持続のNext2017.11.10
男3人が語る「INITIA ID 高輪」。
異なる立場からプロジェクトに関わった3人が
それぞれの想いを語ります。
CSVビジョン『Next GOOD「よい暮らし」「よい社会」の、次のこたえを。』
を掲げ、幅広く不動産事業を展開しているコスモスイニシア。
ファッション、建築、音楽、デザイン、アート、食をコンテンツに「遊び場を創造する」
をコンセプトに掲げ、 日本だけでなく海外でも高く評価されているTRANSIT GENERAL OFFICE(トランジットジェネラルオフィス)。
店舗設計、住宅設計、リノベーション、イベント企画設計など数多くの設計/デザインに携わっている紙本洋輔により2014年設立されたSAWS Inc.(ソース)。
業界がそれぞれ異なる3社がどのように手を組み、「INITIA ID 高輪」が生まれたのか?プロジェクトに関わる3名で語り合います。
男目線の“カッコいい”空間を目指して
紙本
僕は今回初めて「INITIAID」の設計としてプロジェクトに参加させてもらったのですが、率直にまず、どこから見てもカッコいい住まいができたなと思います。
一同
同感です!
紙本
僕にとっての“カッコいい”空間とは、どこを切り取っても絵になる、納得のいく空間。例えば、若い頃には収入面などから考えても住空間の事はこだわりきれないことが多いですが、年齢を重ねていくうちに実現できるようになっていきますよね。より好きな空間を選ぶことができて、自分の好きなものを集めた空間になる。そんな大人だからこそ作れる住まいに 「INITIA ID 高輪」は、仕上がったと思っています。
紙本 洋輔 Yosuke Kamimoto/
ソース 空間デザイナー
野村 駿太郎 Shuntaro Nomura/
コスモスイニシア 営業担当
野村
仕事柄これまで何百件ものマンションを見ていますが、その中でも自分が住みたいと思える、カッコいい物件としてトップクラスです。「都心のタワーマンションで、夜景が美しい」というカッコよさの方が女性には高評価なのかもしれませんが、男性が見せたいカッコよさって実はそうではないという方も多いと思います。みなさんの場合はいかがですか?
甲斐
“カッコいい”という感覚って男性にとって、一番軸にあるキーワードだと考えています。それは外見的な部分だけでなく、中身も素敵に見られたいという“カッコいい”。家は「リラックスできる、くつろげる」ということが空間の考え方のベースになってくるものだと思います。ただ、今回の「INITIA ID 高輪」は、それよりも「カッコつけたくなる」空間であり、実際にカッコつけられる空間になったのではないでしょうか。これは、高輪という立地のイメージも大きく関係しているかもしれませんね。
コンセプトはIntelligence Suite Edition
野村
街にはそれぞれ異なる色や匂いというものがありますが、高輪は歴史があって落ち着いた大人な街。程よい静けさがありつつ、品川に近いので交通の利便性も高い。まさに仕事の第一線で活躍しているような男性が思い浮かぶ街ですね。
甲斐
物件のコンセプトを考えるにあたって、街のイメージから浮かび上がってきたターゲット像は、「知的でありながら、アクティブな都会の男性像」でした。インテリジェンスというキーワードが出てきた時に、そんな知的でカッコいい空間を目指すのであれば、思い切って男性が理想とするような空間を目指しても良いのでは?という意見が出ましたよね。
紙本
この物件が本来持っている良さも、デザイン設計に大きく関わっていると思います。この物件を初めて訪れた時、エントランスから入って廊下を通り、玄関に行くまでの空間にも落ち着いた雰囲気があり、とても惹かれました。もともと備わっていたその雰囲気を活かすように、玄関を入ったときの玄関床の天然石やシューズボックスは既存のものを活かしてデザインしています。リノベーションとはいえ全てを変えるわけではなく、既存の良さを継承することで、建物とのマッチングも考慮しました。「INITIAID」シリーズのテーマである「海外のホテル」に基づき街や建物の良さを考えていくと、「Intelligence Suite Edition」という知的で男性的な新しいデザインコンセプトに自然となっていきました。
甲斐 政宏 Masahiro Kai/
トランジットジェネラルオフィス プロデューサー
空間に似合うアイテムを探す楽しみがある
野村
「INITIA ID 高輪」でお気に入りの空間はありますか?
甲斐
まず思い浮かぶのは、壁一面に設置した本棚です。好みのアート本や写真集を並べたり、お気に入りのアイテムを置いたりと、自分の趣味を詰め込んで欲しいと思います。
紙本
設計上は本棚と呼んでいますが、フレキシブルに使える棚は自分の好きなものや趣味をコレクションできる場所になりますよね。自分自身のマインドにも刺激を与えてくれる場所を、視覚的に“面”として愛でることができるのは魅力的だと思います。
野村
やはり本棚のある部屋はポイントが高いですよね。本棚とデスクがあって、そこに一人掛けのソファを置いて......。ガラスの引き戸越しに家の中が見えるプライベート空間で、お酒やコーヒーを飲みながら本を読んで過ごす。
甲斐
まさに“カッコよく、サマになる”空間ですよね。他にも、「キッチンの前にベッドを置く」というインテリア配置ができる点も気に入っています。飲んだり食べたりできる空間でそのまま寝るのというのは、若い頃のひとり暮らしのように、全てをコンパクトに集約した暮らし方の大人版というイメージです。
紙本
キッチンとベッドルームをひとつの空間で実現する、というのは住宅の間取りの考え方としては一般的ではありませんが、まさにホテル仕様の提案と言えるのではないでしょうか。これはまさに「INITIAID」シリーズの「海外のホテルのような住まい」というコンセプトそのもの。こうした斬新な考え方ができたのも、今回ターゲットを男性として振り切れたことが要因でもあると思いますね。
野村
これまでの「INITIAID」シリーズは、男女ともに「素敵だ!」と思ってもらえるような、まさに絵になるキッチンが中心にある空間でした。しかし、必ずしもキッチンが住まいの中心でなくてもいいのではないか。今回はそういう提案が出来ていると思います。海外ホテルのベッドは、寝る時にテンションが上りますよね。寝る時もカッコいい、というか。ただの寝室ではなく、フォトジェニックな空間としてベッドルームを設計しているので、寝具にもよりこだわりたくなるのではないでしょうか。
甲斐
着るものも、着古したスウェットじゃサマにならないでしょうから、やはりバスローブですかね(笑)。シーツなどの寝具の素材もこだわってセレクトするようになりそうです。
紙本
「空間に似合うアイテムを探す楽しみがある」、そんなデザインの住まいになっていると思います。甲斐さんは、実生活でのアイテムにもこだわりがありますよね?
甲斐
そうですね。海外に行くと、パッケージのカッコいい歯磨き粉を大量に購入しています。カッコいい空間に、日本語で色々書いてあるパッケージの商品を置きたくないんですよね。海外のホテルに行くと、バスルームなどの水まわりもやはりカッコいいですし。
野村
まさに高輪のバスルームもガラス空間で、海外ドラマに出てきそうなカッコいい空間になっていますよね。今回は完全に男性目線での“カッコいい”を追求し、空間もディテールも、どこを切り取っても本当にカッコいいと思えるものに仕上がっています。
カッコいい + 上質は、エレガントにつながる
紙本
男性を意識して設計した空間とは言いながらも、実際には女性にも気に入って頂ける住まいになったのではないかと思っているのですが、社内の評判はいかがですか?
野村
紙本さんがおっしゃる通り、「私も住みたい!」という女性の声はすごく多いですね。
甲斐
その感覚は分かる気がします。弊社の他の飲食店プロジェクトでも、そういう反応は多いんです。男から見た“カッコいい”を、“カッコ可愛い”と言う女性が増えているように感じます。
野村
安易な男性寄りのリノベーションは女性からの評価につながりにくいのですが、カッコよさに上質さが加わると、女性にも受け入れられるエレガントにつながるというのは、不動産の仕事をしていても近年よく思うことです。
紙本
今回の空間自体は濃い色づかいを多く使っていますが、そこに合わせる家具の素材やデザインで色味を中和しています。例えばファブリックはレザーではなく柔らかめのものを選んだり、丸みのあるデザインの家具を取り入れたり。
甲斐
特に住宅は、スタイリングが重要ですからね。どんなに素敵な空間に良い家具を置いても、それがマッチしていないと台無しになってしまいます。今回のプロジェクトを通じて、紙本さんは住宅だけでなく商業系のプロジェクトも多く手がけられているので、そのバランスが上手だと感じました。
紙本
デザインとして空間をしっかりと作りこんであげた方が、お客さまに喜ばれることが多いというのが、住宅系のプロジェクトをしていて感じることです。設計の過程で制作したパースには家電まで選んで盛り込みましたね。鞄ひとつで入居していただいても、すぐに生活できるイメージが持てるように。まさにホテルです。
バルコニーが特徴的な西麻布プロジェクトも始動
甲斐
「中古マンションを買って、細かな素材や色を選び、リノベーションして家具を探して」という一連の家づくりは楽しいのですが、時間やコストなどの制約もあり、実際にはなかなか難しいと思います。そうした悩みを解決する上でも、プロがディテールまでこだわって作り上げた「INITIA ID」シリーズのようなリノベーションマンションは、すごく現代の方のライフスタイルにマッチしているのではないでしょうか。
野村
お客さまのリアルな声を聞いていても、こういった物件を求めている方は潜在的にまだまだいらっしゃることを実感しています。20年前の新築マンションブームから時代は変化して、10年ほど前にはリフォームされた中古マンションが増えた。住宅事情はさらに変わって、ここ数年ではデザイン重視のリノベーションのニーズが非常に多くなりました。お客さまのニーズが増えている一方で、カッコいいリノベーションを手がけている不動産業者はまだ少ないのが現状です。そうした中で始まった「INITIA ID」シリーズは、世の中のニーズにマッチしているという強い自信がありますね。
甲斐
「INITIAID」シリーズは、個人で行うリノベーションよりワンランク上の提案を常に考えています。海外ドラマや映画に出てくるようなフォトジェニックな空間をデザインコンセプトにしていたからこそ、海外に住んでいた経験のある方や日本在住の外国人から問い合わせが多い、というのはすごく嬉しいですね。
紙本
高輪の次に、西麻布のプロジェクトも始まりました。こちらはまだ設計デザインの検討ですが、特徴的なL字型のバルコニーがあり、また異なった魅力のある物件になりそうです。「インテリジェンス+男性的なカッコよさ」を具現化できた高輪の要素を踏襲しつつも、西麻布という街のイメージからポップで遊びのある要素を盛り込みたいと思っています。
野村
そちらも楽しみですね!今日はとにかく“カッコいい”をひたすら言っていた気もしますが、不動産業界に携わる者として、このシンプルな要望を叶えられる住まいを提案していくことは、少し極端かもしれませんが、世の中の役に立っているという我々の喜びにもつながっています。「INITIA ID」シリーズの根本にあるものは変えず、街や住まいの個性を探しながら、より良い空間を今後も展開していきたいと思います。