風通しの良い家を作るには? 間取りと窓の配置に注目!
マイホームを購入する際、「明るい家が良い」と日当たりを気にする人はとても多いですよね。確かに明るくて日当たりのよい家は過ごしやすくて快適に過ごせるイメージがあります。理想の家の条件として「明るい家」を重視したくなりますが、快適性を考えたときには「風通し」も実は日当たりと同じくらい欠かせないポイントなのです。
風通しが悪いと、「湿気がこもる」「空気の流れが悪い」「洗濯物が乾きにくい」「夏に暑い」などのデメリットになってしまいます。いくら日当たりがよくても、居心地はあまりよく感じられないですよね。
では、窓をたくさん設置すれば風通しは良くなるのでしょうか?実は、そうとも言い切れないのです。
風通しの良い家にするためには、風の特性や空気の流れを知ることも大切です。それを理解したうえで、風通しの良い理想の家に近づけたいですね。
空気の通りが良い間取りや風通しを良くする工夫についてみていきましょう。
目次
風通しを良くする! 2大要素とは
空気の流れ道があり自然の風が吹き抜けている住まいは、心地の良さを感じますよね。また、風が全体的に吹き抜けていくことで、優しい自然の風を感じる快適な暮らしとなりそうです。
そんな風通しの良い家の要素として大事なのが、窓の配置です。窓の配置が良ければ家全体に自然の風が流れます。夏ならば窓を開けて自然の風を適度に取り入れることで、省エネにも繋がります。
そして、もうひとつの大事な要素が換気扇です。「風通し」と聞くと窓から室内に入り込む自然の風をイメージしがちですが、住宅密集地やマンションなどでは窓の数が少ない、あるいは窓の位置が限られている間取りも数多くあります。換気扇を設置することで、少ない窓でも空気が循環して流れが良くなるのです。
窓からの風|自然風を取り入れた快適な生活
掃除機をかけたり調理をしたりすると、室内には汚れた空気や臭いが溜まっていきます。なんだか空気が悪いな…と感じることはないでしょうか。
汚れた空気の中で生活していると、体調を崩す原因になります。
空気の汚れや臭いから体調が優れないと感じたときには窓を開けて自然の新しい風を取り込み、古い空気を外に出してしまいましょう。空気を家の中に取り込むと、室内の空気が循環してカビなどで建物自体を傷めるのを防ぐことにも繋がります。
現在は換気システムが発達しているため、外からの空気を取り込むことは少なくなったかもしれません。しかし、意識的に風を取り込むと、エアコンの使用量を抑えて節約することもできます。また、夏の気温が高いときには留守中にたまった暑い空気を外に逃がすこともできるのです。
自然の風を感じることができる家は、とても居心地が良く快適です。新鮮な空気を感じるために、風通しの良い生活を意識したいところです。
換気扇からの換気|室内の空気を循環させる!
限られた土地の中で一戸建てを建てる場合には、隣家との距離が近いこともあるでしょう。自然の風を取り入れるためには多くの窓を設置すると効果的ですが、なかなか思い通りに窓の配置ができないこともあります。
また、マンションの場合も構造上、ひとつの部屋に窓が一ヵ所しか設けられないこともあるでしょう。
その際に上手く使いたいのが換気扇です。
換気扇とは、外の空気を取り込んで機械的に室内の空気の循環の手助けをしてくれるシステムです。
換気扇と聞くと、キッチンやトイレなどに設置されているイメージがありますよね。しかし最近の戸建住宅では、建築基準法によって24時間換気システムの導入が定められています。
思うような窓の配置が難しい場合には、換気扇を設置することもひとつの方法として検討してみましょう。
風通しの良い家を実現! 空気の流れを理解しよう
実は、室内に窓をたくさん設置しておけば風が入り込むかというと、一概にそうとは言えません。
風は自然のもの。どの方角から吹いてくるのか、またどのようにして流れるのかという風の特性について理解しておく必要があります。
季節や地域によって異なる風向き
春や夏、秋には窓から自然の風が入り込むと心地が良いと感じます。しかし、季節によって風の吹き方が異なるのです。
冬以外は南の方から吹く暖かい南風が一般的ですが、「冬になると北風に変わった」というように、季節によって風向きが変わります。
また、風の吹き方や方向は、地域によっても違います。海沿いの地域では海から陸へと吹く海風が吹き、山間の地域では山の尾根から吹きおろす山風が吹きます。さらに同じ地域であっても地勢の違いで風の方向が違うこともあります。
北側と南側に窓が設置されていると、どの季節でも通風がしやすく、自然の風がスムーズに抜けていく家になります。
地域の風向きを知り、そしてその流れを上手く活かせる窓の配置が家づくりの重要なポイントになるのです。
暖かい空気は上昇する
空気は家の中を循環しますが、暖かい空気は室内の上部に溜まる性質があります。冬場の一戸建て住宅では「2階から1階に下りてくると寒い」ということが多々あるでしょう。これは、暖かい空気が上昇しているためなのです。
また、夏場には暖かい空気が2階にこもってしまい、「寝室に行ったら暑い」なんていうことも起こる可能性があります。
このように、暖かい空気が上昇するという特性を知っておくと、空気の流れ道を考えるときに役立ちます。
意外と重要? 窓の種類とは
ひとくちに窓と言っても、実はさまざまな種類があります。部屋の間取りや構造、コスト、特長によってどれがいいのかを選んでいくことが多いです。
縦すべり窓(縦すべり出し窓)
縦すべり窓は、窓が縦になった状態のまま外側にすべらせて開ける窓のことです。縦を軸にして一般的なドアのように開けるスタイルです。窓は直角になるまで開けることができるので、ガラス面の外側のお手入れもしやすいです。
また、細いタイプの縦すべり窓だと、防犯面にも期待できるというメリットがあります。
横すべり窓(横すべり出し窓)
横すべり窓は、窓の上部にある横を軸として開閉する窓です。下側部分が外側にスライドして開くスタイルです。横すべり窓の特徴は、窓が開いている場合でも雨が室内に入りにくいことです。
光と風を上手に取り込むことができ、少しだけ開けておけば急な雨降りでも対処ができて便利です。
引き違い窓
日本の住宅の中でも多く使われている窓が引き違い窓です。左右どちらにも開けることができます。また、左右の開き方を自由自在に調節することも可能です。コスト的にもリーズナブルで、窓から荷物の出し入れができるというメリットもあります。
風通しの良い理想の間取りとは?
今では、各家庭にエアコンが設置されていることが多く、「自然の風を取り入れなくても、室内の空気をきれいに保つことはできるだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし、古い湿気のある空気が室内に溜まってしまうとカビやダニが発生するリスクが高くなります。
そこで、自然の新鮮な空気を適度に家の中に取りこみ、空気を留めないように循環できる風通しの良い間取りにすることが大切なのです。
風が下から入り、上から抜ける家
窓から自然の風が入ってきても、夏など気温が高いと上部に暖かい空気が溜まってしまいます。そのため、低い位置から風が入り高い位置から風が抜けていく配置にすると空気の流れがよくなります。
また一戸建ての場合には、吹き抜け部分を作ることによって1階から2階への空気の流れができ、風通しの良い家になります。
ただ、上手く排出できないと2階に空気が溜まってしまうだけなので、1階の窓を開けたときには2階の窓から抜けていけるように配慮をすることも大事です。
部屋に2つの窓を設置する
風通しを考えると、部屋に2つの窓を設置すると効果的です。
室内に窓が2つ設置されていれば、自然に風が抜けていき、風通しの良い家になるでしょう。
しかし、ひとつの部屋に2つの窓を設置するのは、なかなか難しいものです。
部屋に窓がひとつしかない場合は、出入り口のドアを開けておけば風通しが良くなるでしょう。
ただ、プライベート空間であれば、入口のドアをずっと開けておくことができませんよね。
部屋に一ヵ所しか窓がない場合、室内の入り口ドアを閉めてしまうと外から入ってきた風が壁にあたってしまうだけです。風が入ってくることがあっても、上手く外に抜けていかず換気の意味があまりありません。
そこで、室内窓としてもうひとつ窓を設けるのです。プライベート空間の個室のドアを開けておきたくない人も、部屋の壁部分に室内窓として窓を作ることで空気の通り道が確保されます。ドアを閉めていても空気の通り道ができるでしょう。
さらに、窓を作ることによって、隣接した部屋からの光が差し込みます。全体的に部屋の中が明るくなるというメリットもあるのです。
防犯とプライバシーを考えて窓の設置を考えよう
風の吹く方向に窓をたくさん設置すれば風通しの良い家になりそうな気もしますが、実は窓の設置はそんなに簡単にはできないものです。
問題点として、防犯とプライバシーに関することがあげられます。
まず、空き巣の被害の問題も考える必要があります。空き巣被害の多くは、窓からの侵入によるものです。
風向きが良いからとたくさんの窓を作ってしまうと、空き巣の被害に遭うリスクが増えることに繋がってしまうのです。
例えば、一戸建ての場合は高い塀のある近くに窓を設置するとそこが死角となってしまい、窓が破られて侵入される恐れもあります。できれば死角となる方には窓を設置しないことが理想的ですが、二重窓にする、小さい窓を取り付ける、外側に面格子をつけるという方法も防犯効果が高い方法です。
さらに、プライバシーの確保を考えるとどこにでも窓を設置できるわけではありません。敷地が広く隣家との距離が離れている場合は、隣家や周囲からの視線があまり気になることもなく窓の設置も比較的自由にできそうです。
一方、隣家との距離が近い場合や人通りの多い通りに窓が面している場合には、視線が気になることが多いもの。特に、隣の家の窓に対向する形で窓を設置すると、せっかく窓があっても開けることを躊躇ってしまう可能性もあります。仮に開けても、視線が気になりせっかくのプライベート空間がまったくリラックスできない空間になってしまうこともあるかもしれません。
部屋の高い位置に窓を取り付ける、人の視線を考慮した窓の配置を考える、カーテンを取り付けるなどの工夫をすると良いでしょう。
住んでからじゃ遅い!? 風通しを考えた際の注意点
風通しをよくするために、窓の設置や間取りを工夫するのはとても良いことです。ただ、風通しだけを過度に重視してしまうと、思わぬ失敗に繋がることもあります。
風通しを考えた際に注意したいポイントについて考えてみましょう。
収納・壁の確保を!
風通しをよくするために窓をたくさん設置してしまうと、壁が少なくなってしまいます。一般的に、家具は壁側に設置するものです。壁が少なってしまい、「家具の置き場所に困っている…」という方も実は多いのです。
せっかくの窓の前に家具を置いてしまうと、なんのために窓を増やしたのか分からなくなってしまいますよね。収納スペースや家具設置のことをきちんと考えて、できるだけ壁を確保した家にしましょう。
窓を多く設置したい場合には、家具の置き場所の妨げにならないように上部に設けるなどの工夫をすることがおすすめです。
収納についてはこちら:住まいの見栄えが変わる! 理想のマンション収納を考えよう!
免震性・耐震性考慮した窓の設置を
窓をたくさん設置すれば風通しがよくなるイメージがありますが、窓を設置するときは免震性や耐震性をしっかり考慮したいものです。住宅の壁には建物の耐久性を高めるための補強の資材が入っています。そのため、窓を多くすることは耐震性が弱い家にしてしまうことになるのです。
自然の風がたくさん取り入れたくて大きい窓を設置する方もいるでしょう。しかし、大きい窓はガラス面が広く重量があり、地震や火事、強風で割れたときにケガをするという怖いデメリットもあることを覚えておくべきです。
風通しを良くすることにだけ気を取られてしまうと、万が一の災害時に危険が及ぶリスクにもなります。
換気扇の位置にも注意
窓から入り込む空気の流れをよくするために、補助的な意味で換気扇を設置することもあります。また、雨の日などの窓が開けられない日に空気を入れ替えてくれる役割も持っています。
そこで大事なのは、換気扇の位置にも注意することです。空気の流れと関係のない場所に換気扇を取り付けても意味がありません。特に、窓からの空気が入り込みにくいキッチンやトイレ、浴室など水回り周辺では換気扇の働きがとても大事です。臭いが広がらないように、しっかりと設置したい場所です。
また、暖かい空気が上昇する空気の特性があるので、部屋の高い位置に換気扇を取り付けることをおすすめします。空気の循環をスムーズに行い、室内の空気の入れ替えに役立つでしょう。
ただ、換気扇から排出された空気が舞い戻ってこないよう、窓と換気扇の位置には注意が必要です。
まとめ|風通しを考慮した間取りを考えよう
毎日、料理をしたり掃除をしたりと暮らしのなかで空気は気づかぬうちに汚れていきます。また、湿気が多いと家の中にカビが生えてしまう原因にもなります。そこで、新鮮な空気と古い空気を入れ替えのために窓を開けて換気することはとても大切なのです。こもったニオイも外に出して、清潔な空間にしましょう。
風通しの良い間取りにするときには、単に窓を多く設置すればいいだけではありません。「空気の通り道ができているか」ということ、防犯面に優れているか、プライベート空間が確保されているかなど、多方面から考えていくことがキーポイントになります。
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エリアやこだわりから希望する物件を探すことができるので、様々な条件や間取りの中から自分にピッタリの住まいを見つけてみてくださいね。
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