一体いくらになるの? マンションの売却に向けて価格相場を知ろう
マンションの売却は、人生の中でもあまり経験することのない一大イベント。大切なマンションを売るのですから、できるだけ損をしたくありませんよね。しかし、「いくらで売れるかさっぱり分からない」という状態では、損をしてしまう可能性も大きいです。そのまま、売却を進めても不安や疑問ばかりになってしまいます。
マンション売却を考えたときの第一歩として「価格相場」を知ることはとても重要です。でも、価格相場ってどうやって調べたらいいの?という方も多いですよね。
今回は、マンション売却の進め方についても触れつつ、価格相場を知る方法や実際に不動産会社に査定をしてみる方法などを分かりやすく解説していきます。
マンション売却を成功させたい方の参考となれば幸いです。
目次
知っておこう! マンション特有の査定方法、「時点修正」とは?
査定には2つの方法がある!
気になるマンションの価格相場。今後の生活のためにも、なるべく高く売却したいですよね。
そこでまずは、査定を依頼してみることをおすすめします。
査定依頼には「簡易査定」と「訪問査定」があります。どちらで依頼するかは、できるだけ早く売却したい場合、売却したい気持ちがあるが検討中の場合など、それぞれの事情によって異なります。
詳しくはこちら:不動産売却、査定額「だけ」高い業者に要注意! 騙されないコツと基礎知識
それでは、「簡易査定」と「訪問査定」について、ひとつずつ見ていきましょう。
簡易査定(机上査定)
簡易査定は、売却しようとする物件に関するデータのみで簡単に査定額が算出されるものです。「机上査定」とも呼ばれています。
マンションの所在地、面積、築年数などのデータをインターネット上で入力することにより、簡単な査定が可能です。査定対象の不動産周辺における現在および過去の取引データから査定額を割りだしてくれます。
簡易査定は、インターネットや電話のみで簡単に査定依頼ができます。査定依頼をしてから返答までの時間が早く、スピーディーに査定額を知ることができるメリットがあります。例えば、インターネット上で依頼すれば、早くて1時間程度で返答がくることもあるのです。
「まずは、おおよその価格相場が知りたい」という方におすすめの査定方法です。
訪問査定
訪問査定は不動産会社の担当者が実際に訪問して、データでは分からない建物や周辺の細やかな状況を調査したうえで査定額を算出する方法です。
周辺環境や建物の外観、周辺の雰囲気、設備の状況、見晴らし、日当たり状況などは実際に見てみないと分からないですよね。周辺環境や建物の外見などの評価がデータのみで導き出された査定価格へと反映され、簡易査定よりも信頼性の高い査定価格となります。
実際にマンション売却を依頼する場合には、「訪問査定」は必須です。訪問査定によって出た査定額が、売却価格を決めるときのベースの価格となるのです。
「簡易査定→訪問査定→売却依頼」という順番で売却を進める場合には、それなりに期間がかかってしまうことを覚えておくといいでしょう。
そのため「短期間で売却したい」と具体的に売却を進めることが決定している場合は、簡易査定を省き「訪問査定→売却依頼」という流れで、早期に売却を進めていくとよいかもしれません。
「このマンション、売ったらいくら?」実際に見てみよう
査定する前に「どのくらいの価格で売れるか?」を実際に知ることができるサイトがあります。それが土地総合情報システムです。
この土地総合情報システムを利用すると、国土交通省が公開している不動産取引価格情報を知ることができます。実際に不動産取引をした人へのアンケートの集計結果がまとめられており、価格相場を知る一つの指標となります。
◎具体的な操作方法
それでは、実際に操作してみましょう。
①まずはトップページで「不動産取引価格情報検索」という箇所をクリックします。以下の画像の赤い丸の部分です。
②「不動産取引価格情報検索」をクリックすると出てくる画面に移ります。
ここには、【1.時期を選ぶ】【2.種類を選ぶ】【3.地域を選ぶ】などの選択項目があります。【2.種類を選ぶ】は「中古マンション」等を選択し、【3.地域を選ぶ】では売ろうとしているマンションの近隣地域を選択していきましょう。
③次に実際に検索してみましょう。ここでは、次のように入力してみます。
【1.取引時期】→ 平成28年第2四半期
【2.不動産の種類】→中古マンション等
【3.地域】→東京都港区赤坂
すると、画像のような検索結果が出てきます。
この検索では、「平成28年第2四半期」の時期に取引された「東京都港区赤坂エリア」の中古マンションが検索結果として出てきます。
寄り駅までの距離、間取り、築年数取引時期などを見て、売りたいマンションと同様の条件の物件を探してみましょう。そして、取引されている価格をチェックしてみます。いくつか似た条件の物件が発見できれば、おおよその値段が分かるでしょう。
④さきほどの検索結果だと、間取りや築年数がバラバラに表示されました。条件ごとに並べ替える場合の操作をしてみます。
例えば間取りを「2LDK」としたい場合には、「間取り」の箇所にある「▼」の「2LDK」をチェックすると、以下のように2LDKに絞った検索情報が出力されます。
検索結果は以下のように表示されます。
同じエリアで間取りが一緒の取引事例を見ることができます。同様に、築年数、取引年数などに絞って検索ができ、近隣地域での相場を知ることも可能なシステムです。
不動産会社へ査定をお願いする前に、このような方法で相場価格のチェックをしてみるのもおすすめです。
マンションの査定価格に影響する6大ポイントとは
マンションの査定価格は、過去の取引事例や市場動向などをもとに算出されます。
それでは、どんなポイントが査定価格に影響するのでしょうか。主に影響する6つのポイントを紹介していきます。
周辺環境などの立地
マンションの査定価格を決めるのは「室内だけ」と思いがちですが、実は周囲の環境も大きく影響しています。周辺環境を含めた立地は、生活していく上で切り離せないものです。立地が良いことが査定価格を高くする条件になります。
スーパーマーケットやコンビニなど、買い物に便利な商業施設が近くにあるのも条件のひとつです。さらに、病院や銀行、郵便局が周囲にあると査定価格が高くなるでしょう。生活に密接に関わりそうな施設が近くにあることは、多くの人の生活を豊かにするプラスのポイントとなります。
子育て世帯が気にするのは、幼稚園や小学校、公園などが近所にあるかということです。子育てをしていく上で必要な場所が近くにあると、人気物件となります。
また、マンションが接する道路の幅なども、査定価格に影響することがあります。歩道が設置され、道路幅が広いと安全性が確保されていると考えられます。子育て世帯にとっては、子どもの通学路も気になるポイントです。
このように、基本的には便利で暮らしやすい環境が整っているほど高額査定となります。
立地条件についてはこちら:「資産価値の落ちにくいマンション」の選ぶための10のポイント
最寄り駅までの距離
マンションでの暮らしを希望する多くの人が気になる点は、「最寄り駅までの距離」でしょう。
特に都心部など駅を日常的に利用する方々は、最寄り駅までの距離が近いほど購入意欲が湧きます。
つまり、最寄り駅まで近ければ近いほど査定価格は上がっていく傾向にあるのです。
マンションの状況、築年数
マンションの状況、築年数も査定価格に影響します。
マンションが建てられた時期、つまり築年数の経過にともなって建物は古くなります。そして、建物が古くなれば建設された時の状況とは異なってくるものです。
特に地震の多い日本では、マンションの築年数や状況だけではなく耐震構造が気になるという方もいるでしょう。現在の耐震基準を満たしているのは昭和56年6月1日以降に建築確認を受けて建設されたマンションです。この日付以前のものは、「旧」耐震基準により建設されています。
このように築年数が古いマンションは、耐震性に不安があるため、査定価格が下がってしまうポイントにもなります。
階数や方角、傍観など
集合住宅であるマンションでは、「どの階数に住むか」も大きな選択ポイントの一つであると言えます。一般的には、高層階であるほど見晴らしがよく、人気が高いのです。高層階のマンションを売却する場合に、高層階であることは、大きなアピールポイントになるでしょう。
遮るものがなく開放感のある景色は、高層階ならではのもの。高層階は需要が大きいこともあり、その分査定価格へよい影響をもたらします。
また、日中でも日当たりのよい方角にリビングが面している物件もポイントが高いです。
そして、隣の部屋に挟まれていない角部屋も人気です。隣に部屋がないため、窓の数が多いので日当たりがよく、複数の方角からの景色を見ることができます。
同じマンション内でも、階数や方角といった条件によって査定価格は異なるのです。
マンションの最上階についてはこちら:実際どうなの!? マンション最上階のメリット・デメリットを徹底解説
保守・セキュリティー
マンションの管理組合がしっかりと機能していれば、マンション全体の建物の維持管理が適切に行われます。マンションの共用部分である外壁やエントランスホールなどのメンテナンスが定期的に行われているマンションほど、査定価格は高くなります。
また、オートロックが設置されていたり、管理人が常駐していたりするマンションは、セキュリティー面がしっかりしているので、査定価格をアップさせる条件になります。
使用状況やリフォームなど
丁寧に使用されている部屋ほど、査定価格が高めになる傾向にあります。一般的には中古マンションの購入を希望している人は、中古であることを理解しています。しかし、あまりにも汚い使用状況や劣化が見られる物件だと、下見の段階で購入意欲を失ってしまう可能性もあるでしょう。
ただ、築年数が経過している物件でもリフォームを何度か施している物件は査定価格アップの条件となります。査定時に「どこをリフォームしたか」という点を伝えられるようにしておきたいですね。
基本的に壁紙の汚れ程度なら査定価格の増減にあまり響くことはありません。中古マンションを購入する方の多くが、壁紙を交換しての入居を検討するからです。壁紙の変更は比較的簡単なリフォームです。
一方、大がかりになってしまう水回りは、使えるものはそのまま使う傾向にあります。浴室内にカビが多い、トイレの汚れがひどい、キッチン回りが汚いなど、ハウスクリーニングをしても除去できないほどの汚れがあると、査定額に影響してしまうのです。
売却査定を依頼する際のポイントとは
おおよその価格を知ったうえで、実際に査定を依頼する際に注目したいポイントがいくつかあります。
マンションの売却は人生において何度もある訳ではないので、何も知らない状態では価格が正しいのかも分からず、不安が残ってしまいますよね。
正しい知識を身につけ、後悔のない売却査定を依頼しましょう。
知っておこう! マンション特有の査定方法、「時点修正」とは?
一般的な土地やマンションを取引する場合の査定では、周辺の不動産の取引事例を査定価格の参考にします。これを「取引事例比較法」と言います。
取引事例比較法では、価格査定をするマンションと似たような物件をあげ、比較しながら査定額の金額を出していきます。駅からの距離、築年数、間取り状況、階数など似ている物件の取引を参考にして、査定価格に反映させていく方法です。
また、不動産は常に価格変動をしているため、事例として取り上げた不動産の取引が行われた時点と価格査定を行う時点が離れている場合はその変動を考慮する必要があります。
例えば、査定の対象となっている物件と同じマンションが2年前に4000万円での取引が行われていたとします。つい「同じ4000万円で売れるだろう」と考えがちですが、2年前の取引価格が今も妥当な価格とは限らず、むしろ価格が変動していると考えられるのです。
この価格変動を修正するのが、「時点修正」です。時点修正をすることで、相場となる査定価格を算出していきます。
マンションは、査定額が売出価格ではない
査定を依頼した時に、査定額が予想より低いと少しショックを受けてしまいますよね。相続で得たマンションを売りたい、引っ越しのために売りたい…などさまざまな売却理由がありますが、少しでも高く売りたいと考えるのは当然です。
しかし、売却する理由によっては価格に大きな差が出てしまうこともあります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- すぐにでも処分したいので、相場よりも相当安い価格で売り出した
- 相続した不動産で活用方法がなく、安く手放した
- 売却を急いでいたので値下げ交渉にすぐに応じた
このようなケースは、たとえ査定価格が高くても「早く売りたい」という特別な事情があったため、安く売ったと言えます。
つまり、査定価格=売出価格とは限らないということです。
基本的に不動産会社が提示する査定価格は、「この価格ならば売れるだろう」という価格です。そのため多くの場合は、売主が考える「この価格で売りたい」という価格とは離れています。おそらく、査定をした不動産会社は「この額なら売れる」と査定価格での売却を勧めてくるでしょう。
最終的に売出価格を決めるのは売主本人です。必ずしも査定価格で売り出さなくてもよいということを知っておくのも大切なのです。
ただし、注意したいポイントがあります。
それは、査定額からあまりにもずれた金額を売出価格としないことです。あまりにもかけ離れた高い金額設定をすると、なかなか売れずに売却が長期化するリスクがあります。最終的には値下げをしてしまい、その間の住宅ローンの支払いや税金が余計にかかってしまう可能性も出てきます。
査定額と希望売却価格とのバランスを考えながら、慎重に売出価格を決めていきましょう。
複数社に依頼をし、平均価格を知ろう
一戸建てなどにも言えることですが、不動産には定価がありません。そのため、不動産会社の担当者は周辺の過去の取引事例を参考にしたり、査定対象物件の状態を総合的に考えたりして、査定価格を算出します。しかし、ここで注意したい点は「不動産会社によって査定価格が異なる」という点です。
1社だけに査定を依頼し、その不動産会社に売却を依頼するのはリスクが大きい場合があります。なぜなら、不動産会社によって査定価格にバラつきが出ることもあるからです。
そこでおすすめなのが複数社に査定依頼をし、査定価格を比較することです。複数社から出た査定価格をもとにすると、だいたいの平均価格が分かります。平均価格をベースにし、依頼する不動産会社を決めるといいですね。
また、複数社に査定依頼すると、査定額が高い会社があるものです。「査定額が高い会社に依頼するべきでは?」と考えがちですが、高い査定価格だからといって、必ずその金額で売れる保証はありません。
査定依頼をするときは、複数社からの査定で平均価格をチェックしましょう。平均価格を知ることで適切な価格が分かり、売却の成功に繋がります。
不動産会社の対応や特徴もチェック!
複数社に依頼すると、査定額の違いだけでなく顧客に対する対応の違いを見ることもできます。不動産売却に対して専門的な知識があるのは頼りになる存在です。しかし、売主の気持ちを無視した一方的な説明をする担当者は信頼性にかけるのではないでしょうか。
分からない専門用語を分かりやすく説明する、売主の話をしっかりと聞いてくれる、丁寧な対応をしてくれる…なども見極めるポイントです。
さいごに 価格相場を知り、納得のいく売却を!
マンション売却を成功させるコツは価格相場を知ることです。何も知らない状態では、不安や疑問が大きくなるばかりでなく、損をすることもあるかもしれません。
不動産売却のすべてを理解するのは難しいですが、納得した価格で売りたいですよね。不動産会社の査定額のまま売った後に「もっと高く売れたのでは?」と不満に思わないために、まずは相場を知ることからスタートしましょう。
相場を知ると、査定価格の基準が分かります。不安が解消され、不動産会社と納得のいくやり取りができるはずです。
詳しくはこちら:不動産売却、査定額「だけ」高い業者に要注意! 騙されないコツと基礎知識
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2017/02/23時点での情報です。