不動産投資にはシミュレーションが必須!目的を理解してしっかりシミュレーションしよう!
不動産投資を検討しているそこのあなた、しっかりと投資シミュレーションを行なっていますか?
シミュレーションしないままに不動産投資を行うことはとても危険です!
今回は、事前にシミュレーションした方がいい理由と、シミュレーションを行う上で準備すべきことをご紹介します!
不動産投資シミュレーションとは
不動産投資において、シミュレーションは必要不可欠と言っても過言ではありません。シミュレーションは、必要な自己資金額、投資する際に起こり得るリスク、収益性の良否、などをより確実性の高い数値として確認することができます。
(事業の失敗や借金など、不動産投資に付き物の「リスク」に対して不安が大きくなかなか一歩を踏み出せない方々、)不動産投資においては「 リスク ≠ 危険 」であり「 リスク = 不確実性 」だということを知っていれば、リスクヘッジは可能です。
まずは、シミュレーションを行う意義から詳しく解説していきましょう。
シミュレーションすることは不動産投資において必要不可欠!
「投資用不動産を購入して経営する」と口で言うほど、不動産経営は容易ではありません。何故なら一つの不動産において複数の収支が存在するからです。ただし、それぞれの収支をきちんと把握し、最適化していくことができれば、その物件から利益を得ることは十分に可能となります。
また、収支は、投資用不動産の購入後に把握すれば良いというものでもありません。購入後に、いくら最適な経営を行っていったとしても、そもそも物件そのものの価値自体が当初から低ければ、黒字経営は難しくなります。その物件が本当に投資する価値があるのか、経営することで利益を生む可能性があるのか、購入前に見極める必要があるのです。
その見極めのために「シミュレーション」を行うのです。
具体的な収支計画が立てられる
シミュレーションをすることで、不動産経営の成否を左右する「収支計画」により具体性を持たせることができます。「収支計画」の作成は事業計画の要です、不動産投資ローンを組む際に金融機関が特に注視する部分です。
不動産経営におけるキャッシュフローは「手元に残るお金」を意味します。「利益」は収益から必要経費を差し引いた金額ですが、「キャッシュフロー」は収益から必要経費と将来見込まれる修繕費やローンの返済額など、すべての支出が引かれた後の手元に残る金額を指します。
不動産投資では、その不動産を取得した後の数年間は減価償却による税制の優遇(繰り延べ措置)が受けられますが、数年後には【 減価償却額 < ローンの元金返済額 】となる、いわゆる「デッドクロス」のタイミングが訪れます。「収支計画」の作成においては、このデッドクロスのタイミングをしっかり把握した上で、収益性の低下に対応するプランを立てておくことが必要です。
さらに、投資用不動産を取得する際は通常「 出口戦略 = 売却計画 」も策定しておくことが肝心です。
これらの要素をすべて把握して、より具体的にシミュレーションすることで、投資検討している不動産のマイナス要素を発見することができるようになるのです。
リスクへの対策ができる
先述の通り、不動産投資でリスクをゼロにすることはできません。しかし、リスクヘッジすることで、損失を最小限に抑えたり損失そのものを回避したりすることはできます。
不動産投資で特に対策を講じておきたいリスクは以下の3つです。
〇経済リスク : 金利の上昇や周辺環境の変化
〇運用リスク : 家賃滞納問題や空室問題
〇天災リスク : 地震や火災
そもそも空室リスクが高い(=賃貸需要が小さい)地域ではないか、周辺地域に再開発や大型施設の移転計画はないか、借入額が大きすぎないか、などシミュレーションではさまざまなリスクを考慮します。
シミュレーションを行うことが、リスクの軽減された適切な不動産投資へとつながるのです。
シミュレーションするために必要な準備
シミュレーションには、正確性が求められます。
使用するデータが間違っていると、計算結果が変わり、不動産投資・経営判断に大きな影響が出てしまいます。不動産投資の成否を左右しますので、慎重に行うことが重要です。
まずは、購入を検討している物件のデータを揃えていきます。購入するのは土地のみか、土地+投資用不動産であるか、新築か中古か、築年数は何年か、修繕履歴はあるか、などを詳細に確認していきます。条件次第で、その物件の価格が高額すぎるか、それとも割安な価格なのか、判断が変わってくるからです。
また、不動産経営では、投資対象物件の立地条件が成否の大半を占めると言われるほど重要です。競合物件、周辺環境を参考に、賃貸ニーズや人気の間取り、家賃相場などを想定していきます。そこから、購入したい物件を実際に経営する際の「満額家賃収入」「想定空室率」「諸経費率」「自己資金」「借入額」「借入金利」などを設定していきます。
利回りを確認する場合は、「表面利回り」と「実質利回り」の違いに注意しましょう。表面利回りは年間の満額家賃収入額を物件価格で割った数字(比率)です。実質利回りは、諸経費や維持費なども考慮に入れた、より実際の収入に近い数字(比率)です。不動産会社などの物件情報に掲載されている利回りは「表面利回り」であり、経費などが考慮されていないことを十分考慮しておく必要があります。
利用可能な融資先を選ぶ
不動産投資の大半は、自己資金に不動産投資ローンを組んで事業を始めます。ローンの申込先である金融機関にはさまざまな種類がありますが、自分に合った金融機関を選択する必要があります。
不動産投資ローンとして貸付を行っている金融機関は「民間金融機関」と「政府系・公金融機関」の2種類があり、代表的な金融機関には以下のような種類があります。
・民間:都市銀行
三菱東京UFJ・みずほ銀行・三井住友銀行・りそな銀行といった広域でサービスを展開する大手銀行が該当します。
取引量・預貯金として預けられている金額が大きいため、金利が低めに設定されているという特徴があります。その分、融資の評価基準は高く審査も厳しいため、融資を受けるハードルはかなり高くなっています。
・民間:地方銀行
都市銀行ほど大きくありませんが、各都市部を中心にサービスを展開する中規模の銀行です。地名+銀行の名称となっているケースが大半です。
都市銀行よりも評価基準・審査は緩い傾向にありますが、金利が少し高くなる面もあります。各地方に根付いた銀行のため、事業展開している地域に居住地があるほうが融資に有利と言われています。
・民間:信用金庫・信用組合
地方銀行よりも小規模な金融機関となります。そのため、申込者と投資物件の両方が近くにある必要があります。
都市銀行・地方銀行では融資が下りなかった中小企業・個人事業者相手でも相談にのってくれて、融資を前向きに検討してくれるケースがあります。
・公的:日本政策金融金庫
全国で事業を展開する政府系の金融機関です。公的機関のため、社会的に弱い立場にある事業者に対しても融資を行っています。ただし、他の民間の金融機関よりも融資期間が短く最大でも15年程度であり、融資金額も4,800万円程度が限度となっています。融資基準・審査も厳しいため融資のハードルは高いと言えるでしょう。
・公的:商工組合中央金庫(商工中金)
政府系の公的金融機関です。全国的にサービスを展開しており、民間金融機関と同様に、融資以外にも預金や債券発行などの業務も行っていることが特徴です。
融資の審査では、特に建物の耐用年数に厳しいため、中古物件の購入では築浅物件以外は審査が下りない可能性もあります。金利は低めですが、融資期間は15年程度ですので、新築や築浅物件の購入の場合はローンが組みにくいという面もあります。
いずれの金融機関であっても、「返済期間」「毎月の返済額」「支払い総額」「金利」は重視しなければなりません。一般的に安定した黒字経営を行うためには、不動産取得額の3割程度の自己資金が必要と言われています。
また、ローンの返済は、返済期間が長期間になるほど毎月の返済額は小さくなりますが、支払い総額は増加します。反対に返済期間を短ければ毎月の返済額は大きくなり、毎月のキャッシュフローは減少しますが、支払い総額は大きく減らせます。
どちらを選択すべきかは、デッドクロス時にもキャッシュフローを最低限維持できるかなど、発生し得るリスクを考慮し、バランスを考えて決めることをおすすめします。何を重視するのかによっても変わってくるため、何パターンかシミュレーションして、金融機関や不動産会社ともよく相談してみてください。
実際にシミュレーションをしてみよう
必要な要素が揃ったら、シミュレーションを行ってみましょう。融資内容によって変動する「金利」「返済期間」「借入額」などについては、融資が完全に決まってからでないと正確には確認できません。融資が決まる前にシミュレーションする場合には、金融機関で公表している金利の中で高いもの使って計算するようにしましょう。
収支については10年先までシミュレーションしておくことをおすすめします。
毎月のローンの返済額は
借入額 × { 月利 × ( 1 + 月利 ) ^ 返済回数 ÷ ( 1 + 月利 ) ^ 返済回数 - 1)}
※月利:1か月あたりの金利のこと
を利用して算出しましょう。
不動産経営では、投資後の経過年数によって収支が変動し続けます。それぞれの時点での収支をしっかりとシミュレーションしておくことで、不動産を売るタイミングをより具体的に想定できます。
毎月の収支は
想定家賃 - ( 諸経費 + 固・都税 + 管理費 + 修繕積立金 + ローン返済額 )
の式で算出が可能です。不動産管理会社に管理を依頼する場合は、家賃収入の5%を管理費として見積もっておきましょう。サブリース契約を行う場合、家賃の空室保証がついているケースが多いですが、定額の家賃保証でないこともありますので、契約内容をしっかり確認することが必要です。不動産は経年劣化によって徐々に価値が下がります。それに伴い家賃が下がっていけば、家賃の空室保証であっても、家賃保証額の見直しにより収入額は下がっていきますので、家賃がどの位下がるのかを想定しシミュレーションしておきましょう。
まとめ
今回は、投資用不動産の購入を検討する際に、必ず行いたいシミュレーションの重要性と実際に何を考慮すべきかについて解説してきました。不動産投資の収支計画は容易なものではありませんが、正確なデータを適切な方法でシミュレーションすることで、購入すべき物件かどうかの判断や、リスクヘッジにもつながります。
これから不動産投資を考えている方や、購入検討中物件のある方は、今回の記事を参考にして不動産投資シミュレーションをしてみてください。
2019/12/26時点での情報です。