の新居を探す
- 新居購入のための住宅ローン審査をする
- 住み替え先の新居の売買契約をする
- 住み替え先である新居の住宅ローンを契約する
- 新居の決済・引き渡し
- 住み替え先の新居に引っ越す
売り先行の方法を選んだ場合の住み替えの流れから、メリット・デメリットを解説していきます。
メリット
売り先行のメリットは、住み替え費用の工面のしやすさと、時間をかけて住居を売却できることです。住んでいる住居を売却した後に、新居を購入する流れになります。
住み替え先の購入費用には、住居を売却した費用をあてられるため、資金面での計画と工面がしやすくなります。
また、住居の売却を優先して考えられるため、物件価格や相場、売却しやすい時期などをじっくり見極められ、住宅ローンを返済中である・住み替えの費用面に不安がある・売却を慎重に行いたい人に適している方法といえるでしょう。
デメリット
売り先行のデメリットは、手間と費用が増える可能性が高い、住んでいる状態での内覧が必要になる、新居の購入に時間をかけられないことです。
売り先行では、住んでいる住居の売却が先になるので、新居が見つかっていない状態であっても、期限内には退去しなければなりません。
一般的に、物件の売却をした場合は、売買契約より約1ヶ月での引き渡しとなります。約1ヶ月で満足度の高い新居を探して購入することは難しいため、新居が見つかるまでの間、仮住まいが必要になることも多いです。
それにより、仮住まいの手続きや費用、引っ越しの回数も増えるため、手間と費用が増える可能性が高くなります。引っ越しの回数を減らすために、新居を急いで探すという方法もありますが、満足度の高い新居に出会えず妥協せざるを得ないということも起こりえます。
他にも、住んでいる状態での内覧が必要になるため、内覧日のスケジュール調整や室内の整理整頓などが求められます。
買い先行
買い先行とは、新居の購入を先に行う方法です。売り先行とは反対の方法で、メリットデメリットも反対になるといえるでしょう。買い先行の実際の流れは、以下の通りです。
【1.新居購入の流れ】
- 資金計画を立てる
- 住み替え先の新居を探す
- 新居購入のための住宅ローン審査をする
- 新居の売買契約
- 新居の住宅ローン契約
- 新居の決済・引き渡し
- 新居へ引っ越し
【2.住宅売却の流れ】
- 現在の住居の査定
- 現在の住居の媒介契約
- 現在の住居の売却活動
- 現在の住居の売買契約
- 現在の住居を引き渡して代金を受領する
買い先行を選んだ場合の住み替えの流れから、メリット・デメリットを見ていきます。
メリット
買い先行のメリットは、新居探しに時間をかけられる、手間と費用を抑えられる点です。新居を先に購入するので、新居探しに妥協をする必要がありません。じっくりと検討をして新居を選べるので、住み替えの満足度も高くなるでしょう。
また、現在の住居を売却したとしても、引っ越しが1回で済むため、手間と費用がかかりにくくなります。
デメリット
買い先行のデメリットには、二重ローンになる恐れがある・売却価格を下げざるをえない可能性がある・資金計画が立てにくいことが挙げられます。新居を先に購入するとなると、現在の住居がすぐに売却できなかった場合、新居と現在の住居のローンを二重で支払わなければなりません。
二重ローンを避けるために、住居の売却を急ぐと、売却価格を下げざるをえない状況になる可能性も考えられます。新居の購入費用に関しても、先に自分で工面する必要があるため、売却した資金がどれぐらいあてられるかも不明です。
資金計画の立てにくさも避けられないため、買い先行の住み替え方法は、住宅ローンを完済している・新居の購入に時間をかけたい・自己資金に余裕がある人におすすめの方法といえます。
同時並行
同時並行とは、住居の売却と新居の購入を同時進行していく方法です。両方を同時に進めて行くため、理想的といえますが困難も多い方法です。同時並行を選んだ場合の流れは、以下の通りです。
【住居売却の流れ】
- 現在の住居の査定
- 現在の住居の媒介契約
- 現在の住居の売却活動
- 現在の住居の売買契約
- 現在の住居を引き渡して代金を受領する
- 新居への引っ越し
【新居購入の流れ】
- 資金計画を立てる
- 住み替え先の新居を探す
- 新居購入のための住宅ローン審査をする
- 新居の売買契約
- 新居の住宅ローン契約
- 新居の決済・引き渡し
- 新居へ引っ越し
同時並行を選んだ場合の住み替えの流れから、メリット・デメリットを見ていきます。
メリット
同時並行のメリットは、現在の住居売却と新居購入を同時に進めて行くため、二重ローンや仮住まいを準備する必要がなく、住み替えにかける手間と費用を最低限で抑えられます。そのため、手間と費用を最低限に抑えたい人に適した住み替え方法です。
デメリット
同時並行のデメリットは、タイミングを合わせるために、焦って売却と購入共に悪い条件で行ってしまう可能性がある点です。売却と購入を同時進行させていくだけではなく、新居を注文住宅にしているのであれば、完成する時期を売却が終わる時期と合せて行かなければなりません。
焦ると早く住居を売却したいために価格を下げてしまったり、条件の悪い新居を購入してしまう可能性があるので、満足の行く同時並行を実現するには、大変な労力が必要になります。
住み替えにかかる費用
住み替えの方法がわかったところで、住み替えにかかる費用について解説していきます。住み替えには、物件価格だけではなく、手数料や税金といったさまざな諸経費が必要です。
家の売却にかかる費用
家の売却にかかる費用は、以下の通りです。
仲介手数料 | 不動産の売買が成立した際に、仲介した不動産会社に支払う報酬。仲介手数料の上限は法律で定められています。以下の計算方法で算出できます。
■売却価格が400万円超の場合 |
印紙税 | 不動産売買契約書などの書面を作成した際に課税される税金で、契約書面に収入印紙を貼付して納入します。
■売却価格が1,000万円超~5,000万円以下の一般的な土地やマンションの場合 ※軽減税率適用後の印紙税額です。 |
登録免許税 | 所有権移転登記、住宅ローンの抵当権抹消登記の手続きのために納める税金。税額は売却する土地、家屋の評価額によって異なります。 |
登記費用 | 「所有権移転登記」、住宅ローンの「抵当権抹消登記」を司法書士に依頼した際の報酬です。 ■所有権登記1件 1万5千円前後(関東地区の平均値)出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(平成30年1月実施) |
ローン一括返済手数料 | 金融機関によって異なる |
譲渡所得税 | 売却して利益が出た時に支払う税金で、売却した年の1月1日時点での所有期間で税率が異なります。 5年以下:譲渡所得×39.63% 5年超:譲渡所得×20.315% |
住宅を売却したとしても、売却価格まるごとが収入となるのではなく、上記の諸費用を差し引いた金額が得られる金額になります。
また、かかる税率は不動産の評価額や所有期間によって異なり、自分で計算するのは難易度が高いです。そのため、登記手続きは司法書士に任せることも検討すべきです。多くの不動産会社は司法書士や税理士と提携しているので、査定依頼の際に合わせて相談するといいでしょう。
家の購入にかかる費用
家の購入にかかる費用は以下の通りです。
項目 | 費用目安 |
仲介手数料 | 不動産の売買が成立した際に、仲介した不動産会社に支払い報酬。仲介手数料の上限は法律で定められています。以下の計算方法で算出できます。
■購入価格が400万円超の場合 |
印紙税 | 不動産売買契約書などの書面を作成した際に課税される税金で、契約書面に収入印紙を貼付して納入します。
■購入価格が1,000万円超~5,000万円以下の一般的な土地やマンションの場合、1万円(令和6年4月現在) ※軽減税率適用後の印紙税額です。 |
登録免許税 | 所有権移転登記の手続きのために納める税金。税額は購入する土地、家屋の固定資産税評価額によって異なります。 |
登記費用 | 「所有権移転登記」を司法書士に依頼した際の報酬です。
■所有権登記1件 1万5千円前後(関東地区の平均値)/出典:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(平成30年1月実施)」 |
融資事務手数料 | 住宅ローンを契約する際にかかる手数料です。利用する金融機関により金額は異なります。/一般的には3~5万円
または、融資額の1~2%前後 |
不動産取得税 | 不動産を購入した際に納付する税。土地・建物それぞれに対して課税される。
■計算式 |
固定資産税 | 売主が納付したその年の固定資産税・都市計画税を所有日数によって清算し、買い主が売主に支払います。 |
火災・地震保険料 | 火災・地震ともに保険加入は任意ですが、住宅ローンを利用する際には火災保険加入は必須です。保険料は、建物の種類・構造、補償内容によって異なります。 |
住み替えには、上記の諸費用の他に、引っ越し費用もプラスされます。新居を探す際には、引っ越し費用も加味した計算をするようにしましょう。
住み替えに利用できるローンの種類
住み替えをしたいけれど、既にローンがあるからできないと思っている人もいるでしょう。結論からいうと、住み替えは、既にローンがある場合でも可能です。どのようなローンが利用できるのか、ここからは、住み替えに利用できるローンの種類を解説していきます。
住み替えローン
住み替えローンとは、現在住んでいる住居のローン残債と新居の購入費用をあわせて新たに借り入れできるローンです。
ローンが残っていたり、現居を売却した後の利益額を上回る資金を調達できるメリットがある一方で、必然的に借入額が大きくなるために審査が厳しくなる、優遇措置が適用されないために利息が高く設定される、現居の売却と新居の購入の決済日を同日にする、など注意すべき点も多く、慎重に選択すべきです。
ダブルローン
ダブルローンは文字通り、2つのローンを同時に利用することをいいます。買い先行の場合は、住宅の売却で得た利益を新居の購入費用にあてられません。そのため、現在契約中のローンを返済しながら、新居の購入費用のための新規ローンを契約することになります。
ローンの契約が2つになることで、返済負担が大きくなったり、現在契約しているローンによって新しく契約するローンの審査が厳しくなったりします。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、買い先行で新居を購入するにあたって、現在住んでいる住居の売却代金を受領するまでの一時的な融資になります。現居が売却でき次第、つなぎ融資の返済にあてられるため、融資期間がだいたい1年以内と短期であることが一般的です。
期限内に住居が売却できない場合は、融資期間内に現居を売却できない場合は、遅延損害金が発生したり、不動産会社との取り決めで想定より安い価格で買い取ってもらうなどの可能性があります。一般的な住宅ローンより金利が高く設定されており、手数料や保証料といった諸費用もかかるため、メリット・デメリットをよく理解して選択することが重要です。
それにより、住宅ローンが一括で返済できないリスクや、一般的な住宅ローンよりも金利が高い、手数料や保証料といった諸費用もかかるため、利用前にはしっかりと資金計画を立てておくのが重要です。
「つなぎ融資」と「買取り保証制度」を組み合わせたサービスです。住み替えの手間を削減し、スムーズな新居購入と納得の現居売却の実現をサポートするサービスです。ぜひ一度ご相談ください。
不動産売却の流れ
次に、不動産売却の大まかな流れを図を用いて解説していきます。
不動産の売却は、一般的に、下図のような手順で行われます。
事前準備から引き渡しまでには、一般的に半年程度かかります。
それより短い期間で売りたい場合は、不動産会社に相談してみると良いでしょう。
それでは、各手順を一つずつ説明していきます。
手順1.事前準備
家を売ると決めたら「まずは売却査定!」と気が急いてしまいがちですが、売却査定を受ける前に、下記のような準備を行っておきましょう。
- 近隣の相場を調べる
- 境界を明確にする(土地の場合)
- 必要書類を用意する
これらの準備は、売却査定をスムーズかつ正確に進めたり、売却後のトラブルを避けたりするために必要なことです。
少し手間のかかるものもありますが、一つずつ確認していきましょう。
事前準備1:近隣の相場を調べる
売却査定の前に、近隣相場をチェックしておきましょう。
その理由は、現在の相場を理解しないまま査定を受けてしまうと、提示された査定結果が妥当なのかどうか判断できないからです。
悪質な業者に騙されないためにも、事前に相場を把握しておくことが必要です。
中古住宅を販売している無料のWebサイトでチェックしていくのも良いですが、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を活用すれば、無料で簡単に信頼できる情報を調べられます。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
アクセスすると上の画像のようなページが表示されるので、左上の「不動産取引価格情報検索」をクリックして、売りたい家の地域を選択しましょう。
すると、任意の期間における実際の不動産販売価格がわかります。
売りたい家があるエリアの最新相場を把握して、売却査定のときにその情報と比較し、査定額が妥当かどうか判断できるようにしておきましょう。
事前準備2:境界を明確にしておく(土地の場合)
土地や、土地を含む一戸建てを売却する場合、「どこまでが自分の土地なのか」を明確にするために、土地境界確定測量を行うことが一般的です。
測量は義務ではないのですが、土地を売る場合は、ほぼ確実に「境界確認書」の提出を求められます。境界が明確でないと売却後のトラブルに繋がる可能性もあるので、測量しておくことをお勧めします。
なお、境界が確定するまでは、3~4カ月程度かかります。
早めに始めて、売買契約時には境界確認書を用意できるようにしておきましょう。
事前準備3:必要書類を用意する
売却査定を受ける前に、査定に必要な資料を用意しましょう。
【売却査定に必要な資料】
- 売却する不動産の「売買契約書」
- 売却する不動産の「重要事項説明書」
- 売却する不動産の「登記簿謄本(土地・建物)」
- 売却する建物の「図面・仕様書」
- 売却する土地の「測量図・境界確認書」
これらの書類は、必ずしも「用意しなければ査定が受けられない」というわけではありません。
しかし、上記書類を用意することで、査定額算出の精度向上が期待できます。
「しっかりと資金計画を立てるために、できるだけ詳しい査定額を算出したい」という方は、前もって用意しておくことをお勧めします。
手順2.売却査定
事前準備が終わったら、実際に売却査定を受けましょう。
不動産の売却査定には、下記2種類があります。
- 簡易査定(机上査定)
- 訪問査定(実査定)
・簡易査定(机上査定)
簡易査定は、売却する住居のエリアや築年数などの情報をもとに、大まかな査定価格を出す方法です。机上の情報だけで算出するので、「机上査定」ともいわれます。
簡単な情報を提供するだけで、素早く回答が得られます。ただし、室内の状態や管理状況、日当たりの確認など実際の物件を見ているわけではないので、近隣の相場や公示価格などを基にした大まかな査定価格しか得られません。
・訪問査定(実査定)
訪問査定は、実際に営業担当者が訪問し、住居の現在の状態などを細かく調査して査定価格を出す方法です。データだけではわからない、住居の魅力や周囲の環境などを反映して算出します。
実際に住居を見て査定することから、「実査定」ともいわれます。
訪問対応が必要なので、手間や時間はかかりますが、簡易査定よりも詳しい査定価格が得られます。
簡易査定のみで家を売ることはない
2種類の査定方法のうち、簡易査定のみで家を売ることはありません。
簡易査定を受けたあとは、確実に訪問査定を受けることになります。
早く売りたいと考えている人は、訪問査定から始めると良いでしょう。
なお、査定を受けるときは、1社だけでなく複数社から見積もりを取ることをお勧めします。
査定価格はもちろん、「査定額だけでなく根拠を明示してくれるか」「相談に親身に乗ってくれるか」など、担当者の対応もチェックして、一番良い会社を選ぶようにしましょう。
手順3.媒介契約
売却査定が終わったら、実際に売却活動を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは、サービス内容や契約期間などを法的(宅地建物取引業法第34条の2)に定めるもので、下記3種類に分けられます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの違いを、下表にまとめました。
表からわかる通り、「一般媒介契約→専任媒介契約→専属専任媒介契約」の順に、制限が厳しくなっていきます。
どの方法を選べば良いのかは、状況によって異なるため、一概にはいえません。
それぞれにメリットとデメリットがあり、販売する物件の条件などによって、選択するべきものが変わってくるからです。
たとえば、一般媒介契約は複数の会社と同時に契約できますね。
しかしその分、不動産会社側は「この物件を売ることで確実に自社の利益になる」という確約がないため、損失を避けようとしてあまり広告費を割かない可能性があります。つまり、あまり多くの人の目に触れず、買い手がなかなか現れないおそれがある、ということです。
また、販売状況を報告する義務がないため、進捗がわかりづらくなる可能性もあります。
他にも、「レインズ」と呼ばれるオンラインの物件情報システムへの登録義務がない、という点も注意が必要です。
レインズとは、市場に出ている多くの物件が登録されている不動産業者独自のシステムです。レインズに物件を登録すると、媒介契約している不動産会社以外にもあなたの不動産が売り出し中であることが伝わります。 つまり、媒介契約していない不動産会社も、あなたの売却する住居を自社の顧客に紹介してくれるようになるのです。
レインズに登録しないということは、物件を宣伝する機会が減るということです。あなたの売却する住居をより多くの人に知ってもらうためには、レインズへの登録も1つのポイントとなってきます。
では、一般媒介契約は良くないのかというと、そんなことはありません。
広告費を割かなくても売れるような好条件の物件であれば、一般媒介契約で十分な可能性があります。また、「家を売っていることを周囲に知られたくない」などの希望がある場合は、むしろレインズ登録義務がないことは利点となるかもしれません。
このように、物件の条件や売り主の意向や理由によって、どの契約が最も相応しいかは変わってきます。
売却査定のときに担当者に相談してみて、一番納得のいく媒介契約を勧めてくれた会社と契約すると良いかもしれませんね。
手順4.内覧対応
媒介契約を結んで実際に販売活動を開始すると、「家を見てみたい」という内覧希望者が現れます。
物件の内覧する人は、自分の目で見ることで、間取り図や写真などだけではわからない物件の価値を見極めようとしています。
物件の良さをきちんとアピールして好印象を与えることができれば、成約の可能性はグッと上がるのです。
内覧対応で良い印象を持ってもらうためには、下記のようなポイントに気を付けると良いでしょう。
- 事前に掃除して綺麗にしておく
- 内覧希望者の要望には柔軟に応える
- 内覧時には丁寧に接し、物件の情報をきちんと伝える
どれも当たり前のことですが、これをしているかしていないかで印象は大きく変わります。
家の売却は買い手がいて初めて成立するものなので、できるだけ良い関係を築けるよう心がけましょう。
なお、内覧対応の回数が増えてくると、連絡対応、休日の予定調整などの負担が増えていきます。この内覧対応が負担だと感じる場合は、業者買取サービスを利用するのも一つの手です。
業者買取サービスとは、家を一般の個人ではなく不動産会社に買い取ってもらう方法です。買取価格は相場の70~80%と安くなってしまいますが、売却にかかる時間と手間は大幅に軽減されます。
手順5.売買契約
内覧で物件を気に入ってもらえて購入に至ったら、売買契約を結びます。
売買契約では、さまざまな書類などが必要になります。下記の記事にまとめましたので、ぜひ確認してください。
【一戸建て、マンションによらず必要なもの】
- 印紙代
- 印鑑(実印)
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(免許証、健康保険証など)
- 登記済権利書もしくは登記識別情報
- 固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
- 固定資産税評価証明書
- 仲介手数料(現金または小切手)など
【一戸建ての売却で必要なもの】
- 建築確認通知書および検査済証
- 土地測量図および境界確認書 など
【マンションの売却で必要なもの】
- 管理規約、使用細則など
- マンションの維持管理費に関する書類 など
耐震診断やアスベスト使用調査を受けている場合は、その報告書も用意しておきましょう。
必要なものが随分と多いですが、事前に不動産会社から説明があるので、落ち着いて用意すれば大丈夫です。当然ですが、賃貸借契約と違って、売買契約は一度結ぶとなかなか解除できません。
ただし、「住宅ローン特約」や「買い替え特約」が付いている場合、買い主の都合によっては契約が白紙解除される可能性があります。
これらの特約は、それぞれ「買い主がローンを組めなかったら契約が解除される」「買い主が自分の家を売れなかったら契約が解除される」という、買い主側の事情での白紙解除を認める内容になっています。
契約がキャンセルされると、当然、また一から販売活動を再開することになってしまいます。
契約を結ぶ前には、特約の有無だけでなく、買い主側の状況も確認しておきましょう。
手順6.決済・引渡し
売買契約が結ばれたら、日程を調整し、決済と引渡しを行います。
引渡しの手続きの際に必要な書類もこちらにまとめているので、ぜひ確認してください。
なお、不動産の引渡し時には、完全に引っ越しが済んでいることが原則です。
そのため引渡し前はかなり慌ただしくなります。不動産会社とよく相談しながら、計画的に準備しておきましょう。
住み替えに適したタイミングとは
住み替えに適したタイミングは、売り先行や買い先行など、その方法によって異なります。住み替えがスムーズに進むよう、物件別の住み替えに適した方法や注意点などを解説していくので、タイミングに悩んでいる人は、下記を参考にしてください。
新築分譲マンション
新築分譲マンションの場合は、買い先行で購入するマンションを決め、売主であるマンションのディベロッパーに現在の住居の売却を相談するのがおすすめです。売り先行にしていると、現在の住居の売却をしている間に、希望していた部屋の購入ができなくなる可能性があります。
中古マンション
中古マンションへの住み替えも新築分譲マンションへの住み替えと同様に、買い先行の方法を選ぶ人が多いです。マンションの場合、中古でも新築であっても、一戸建てにはない管理費・修繕積立費といった月々の支払いが発生するので、資金計画時には物件の購入費用のみではなく、月々の支払いがあることも加味した上で計画を立てるようにしてください。
注文住宅
注文住宅は契約から引き渡しまで時間がかかるため、必然的に住み替え方法は買い先行となります。新居の引き渡し前に、現在の住居の売却が決まった場合は、仮住まいが必要になるので、同日決済を目標にして売却活動を行うのがおすすめです。
中古戸建て
中古戸建ては、引き渡し日や決済日など、売主と買主の双方の合意によって決めることができます。住み替えのタイミングを自分の都合に合せて行うこともできるので、注文住宅と同様に、同日決済を目標にして売却活動を行うとよいでしょう。
新築分譲戸建て
新築分譲戸建てへの住み替えをする場合、すでに建築が始まっている戸建てについては、引き渡しまでの期間が短いことから、買い先行になることが多いです。しかし、売却活動をして売却できるまでの期間は約3〜4ヶ月が一般的なので、新居を先に購入した場合、二重ローンになってしまいます。
二重ローンは月々の返済額が負担になる可能性が高いので、同日決済を目標に売却活動をするのがおすすめです。
住み替えに失敗しないための注意ポイント
住み替えを成功させるには、住み替えの目的を明確にして、スケジュールをしっかり把握しておくことが重要です。住み替えに失敗しないための注意ポイントを解説していきます。
住み替えの目的を明確にする
住み替えの目的は、転勤になったためや老後に備えてなど、人によって異なります。個々の条件によって、住み替えのタイミングや住み替え先の物件を選ぶ基準も違うため、住み替えの目的を明確にし、計画を立てるようにしましょう。
住み替え方法を選択する
住み替え方法を先に選択してから、資金計画や住み替えについてのタイミングを計画するのも、失敗しないためのポイントです。住み替え方法によっては、自己負担金が増えたり、二重ローンになる恐れがあります。自分に適切な方法で住み替えを行うことが大切です。
住宅ローン残債を確認しておく
一般的に住み替えは、抵当権抹消登記を行うために、現在の住居を売却した金額で既存のローン残債を一括返済します。
自己資金で既存の住宅ローンの返済ができれば問題ありませんが、できない場合は、二重ローンになるため、月々の返済が負担になることを避けるためにも、住宅ローンの残債は確認しておくようにしましょう。金銭面に不安を感じるのであれば、住み替えのタイミングも再検討するのがおすすめです。
諸費用が発生することを忘れない
住宅の購入や売却には、諸費用が発生します。売却した金額が丸々得られるのではなく、諸費用を差し引いた金額が手元に入るお金で、購入の際も物件の価格に加えて諸費用がかかります。
また、売却と購入のタイミングによっては、仮住まいが必要になることもあるので、資金計画時に諸費用や引っ越し費用などが発生することを忘れないようにしてください。
住み替え期限の有無を確認する
住み替えまでの期限の有無も確認しておくようにしましょう。例えば、転勤で数ヶ月後には住み替えを行わなければならない場合、買取り保証を利用するのがおすすめです。買取り保証とは、ある期日までに物件を売却したい場合、期日までに買主が見つからなければ、不動産会社が物件を7割程度の価格で買い取ってくれるという保証サービスです。
ただし、不動産会社によっては、買取保証を行っているかどうかは違うため、事前に確認をしましょう。期日がなければ、買取り保証を利用する必要はありません。
物件の査定額の根拠を確認する
物件の売却時には、不動産会社に査定を行ってもらいます。信頼出来る不動産会社かどうかを判断するために、査定結果の根拠をしっかりと説明してくれるかどうかという点とあわせて、査定額が適正かどうかを自分自身でも判断できるように、情報を集めておくようにしましょう。
自分自身で調べる際には、国土交通省が運営している不動産情報ライブラリを利用して近隣の相場を確認することができます。
物件はすぐに売れるとは限らない
これまでに物件が売却できる一般的な目安を解説してきましたが、あくまでも目安であって、物件はすぐに売れるとは限りません。
数ヶ月で売れることもあれば、1年かかっても売れないケースもあります。住み替えのスケジュールには余裕を持つように心がけましょう。
ただし、買い先行の場合は、物件が売却できなければ資金繰りに問題が発生することもあるので、買い方を決めた上で不動産会社と綿密な計画を立てるようにしてください。
信頼出来る不動産会社を選ぶ
住み替えを任せる不動産会社は、査定金額のみで決めるのではなく、担当者の対応や住み替えの実績度など、総合的な部分を見て選ぶようにしましょう。
三社ほど選んで売却査定を依頼してみてください。
コスモスイニシアにもぜひご相談ください。お客さまのご事情に寄り添ったサービスを多数ご用意しております。
※記事中の写真は全てイメージです。