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不動産投資

出口戦略(1)・入門編

不動産投資の出口戦略
(1)出口戦略とは何か

安定的に賃貸収入を得ていても、いずれは物件を売却する時期がやってきます。不動産投資の最終局面で行う不動産の売却を「出口戦略」と呼び、投資の総仕上げとして重要視しています。収益をもたらしてきた物件を適切に売却するにはどのようなことに気を付ければいいのか。2回に分けて考えます。
今回は、出口戦略の基本的な部分を押さえておきます。

投資不動産を売却すること

出口戦略(Exit Strategy)とは本来軍事用語。戦局不利の状況下、最小限の被害に抑えて撤退する方法を指し、米国防省がベトナム戦争時に使用したのが始まりとされています。これが転じて、低迷する市場や業績悪化の局面から損失を最小限に抑えて難局を打開する場合に使われますが、特に金融政策で頻繁に用いられます。
景気低迷の局面では、公共事業を増やして財政支出策を実施したり、企業の設備投資意欲を高めるために低金利政策を行ったりします。そして景気が回復すると、今度は低金利のままでは証券市場が停滞するなどの不都合が生じるので、以前の状態に戻すために低金利政策は解除される方向に向かいます。こうした金融緩和策を終了させることを出口戦略と呼んでいます。
では、不動産投資で出口戦略が重要と言われる理由は何でしょうか。
不動産投資においては、物件に投資するのが「入口」、物件を売却するのが「出口」です。出口戦略が重要な理由は、不動産投資は最適な時期に売却しなければ最大の収益が得られないからです。

投資する際は、最も優良な物件だと判断し資金を投入します。賃貸経営も順調に推移し、安定的な賃料収入を確保しています。しかし、5年後、10年後には、景気不景気の状況や銀行からの融資金利の上昇、稼働率の低下(空室率の増加)、大規模改修など経済情勢の変化や運用リスク、想定を超えた経費負担などが発生する恐れがあります。こうしたリスクは、投資したとき(入口)には見えにくい性質のものです。このため、不動産投資では投資する初期段階あるいは投資すると同時に、ある程度の出口戦略を立てておくことが求められます。「備えあれば憂いなし」で、出口戦略を念頭に入れておく必要があるのです。

売却する理由を理解しておく

一般に投資の世界では、投資の期間や売却の時期に厳格な法則はありません。株式投資は始めと終わりは自分の意志自由に決められます。しかし投資対象が不動産となると、事情は少し異なります。前述したように、物件の老朽化(経年劣化)や住環境ニーズの変化が避けられないからです。
不動産投資の出口戦略では、売却する理由を明確にしておくことが必要です。売却時期は、物件が抱えている物理的、経済合理的な理由と、投資における損益分岐点を天秤にかけて決めることになります。それが売却のタイミングと言っていいでしょう。不動産投資の最大のメリットの一つは、投資期間中の損失を最終的には売却で穴埋めできることです。売却価格が投資期間中の諸経費を除いた家賃総収入とローンの残債(価格)、ローンの頭金を足した額よりも高ければ、損をしたことにはなりません。

銀行から借りた融資金の残債がいくらあるのか。投資期間中の家賃総収入は現時点でいくら積み上がっているのかなどを算出し、物件の現在価格と照合します。こうした不動産投資の分析については別稿に譲りますが、単純計算としては、「売却価格>家賃総収入+融資返済金+融資時の頭金」に該当するならば、売却時期と判断できるでしょう。

税率の違いによる「5年売却」説

不動産投資では、最初の売却時期は5年にやってきます。それは、不動産譲渡税の税率が5年を境に大きく違ってくるからです。5年未満の譲渡を「短期譲渡」といい、税率は約30%。住民税9%と合計で約39%課税されます。5年以上は「長期譲渡」と呼ばれており、約15%プラス住民税5%で20%の税率になります。
5年という期間はあっという間ですから、稼働率が上昇し毎月の収益も上がっているならば、5年で売却する必要はありません。ただし、同じ物件を一生持ち続けて投資を続行する方法もありますが、一度売却して清算し、次の投資に向けて新たな投資資金を捻出することも選択肢に入ると思われます。銀行借り入れがある場合は抵当権の兼ね合いもありますので、実際の売却は無理でも、査定だけをしてみるのも一つの手段でしょう。その結果を知ることによって、売却時の手続きや相場感を予行演習することにもなります。
*2037年までは、上記の他、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課されます。

残して売るか、解体して売るか

物件をそのままの形で売却するならば、買い手を見つければ事足ります。しかし築年数が古い物件は、容易に買い主は現れません。その場合、解体して更地して売る方法が考えられます。
住居の解体は、100㎡(30坪)の木造一軒家だと100万円~150万円が相場のようですがこの費用はあくまで目安。決して安価ではありません。住居の形状にも左右されるので、事前の調査が必要です。手持ちの現金が不足している場合は、銀行融資があります。最近は地方で空き家が目立つため、地方銀行などは300万円を上限に「空き家解体ローン」を提供しており、年利3%前後です。
ただし、更地にすると税金が増えるデメリットがあります、更地は住宅用地の特例がなくなり、固定資産税や都市計画税の軽減措置(6分の1)が適用除外になるからです。上物がある場合と比較すると、およそ3倍程度の税負担になるので注意が必要です。

*表記している税率や費用など、条件によって変わりますので、詳しくは税理士などの専門家にお尋ねください。

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