入社後、1年目の勲章でもある「新人賞を獲ってやる!!!」と闘志を燃やしていた大野が配属されたのは、流通事業部 西日本流通部。
西日本エリアにてかつて分譲マンションとして販売された住戸を仕入れる仕事を担当。
その後、仕入れた一室にリノベーションを施し、再度世の中に提供していく事業の入口となる業務だ。
「さぁ〜! やってやるぞ!」と意気揚々と業務にあたったものの、ものごとというのはそうすぐにはうまくはいかないもの。
というのも、大野にとって担当する京都は、縁もゆかりもない土地。
ただでさえ情報収集や交渉のために関係性が何よりも大事といわれる業務かつ地域密着性がどこよりも強いと言われているのが京都の不動産市場なのだ。
しかしこの難しい状況の中、「素直さ」が功を奏することになる。
「ふと、新人研修の際に当時社内ランキングTOPの先輩からもらった助言を思いだしたんです。
『俺は、スマホでゲームをするように習慣化して、電車の移動中なんかも区分マンションの物件探しをしてよ』
という言葉ですね。
まずはこれをやってみようと素直に実行し、とにかく物件を探し続けました」
その結果、「これは!?」とひらめく運命の物件に出会ったのだ。
後に教育担当の先輩は大野をこう讃えている。
「まだ2件目の査定にも関わらず、『この物件相場に比べて手頃じゃないですか?』
という肌感覚をすでに持っていることに驚くと共に、自分なりに一生懸命成果を出そうと努力している姿、アドバイスを自分のものにしようとする素直さが素晴らしい!!」
すべてが初めてのことで慣れないながらも、無邪気さ、素直さ、ひたむきさが“可愛い”と思える人物なのだろう。
その物件は、7階建ての最上階にあり、西・南・北側の三方角住戸。
広さも十分である上、仕入れ価格も申し分なかった。
しかしひとつ懸念点があったという。
「天井から雨漏りがするかもしれない、という箇所を発見しました。
とりあえず仕入れてしまうという会社もあるかもしれない。
ですが当社は、雨漏り確認をしなければいけない。
仕入れはスピードが勝負なので、必死で雨が降ってくれることを祈りました(笑)」
この“雨乞い”に行き着くまでには、わからないながらも必死に食らいつき、社内のあちこちの部署に掛け合い、担当者に聞きまくり相談しまくり、何とかして自分が仕入れたいのだという思いを伝えて回ったという。
そしてこの最後の“雨乞い”を見た営業所内のメンバーは、「がんばれ大野!」という思いで一丸となっていたようだ。
「祈りが通じたのか、雨はすぐに降ってくれたんです!
雨漏りがするか、すぐ飛んでいって確認したら大丈夫!
無事にこの物件を仕入れることに成功しました!!」
と、満面の笑みで語ってくれた。 ちなみにこれは、その年の事業部の新人の中で誰よりも早い契約となった。