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不動産を扱うためには、宅地建物取引業における理解を深める必要があります。
本記事では、宅建業はレンタルオフィスでも開業できるのかということと併せて、必要要件も解説していきます。宅建業に興味のある人は、是非参考にしてみてください。
Contents
宅地建物取引業とは、「宅地建物取引業法(宅建業法)」という宅建業を営む上で定められている法律に基づいて、仕事を行なう業種です。
宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事からの許可と、宅地建物取引士の免許(国家資格)が必要になります。
国土交通省か都道府県知事のどちらから許可が下りるかは、1つの都道府県に事務所を設置する場合は都道府県知事、2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は国土交通省と、宅建事務所の設置条件によって異なります。
また、宅建業免許は5年間の有効期限があり、長期継続をして宅建業を営む場合は、免許の更新が必要です。
どのような業務が宅地建物取引業に該当するかを明確にするため、宅地建物取引業法によって、「宅地」「建物」「取引」「業」の4つの用語の意味が定義されています。
宅建業における「宅地」とは、建物の敷地に供される土地と用途地域内の土地の2種類です。それぞれを見ていきましょう。
(1)建物の敷地に供される土地
建物の敷地に供される土地とは、現在建物が立っている敷地だけではなく、将来的に建物の敷地として使用することを目的とした土地を含んだ、全ての土地のことです。
建物の種類や場所は関係ありません。また、地目(田・畑・山林など)が何であれ、目的が将来的に建物の敷地として使用される場合は、全て宅地となります。
(2)用途地域内の土地
用途地域内の土地とは、都市計画法によって定められた、住居系・商業系・工業系といった用途別にエリア分けされている13の土地の区分のことです。用途地域内で分類されているエリアは以下をご覧ください。
上記に該当する用途地域内の土地であれば、道路・河川・公園・水路・広場以外は、全て宅地となります。道路・河川・公園・水路・広場は、公共の施設に該当するため、建物を勝手に建てたり取り壊したりすることができません。
宅建業法における「建物」とは、住宅・事務所・倉庫・工場・倉庫といった、柱・壁・屋根のある建築物のことで、特に大きな定義はありません。ただし、マンションの1室についても、1つの建物とされます。
宅建業法における「取引」とは、以下のような行為に該当します。
例えば、自己所有の土地や建物を販売・交換する行為は、取引に該当します。他人の代理・媒介で、自己所有の土地や建物を販売・交換しても同じです。ただし、自分が当事者となる貸借(転貸を含む)行為については取引に該当しないため、宅建士の免許は必要ありません。
取引は消費者の安全を一番に考えたものです。業者や消費者の間で起こるトラブルを防ぐべく、売買や交換、他人のための賃貸に宅建業法が適応されます。
宅建業法における「業」とは、不特定多数の人に対して、反復継続(分譲)して行う行為です。例えば、マンションの分譲は、不特定多数の人に反復継続しているため、宅建業においては「取引」と「業」の条件を満たしていることになります。
自分の家族のため・自社の社員のためなど、特定されている相手の場合は、業に該当しません。他にも、宅地を一括売却することも、反復継続していないため、業とは異なります。
また、業は営利性(報酬)の有無が問題ではありません。一般の人が代理を依頼する・媒介をしても業の要件を満たせば、取り扱いに宅地建物取引士の免許が必要です。
免許申請の際には、宅地建物取引業法が定める以下の要件を満たす必要があります。
免許申請の前に、宅地建物取引業法に定められている要件を確認するようにしましょう。
宅建業を始めるには、さまざまな要件をクリアする必要がありますが、そのなかでも重要になってくるのが「オフィス選び」です。
宅建業の事務所はどのような場所でもよいというわけではなく、宅建業法に定められている面積や表示物などの規定をクリアしたものである必要があります。
宅建業の要件を満たしてさえいれば一般的な物件ではなく、レンタルオフィスでも開業は可能です。
ただし、レンタルオフィスによっては宅建業の開業が制限されていることもあるため、可能である場所に限られます。
レンタルオフィスで宅建業を開業するメリットは、賃料の安さです。レンタルオフィスはビルの一室を借りるのではなく、より小さな区画を借りることができるため、事務所の維持費用を最小限に抑えることができます。
近年では、ウォーターサーバーやWi-Fiなどのネット環境も最初から整っている場合があるため、オフィス作りに関する手間を省くことができます。また、同じレンタルオフィスを借りている他の業者との交流もしやすく、人脈を広げる機会もあります。
以上のような理由から、レンタルオフィスでの宅建業開業は人脈の拡大や事務所設置に関する手間や費用の削減などのメリットがあります。
宅建業を開業するにあたって、満たす必要のある要件を項目ごとに解説していきます。宅建業の開業を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
(1)自社専用の出入口が必要
宅建業法には、「そのオフィスに他の会社の人間がいてはならない」という項目があります。そのため、社員や来客者がビルや建物の共有スペースを通過することなく、オフィスへと出入りができる自社専用の出入口が必要です。つまりは、外から自社直結の出入口がなければなりません。
これは自社だけではなく、他社の人が自社の中を横切ることも不可とされています。
(2)事務所の独立性を確保
事務所の独立性を確保するために、他法人との間には、壁もしくは高さ180cm以上の固定されたパーテーションといった間仕切りが必要です。
(3)適切な事務所スペース
宅建業の事務所としてレンタルオフィスを借りる際には、代表者と宅建士それぞれの執務スペース・来客対応スペースの確保が必要です。来客対応スペースとして共有の会議室は認められておらず、独占して使用できる個室内である必要があります。また、代表者と宅建士それぞれの執務スペース・来客対応スペースがただあれば良いというものでもありません。
必要な家具や家電を置くスペースに加えて、動線もしっかり確保できているかどうかも大切なポイントです。代表者が宅建士も兼任する場合は、一人分の執務スペースと来客対応スペースの確保が必要最低限の要件になります。
固定電話の設置も要件であるため、各スペースに電話線を配線しなければなりません。全てを考慮した上で、上手くスペースを確保しましょう。
必要要件は満たしているけれども、部屋の中にベッドが設置されていた・宅建業とは関係ないゲームや本が多数あったことにより、事務所らしくないとして免許が認められなかった例もあります。
要件を満たしていても、上記のように認められないケースもあるため、お客様が気持ち良く商談できるような事務所(空間)作りが大切です。
(4)24時間365日独占して使用できる証明書
契約したレンタルオフィスの個室は24時間365日独占して使用することができなければいけません。また、上記を証明する証明書や誓約書の提出が必要になるケースがほとんどです。
例えばレンタルオフィスの時間貸しプランや、同じ個室を複数社で共有するプランは、必要条件を満たしていないとして、宅建業開業はできません。
同じく営業時間や曜日が決まっているレンタルオフィスでも宅建業は開業できません。
契約前に利用可能時間や個室を独占利用できるプランかどうかを確認しておくとよいでしょう。また、多くのレンタルオフィスでは証明書や誓約書の発行をしてくれますが、一部のオフィスでは対応していないこともあります。証明書の発行が可能かどうかを、事前に確認しておくとよいでしょう。
(5)長期間のレンタルができる(最低1年以上)
宅建業のオフィスは一ヵ所に定着していることが基本です。そのため、契約期間が最低1年〜の年単位契約を目安にして、レンタルオフィスを選ぶようにしましょう。
また、事業を続けている間に、レンタルオフィスが廃業になるケースも存在します。レンタルオフィスの廃業は、事務所の転居を余儀なくされるため、予期せぬ出費や手間を防ぐために、廃業する心配の少ないオフィスを選ぶのもポイントです。
また、他の業種のように、従業員の人数が増え手狭になったから移転をする・業績が上がったからよい物件へ移転するなどは、気軽に行なうことができません。
長期的な目で考え、本当にその立地条件で良いのか検討をして、開業する場所を決めるようにしましょう。
(6)必要な掲示物の設置
必要な掲示物の設置も、以下の6つが定められています。
1.報酬額の掲示
2.標識の掲示
3.帳簿の備付け
4.従業者名簿の備付け
5.成年者である専任の宅地建物取引士(宅建士)の設置
報酬額や標識の掲示は、お客様が見える位置に設置する必要があります。レンタルオフィスによって設置できる場所が限られていることもあるため、契約時にベストな位置があるかどうか確認しておくとよいでしょう。
帳簿や従業員名簿の備え付けについては、宅建業法で保存期間が定められています。帳簿は、仲介・媒介等の場合は、事業年度の末日に帳簿を締めてから5年間保存、自社が売主となっている物件等の取引の場合は、事業年度の末日に帳簿を締めてから10年間の保存と、この2つの条件が必須です。
従業員名の備え付けに関しては、最後に記入をした日から10年間保存しなければなりません。また、取引関係者より開示を請求された場合は、従う必要があります。帳簿と従業員名簿は個人情報に該当するため、鍵付きのキャビネットや金庫でしっかり保管しましょう。
宅建業は、土地や建物に関する取引を専門としている業種です。
満たさなければならない要件が多々ありますが、レンタルオフィスでも開業することはできます。宅建業の開業を検討している人は、要件や必要資格などをしっかりと確認してから、開業手続きを行ないましょう。
もし、わからない場合は、行政書士に相談をしてみるのもおすすめです。
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