理想のキッチン間取りとは? 知っておきたいキホンまとめ
理想のキッチンを手にいれることは、家庭で料理をする人にとって1つの夢です。
特に、新しく住まいの購入を考えたときに、キッチンは重要なポイントですよね。
毎日使うキッチンだからこそ、少しでも使いやすく、おしゃれで、気分よく料理ができるお気に入りの空間にしたいものです。
しかし、1番流行りのキッチンを取り入れたけれど、何か動きにくかったり、使いにくいスペースがあったり、リビングが狭くなってしまったりと不満が生まれることもしばしば。そうならないためにも、まずは自分や家族のニーズをきちんと見定めることが重要です。
料理好きである、調理器具やお皿・カトラリーをたくさん持っている、家族揃って料理をするなど、その家族の生活によって、適したキッチンの形、収納の量、冷蔵庫の大きさは変化します。自分がどのようにキッチンを使いたいのかを理解することで、どんなキッチンがよいのかが見えてきます。
この記事では、キッチンをタイプ別に解説します。さらにキッチンを選ぶときに見落としがちな注意点も説明していきますので、住まい購入やキッチンリフォームを検討している方は必見です。
ぜひ、これからの生活と照らし合わせて、どのようにキッチンスペースを使いたいかを考えてみてくださいね。
キッチンの基本動線とは
まずは、理想のキッチン空間を考えるため、「キッチンの動線」について考えてみましょう。
「動線」とは、建物の中を人が自然に動く際に通ると思われる経路を線であらわしたものです。「キッチンにおける動線」、つまり「人がキッチンの中で動く経路」は、シンプルであればあるほど、調理を行う際に無駄のない動きができます。
シンプルな動線をつくるために、以下のことに気をつけましょう。
調理の流れをおさえる
キッチンの動線を考えるには、日頃の調理の流れを思い返してみるとよいでしょう。
まず冷蔵庫から食材を取り出し、シンクで洗い、作業台にまな板を設置して食材を刻み、コンロに用意した鍋で加熱調理し、食器棚から食器を取り出し、完成した料理をお皿に盛り付け、ダイニングテーブルまで運ぶ。このような一連の流れになります。
また食事のあとは、食器をさげ、シンクで洗い、乾燥棚で乾かし、布巾で拭いて、再び食器棚に戻すという流れになると思います。
この一連の動作がスムーズに行えるように、キッチン空間を設計していく必要があるのです。
意識したい「ワークトライアングル」
キッチン動線を考える際によく使われるのが、「ワークトライアングル」という言葉です。
ワークトライアングルとは、キッチンでの作業のポイントとなる「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」の3つを結ぶ作業動線のことをいいます。
この3つの場所が、バランスの取れた距離で配置されていると、効率良く作業が進むとされています。
具体的には、下の図のように「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」を行き来する距離の合計が、3.6〜6.6メートルに収まるのがよいとされています。
またそれぞれの場所への距離は、1.2メートル以上がよいとされています。1.2メートル以上あれば、十分な配膳・収納・作業スペースが確保できるためです。
反対に、必要以上に距離が長いと、動きにムダが出てしまい作業効率が悪くなってしまう可能性があります。
ただ、この目安は一人で調理をすることを前提に考えられてものなので、日常的に複数人で調理をする場合は、もう少し距離感を調整するようにしましょう。
また、右利きの人の場合は、冷蔵庫・シンク・コンロを右回りに配置するのが基本です。左利きの人の場合は、左回りです。
キッチンの間取りから生活空間を考えよう
キッチンには、主に6種類の型があります。
それぞれにメリットデメリットがあるので、特徴を十分に理解し、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
Ⅰ型:シンプルかつコンパクト
Ⅰ型は、冷蔵庫、シンク、コンロが壁付けで一列に配置されたキッチンで、日本で一番よく見かけるタイプです。
一直線に流れるような作業動線が生まれ、使いやすいといわれています。規模が小さくコンパクトなキッチンスペースをつくるのに向いています。
【間取りのワンポイント!】
Ⅰ型キッチンは壁付けのため、調理をするときは壁に体を向けることになります。よって、リビング・ダイニングにいる家族とのコミュニケーションが取りづらいのがデメリットであるといわれています。
しかし、キッチンの向きをリビング・ダイニングと直角に配置したり、キッチンとダイニングテーブルの距離を近づけたりすることで、視線が合いやすくなる、会話がしやすくなるなどの改善ができます。
また、Ⅰ型の注意点としては、横長に作りすぎるとその分移動距離も長くなってしまい、作業効率が落ちてしまうことです。作業スペースを広くとりたい場合は、キッチンの近くに作業台を設けることである程度改善できますが、別の型を検討することも視野に入れましょう。
Ⅱ型(セパレート型):作業動線が短く、対面での利用も可能
Ⅱ型は、二列で構成されたキッチンです。コンロとシンクが別々になっていることから、セパレート型と呼ばれることもあります。
横幅が比較的狭いダイニングキッチンでも、対面型を実現することができることができ、さらにシンクと調理スペースの周りをそれぞれ広くとれることがメリットです。
【間取りのワンポイント!】
Ⅰ型に比べ、Ⅱ型は収納スペースが広くなるので、食器や調理器具が多い場合でも安心です。また、対面部分をシンクかコンロのどちらにするか選べるので、リビング・ダイニングとの距離感も考えつつ、家族が使いやすい方を選択するようにしましょう。
二列の間の幅は、90センチメートル程度がよいとされています。これ以上距離が長くなると、作業範囲が広がり、1人で調理をする場合は疲れてしまう可能性があるので、配置を検討する際には注意しましょう。
L型:作業動線がスムーズで、複数人でも調理しやすい
L型は、冷蔵庫、シンク、コンロ、作業スペースがL字に並んだキッチンです。
作業する際は、体を90度に振り返らせればよいだけなので、動線がとてもスムーズになるのがメリットです。また、キッチンの後ろには十分なスペースが確保できるので、複数人で調理をしたりすれ違ったりするのも簡単です。
【間取りのワンポイント!】
L型キッチンは、一辺をリビング・ダイニングに向けることで、対面式の間取りにすることも可能です。ただし、設置にはある程度広いスペースが必要なので、住まい全体の間取りも同時に検討していかなければなりません。また角ができることで、手の届きにくいデッドスペースが生まれてしまうことも覚えておきましょう。
U型:作業台が広く、品数が多くても余裕
U型は、冷蔵庫、シンク、コンロ、作業台がU字に囲むような形をしたキッチンです。
L型と同じくシンクとコンロが90度の位置にあるので、作業動線が短くなります。また、作業台が広いので、料理の品数が多いとき、複数人で調理をするときなどに最適です。
特に、料理好きの方に好まれるキッチンです。
【間取りのワンポイント!】
U型もL型と同様、一辺をリビング・ダイニングに向けることで、対面式の間取りにすることが可能です。対面部分を作業台にすることで、カウンターとしても活用できますし、料理の配膳台としても活用でき便利です。各設備の配置を工夫することで、とても使い勝手のよい空間をつくることができるのです。
ただし、L型と同様、設置には広いスペースが必要な点と、角に手の届きにくいデッドスペースが生まれてしまう点には注意が必要です。
アイランド型:回遊性があり、大人数で囲める
アイランド型は、島のように壁から独立したキッチンです。
回遊性があり、囲むように作業ができるのが特徴です。リビング・ダイニングと対面で接することができるので、調理をしながら家族とコミュニケーションをとることができます。
ホームパーティや料理教室など、キッチンを大人数で囲む機会が多い方には、使いやすいキッチンです。
ただし、リビング・ダイニングと壁を隔てていないので、コンロやシンクからの油はね・水はねがあることに注意しましょう。
【間取りのワンポイント!】
アイランド型キッチンと、リビング・ダイニングの間取りを一体的に考えることで、こだわりのある空間を演出することが可能です。
例えば、キッチンの作業台を広げ、ダイニングテーブルを一体として使うことで、キッチンを中心とした団らん空間をつくることができます。キッチンとダイニングが一緒になることで、省スペースながらゆったりとしたダイニングキッチンができ、家族の距離が近くなります。
ペニンシュラ型:作業動線が短く、リビング・ダイニングも見渡せる
ペニンシュラ型は、アイランド型の片方の端が壁と繋がった半島のようなキッチンです。
アイランド型と同様、シンク、コンロ、作業台が全て対面式のため、リビング・ダイニングとの繋がりを意識できます。
【間取りのワンポイント!】
ペニンシュラ型キッチンは、アイランド型と同様にリビング・ダイニングへの匂い漏れや水はね・油はねの問題が懸念されます。しかし、片側が壁と繋がっている特徴を生かし、コンロの前まで一部壁を伸ばし換気扇を設置することで改善が可能です。
また、キッチンの前に少し高めのカウンターを設けることで、生活感を隠すことができます。カウンターでは、子どもが宿題をしたり、軽い食事をしたり、配膳台として利用することもできるので、とても便利です。
キッチンレイアウトで気をつけたい6つのこと
キッチンの型を決めたら、いよいよ設置!というわけにはいきません。
キッチンの使いやすさは、細かい部分の寸法や機器の配置にかなり影響してきます。
この章では、キッチンレイアウトを考えた際に気をつけたいポイントを解説していきます。
作業台の寸法
同じサイズのキッチンでも、作業台のどの部分にどれぐらいの寸法でシンクやコンロ、オーブンなどの設備を置くかで、使い勝手がかなり変わってきます。
理想は、調理の流れに沿って、順番に適切な寸法の調理スペースが配置されていることです。
例えば、シンクのすぐ隣に十分なスペースを設けずにコンロが設置されている場合、洗った野菜を切る場所がなく大変ですよね。これは、実際の調理の流れを想定せずにキッチンを設計してしまった例です。
冷蔵庫とシンクの間に幅30センチメートル程の作業台を設置し、冷蔵庫から取り出した食材を置く。コンロの隣に作業スペースを広くとり、盛り付け作業をしやすくする。このように、自分が作業しやすい寸法でスペースを考えていくことが重要なのです。
また、作業台の高さに関しても、自分や家族が使いやすい寸法を検討しましょう。
適切なキッチンの高さは、[身長 ÷ 2 + 5 センチメートル]とされています。身長160センチメートルの場合は、160 ÷ 2 + 5 = 85センチメートルとなります。
家族で使うことも考えながら、適切な高さを選ぶようにしましょう。
通路の幅
キッチンの通路幅は、キッチンを一人で使う場合と複数人で使う場合とで、適切な寸法が異なります。
一人の場合は90センチメートル程度、複数人の場合は背中合わせで作業をしたりすれ違ったりできる120センチメートル程度の幅が理想です。
冷蔵庫の位置
冷蔵庫の位置は、作業効率や部屋全体の印象に大きく関わってきます。
冷蔵庫をキッチンの入り口付近(手前側)に配置すると、誰かが調理しているときでも、キッチンに来た人が冷蔵庫から物を取り出しやすいです。一方奥に配置すると、キッチンで調理する人とキッチンに来た人の動線が重なり、混雑してしまいます。
しかし、奥に冷蔵庫があることでキッチン全体の圧迫感がなくなり、スッキリとした印象を与えることができるという利点もあります。
また、冷蔵庫のドアが開く方向にも気をつけましょう。ドアが開く方向に壁や棚などがないか、開いたときにキッチンで調理している人にぶつからないかなど、あらかじめ確認が必要です。
対面部分に何を置くか
人気のある対面式のキッチンですが、リビング・ダイニングとの対面部分に何を設置するか、よく検討する必要があります。
対面部分にコンロを配置すると、料理を煮炊きしているときにリビング・ダイニングにいる家族の様子が伺えます。シンクを設置すると、対面からでもコップに水を入れたり手を洗ったりできます。作業台を設置すると、盛り付けた料理を対面で運んでもらうなど、配膳に役立つでしょう。
気をつけたいのは、対面部分にコンロやシンクを置く場合です。調理の匂いがリビング・ダイニングまで流れてしまう、調理している反対側に油はねや水はねをしてしまうなどの場合があり、掃除が大変です。
これらを考慮して、対面部分に何を設置するか決めましょう。
意外と忘れがちなゴミ箱の位置
キッチンレイアウトで意外と忘れがちなのが、ゴミ箱の配置です。ゴミ箱の設置場所を考えておらず、使いにくい場所に置いてしてしまい作業効率が悪くなった、ということは避けたいものです。
シンクや作業台の側にゴミ箱のスペースを設けると、作業中に出たゴミをすぐに捨てることができます。
キッチンをスッキリ見せるためには、シンクの下にゴミ箱を隠せるスペースを設ける、食器棚と冷蔵庫の間にゴミ箱が収まるようにするなど、あらかじめ設置の場所を検討しておくとよいでしょう。
置きたい機器を確認しよう
キッチンに設置したい機器は、人によって異なります。
電子レンジやオーブントースター、ミキサーなどを頻繁に使用する場合は、それらの機器も作業動線に組み込み、寸法やレイアウトを調整しましょう。
使う機器のこともちゃんと考えられたキッチンは、使いやすいだけでなく、スッキリ整って見えます。
まとめ
1日の活力は、朝食から生み出されます。家族の団らんは、みんなで一緒に食べる夕食から生まれます。生きていくのに不可欠な「食」から、生活がつくられていきます。
キッチンは、「食」をつくる重要な部分です。新しく住まいの購入を考えている方や、キッチンのリフォームを考えている方は、ぜひこだわりを持って理想のキッチン空間を実現してみてください。
コスモスイニシアでは、家族の思い出が育まれ、心地よい時間をすごせるよう、美しさと、使いやすさの両立を追求した【SCENERY KITCHEN(シーナリーキッチン)】の導入を始めています。
新しく家の購入を考えている、またリフォーム・リノベーションを考えているという場合は、ぜひ自分にぴったりの住居を探してみてくださいね。
2017/04/27時点での情報です。