ニュースリリース
生活者×大学研究室×コスモスイニシア 協同研究プロジェクト 『COCOLABO(ココラボ) 2013』 活動結果
テーマは”「暮らしシェア」を考えよう。再考:- (都市に)集まって住むということ -“
単身者・子育て世代・SOHOの3つのクラスターを掛け合わせた「暮らしシェア」提案
2014年01月23日
株式会社コスモスイニシア(本社:東京都港区、社長:高木 嘉幸、HP:http://www.cigr.co.jp/)は、新しい住空間の可能性を見出すための産学民協同研究プロジェクト『COCOLABO 2013』において、「暮らしシェア」を考えよう。再考:ー(都市に)集まって住むということ ー をテーマに、日本女子大学 家政学部 住居学科 篠原研究室(教授:篠原聡子(建築家))と「住空間」を開発するコスモスイニシアにより、「シェアハウス」や「賃貸マンション」で暮らす一般の生活者の声も取り入れながら研究を進め、2013年12月19日に、研究結果発表会を開催いたしました(於:赤城神社地下ホール)。
【提案モデル】
単身者・子育て世代・SOHOの3つのクラスターを掛け合わせた「暮らしシェア」
同世代・同属性による大規模一体型のシェアから、「複数のクラスターが共存する住まい方」へ。「クラスターごとの適度な距離感」、「属性の違いからくる相互扶助・安心感の創出」、「生活情報の共有化」等を提案。
【研究概要】
研究工程を、フェーズ1からフェーズ3の3段階に分けて、研究活動を実施しました。
フェーズ1:既存シェアハウスの分類と分析
フェーズ2:単身居住者・シェア居住者へのアンケート調査・ヒアリング調査
フェーズ3:フェーズ2の調査をうけ、デザインの提案 調査結果の分析から具現化へ
研究過程では、シェアハウスの実態調査のため、規模やサービス内容の異なる9物件の見学・居住者へのアンケート調査・ヒアリング調査を行うとともに、首都圏のワンルーム賃貸マンションに居住する単身世帯の方にもアンケート調査を実施し、シェアに対する志向をより広く収集いたしました。その結果を、
「Who」誰とShareする?
「What」何をShareする?
「How」どうShareする?
の3つの観点から分析し、提案モデルを作成いたしました。
当社では、この度の研究結果による提案モデルを踏まえ、事業化に向けた課題の検証を進めております。所有のみでなく共有へと移行する価値観の変化への新たな取り組みとして今後も『シェアハウス』についての検証を続けてまいります。
― 『COCOLABO 2013』研究結果 ―
【研究テーマ】
「暮らしシェア」を考えよう。再考: ― (都市に)集まって住むということ ―
研究フロー |
・ 様々なタイプのシェアハウス
・ シェアハウスを分析する
・ シェアハウスを分類する
2.ワンルームでもファミリーでも施設でもない新しい住まいの選択肢としてのシェアハウス
3.単身居住者とシェアハウス居住者のシェアに対する志向
・ 調査1.アンケート調査
・ 調査2.実態調査
4.まとめ
5.シェアするデザインの提案
【フェーズ1】既存シェアハウスの分類と分析
既存のシェアハウスのカテゴライズから、ワンルームでもファミリーでも施設でもない、新しい住まいの選択肢としてのシェアハウスの仮説を設定。
仮説を設定するにあたっては、「Who(人)×What(モノ・空間)×How(しくみ)」という3つの視点で、今までのシェアのスタイルを整理し、「シングルマザー・ファザー×学童保育・キッズカフェ×他世代間補助」というシェアのスタイルなど、既存のシェアハウスをリ・コンセプトしてシェアスタイルの仮説設定を行いました。
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【フェーズ2】単身居住者とシェア居住者のシェアに対する志向を調査
アンケート調査では、単身居住者とシェア居住者にシェアハウスへの意識調査とともに、フェーズ1で立案した「シェアスタイルの仮説」に対する意見調査を実施しました。
ヒアリング調査では、「戸建自主運営のシェアハウス」、「大規模サービス受給型のシェアハウス」、また「シングルマザーのシェアハウス」など、実際のシェアハウスへの実態調査により、居住者のリアルな声を収集しました。
【フェーズ3】デザインの提案
居住者にとってのニーズを「Who(人)×What(モノ・空間)×How(しくみ)」の3つの視点でまとめ、デザイン上のキーワードとしました。
Who :同じ属性とのシェア、異なる世代とのゆるいつながり
同世代とのシェアを好む一方で、世代や属性を問わずいろいろな人とシェアし、様々な文化や
情報を得られるコミュニティ形成への期待
What :サービス、情報、安心、趣味、地域とのつながり
食事をしたりお酒を一緒に飲むことをシェアしたい。趣味をシェアしたい。
個人用のワーキングスペース・洗面台がほしい。地域とつながるスペースも期待。
How :選べるサービス、適度な距離感、外にも開けるしくみ
適度なサービスがあることで居住者間でのトラブルを防ぐことができる
さらに、「人の集まりの規模と共有の度合い」を「S・M・L・LL」というグループ単位で考えることで既存のシェアハウスにはないプランニングの創出を行っています。
S :住宅のファシリティを共有するグループ・・・ クラスター ・・・フロアごと
M :食事や趣味を共有するグループ・・・ 複数のクラスターによる構成 ・・・リビング・ダイニング,SOHO
L :生活の延長上のものを共有するグループ・・・外とつながるプログラム・・・カフェ,空中テラス,屋上テラス
LL :まちにあるもので補う・・・・ 外とつながるプログラム
最終的には、単身者・子育て世代・SOHOの3つのクラスターを掛け合わせることを提案しています。
既存の同世代・同属性による大規模一体型のシェアに対して、「複数のクラスターが共存する住まい方」を提案し、クラスターごとの適度な距離感と、それぞれの属性の違いからくる相互扶助・安心感の創出・生活情報の共有化などの付加価値が発生する可能性を秘めた「暮らしシェア」の一端を提示しています。
単身者・子育て世代・SOHOの3つのクラスターを掛け合わせた「暮らしシェア」
模型写真 立面ダイアグラム
■ 研究パートナー「日本女子大学 家政学部 住居学科 篠原研究室」
居住者の視点を設計に反映させることを目的として、建築・住居の設計について研究し、住宅や住宅地、都市の調査―フィールドワークを行い、実際の設計活動も行っている研究室です。
篠原研究室HP http://mcm-www.jwu.ac.jp/~sinohara/
<主な活動>
・月影リノベーション
新潟の廃校になった小学校を再生するプロジェクト
早稲田大学、法政大学、横浜国立大学、日本女子大学の4大学合同で行なっています
・赤羽台団地
・「住み力」プロジェクト
などなど
篠原聡子教授 Shinohara Satoko
1983-1985 香山アトリエ
1986- 空間研究所設立
1997-2001 日本女子大学住居学科専任講師
2001-2005 日本女子大学住居学科助教授
2007-2009 日本女子大学住居学科准教授
2010- 日本女子大学住居学科教授
主な作品/ 東金市立嶺南幼稚園、大阪府営大津なぎさ住宅、スペラール砧、SHARE Yaraicho
主な著作/ 「変わる家族と住まい<自在家族>のための住まい論」彰国社 2002
「住まいの境界を読む新版 人・場・建築のフィールドノート」彰国社 2008
「おひとりハウス」(家を伝える本シリーズくうねるところにすむところ)平凡社 2011
■ 参考 : 『COCOLABO』とは
『COCOLABO』は、「個々(coco)の住まいを共に(co)考える研究所(laboratory)」として、展開しているプロジェクトです。住空間への関心の高い生活者、住空間を専門に研究を進める大学研究室、そして住空間の開発者であるディベロッパーの3者が双方向にコミュニケーションを図る、住宅分野において殆ど例のない取り組みです。
21世紀に入り、人々の生活スタイルの多様な変化に伴い住空間への意識や関心が高まり、量から質への転換が進んできています。また、才能のある建築家の多くが大学で教師となり「建築」を指導・研究し学生を育てていく「プロフェッサーアーキテクト」の時代となっています。教師と学生が一体となって展開する研究はオリジナリティに富み、新たな住空間の創造において大きな可能性を秘めています。
当社ではこの点に注目し、大学の建築系研究室と住空間への関心の高い生活者との双方向によるプランニングコラボレーションの場として、取り組んでいます。