住み替え住宅ローンのポイントと鉄則! 無理のない返済のための2大ルール
住み替えを検討するときに、やはり最初に気になるのはお金のことですよね。
特に住宅ローンは、不動産の購入において慎重に検討しなければならないポイントです。
今の家のローンを完済していなくても住み替えができるのか、新しいローンは問題なく組めるのか、気になることはたくさんありますよね。
実は、住み替えをした人の多数は、住宅ローンの残債が残ったまま住み替えを実現させています。「住み替えたいけど、ローンが残っているから……」と諦めている方も多いと思いますが、一般的な住み替えの流れやローンのポイントを理解すれば、住み替えを現実的に検討できる可能性があります。
この記事では、意外と知られていない住み替えにおけるローンの実態と、条件別に利用できる住宅ローンを紹介していきます。
また、「ローンを組んだものの返済しきれない」という状況を避けるために、絶対に守るべきたった2つのルールもお伝えします。
少しでも「住み替えたいな」と思っている方は、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
目次
ローンが残っていても住み替えできる? 住み替えにおけるローンの常識
ローンが残っていても住み替えできる? 住み替えにおけるローンの常識
冒頭で述べたとおり、住み替えた人の多数は、住宅ローン残債がある状態から住み替えを実現しています。
【ポイント①】実際に住み替えた人の多数は、ローン残債がある状態から住み替えている!
しかし基本的に、ローンが完済できておらず、抵当権がついたままの家は売却できません。
▼抵当権とは?
「万が一ローンが払えなくなった場合のため、家や土地をその借金の担保として確保しておくためのもの」のこと。簡単にいえば「お金を返せない場合は、代わりに家や土地を金融機関がもらいますよ」という契約であり、住宅ローンの場合、ほぼ間違いなく家や土地に設定されています。
すなわち、「売り主側の抵当権が残ったままの家を買う」ということは、買い手にしてみれば「自分がローンを完済しても、売り主がローンを完済できなければ、家を取り上げられる可能性がある」ということです。
「ローンを完済しても自分のものにならない家」なんて、誰も欲しいとは思いませんよね。
そのため、ローンが完済できておらず、抵当権が残ったままの家は、売却できないのです。
では、ローン残債がある状態からどうやって住み替えを行うのかというと、最も一般的なパターンは「今の家を売却したお金でローンを一括返済し、次の家を購入する」というものです。
家を売ったお金でローンを一括返済できれば、抵当権は外れるため、買い手も安心して引き取れます。
つまり、「売却金と貯蓄を足した金額がローン残債を超えていれば、今の家は売れる」のです。
【ポイント②】「売却金+貯蓄>ローン残債」の場合、抵当権が外れて今の家が売れる!
では、売却金と貯蓄を足しても、ローンを一括返金できない場合はどうでしょうか。
「住み替えローン」や「買い替えローン」と呼ばれる買い替え専用のローンを使えば、ローンを返済しきれなくても、住み替えできる場合があります。
「住み替えローン」とは、住宅の売却と購入を同時に行う人向けの住宅ローンです。家を売ったお金では返しきれない残債を、新しい家の代金に上乗せして借りることができます。
月々の返済額が上がるため「本当に支払えるのか?」をよく考えて組む必要がありますが、資金計画をしっかり立てられれば、ローン残債を一括返金できない場合も住み替えを実現させる強い味方となります。
【ポイント③】「売却金+貯蓄<ローン残債」の場合、住み替えローンが使える!
残債の有無からみる、使用可能なローンと注意点
先述したように、「売却金+貯蓄」と「ローン残債」のどちらが大きいかによって、使えるローンは異なります。
ここでは、「残債がない(残債を一括返済できる)場合」と「残債がある場合」とに分けて、使用できるローンと注意点を確認していきましょう。
残債がない(残債を一括返済できる)場合【住宅ローン】
下記3つの場合、住み替えの新居の購入において、一般的な住宅ローンを組むことができます。
- すでに住宅ローンを完済している
- 貯蓄で住宅ローン残債を一括返済できる
- 売却金額+貯蓄でローン残債を一括返済できる
この場合、住み替えだからといって特に制約はないので今の家を買ったときと同じように、よくシミュレーションしてローンを組みましょう。
ただし、今の家を買ったときよりも年齢を重ねていることを踏まえて、返済期間には気を付けましょう。
あまりに返済期間が長すぎると、仕事をリタイアした後もローン返済が続くことになります。定年を迎える年齢までに完済できるよう、計画を立てることをお勧めします。
【ここに注意!】「査定金額」と「実際の売却金額」の違いに気を付けよう!
「ローンを完済している場合」や「貯蓄で残債を一括返済できる場合」は問題ないのですが、「売却金額+貯蓄で残債を一括返済しようと思っている場合」は、ひとつ注意すべき点があります。
それは、「査定金額と実際の売却金額は、必ずしも同一ではない」ということです。
「実際の売却金額+貯蓄>ローン残債」の場合はローン残債を間違いなく返済できますが、「査定金額+貯蓄>ローン残債」の場合は返済しきれない可能性があります。
家を売るとき、必ず売却査定金額以上で売れるとは限らないからです。
不確かな側面のある「査定金額」ではなく「実際の売却金額」を基にきちんと資金計画を立てたい場合は、「新居の購入」よりも「家の売却」を優先することをお勧めします。
住み替えには、家を売ってから新居を買う「売り先行型」のパターンと、新居を買ってから家を売る「買い先行型」のパターンがあります。
売り先行型で実際の売却金額を確定させれば、ローン残債を支払えるかどうかも明確になり、資金計画をきちんと立てられるからです。
ローン残債があり、貯蓄で一括返済できない場合は、仲介業者に「家を売ったお金でローン残債を一括返済したい」旨を伝えましょう。
きちんと資金計画が立てられるサービスやプランを提案してくれるはずです。
詳細はこちら:住み替え・買い替えはタイミング命!売り先行 VS 買い先行、どっちが有利?
残債がある場合①【二重ローン(ダブルローン)】
ローン残債があるとき、別の住宅を買いたい場合に「二重ローン」という選択肢があります。
「二重ローン」とは、その名のとおり今までの家と新しい家のローンを二重に組むことです。
家を売ったお金でローン残債を返済できることを前提に、新居の購入を先行させる場合に検討するケースが多いようです。
二重ローンは月々の返済金額が2倍近く跳ね上がるだけでなく、金融機関の審査も厳しくなる傾向にあるため、
住み替えを検討する方の多くが、「できれば避けたい」と考えるローン形式のひとつです。
【ここに注意!】期間が長引いても返済を続けられるのか、事前にシミュレーションを!
審査が厳しく負担も重い二重ローンを組むときに気を付けたいことは、「家が売れない期間が長引いても、返済を続けられるのか?」という点です。
ローン残債を一括返済できるまで、二重ローンは続きます。
すぐに家が売れれば数カ月程度で済みますが、なかなか売れなければ、二重の期間は長引いてしまうのです。
「一時的なこと」と考えて安易に二重ローンを組んでしまうと、期間が長引くほどに負担が大きくなってしまいます。
家が売れる時期は、家を買ってくれる人が現れるかどうかに懸かっているため、売り手がコントロールできるものではありません。
長引いてもきちんと返済できる額なのか、入念にシミュレーションしておきましょう。
【ここに注意!】家を売ったお金で確実に残債を返済できるよう、しっかり計画しよう!
二重ローンでもうひとつ気を付けておくべきことは、「今の家を売ったお金で、確実に残債を一括返済できるのか?」ということです。
ローン残債の返済にあてられるのはあくまで売却金です。「いくらで売りたい」という希望も大切ですが「いくらなら売れるか」という目安もきちんともっておくことが大切です。先述したように、「絶対に査定金額で売れる」という保証はなくもしも残債より低い価格でしか買い手が見つからない場合、「残債を一括返済できないため抵当権が外れず、家が売れない」なんてことになりかねません。
そこで二重ローンを組むときは、「買取保証サービスの買取保証額が残債を超えている」などの安全マージンを確実にとっておきましょう。
買取保証サービスとは、「一定期間家が売れなければ、業者が買い取りますよ」というサービスです。売却査定金額より低い金額にはなりますが、確実に家を手放すことができます。
この金額が残債を超えていれば、確実に一括返済できますね。
思うように家が売れず返済期間が長引いたり、売却査定金額より安価でしか売れなかったりしても、確実に残債を返済できる計画を立てておきましょう。
残債がある場合②【住み替えローン(買い替えローン)】
ローン残債があるうえに、売却査定と貯蓄の金額を合わせても一括返済できない、という場合は「住み替えローン」を利用して住み替えることになります。
住み替えローンとは、住宅の売却と購入を同時に行う人向けの住宅ローンで、家を売ったお金では返しきれない残債を、新しい家の代金に上乗せして借りることができます。
たとえば、「500万円のローン残債があり、3,000万円の新居を購入する」ときに住み替えローンを使うのであれば「500万円+3,000万円」が借入額となります。
住み替えローンの融資で、今の家の住宅ローン残債は一括返済されるため、抵当権が外れて家を売れるようになります。
【ここに注意!】住み替えローンは、新居の価値以上のローンを背負うことになる!
新居の価格とローン残債を合わせた額を借り入れるということは、新居の価値以上のローンを背負うということです。
それは、「ローンを返済しきれなくなったときに、新居を売っても完済できない可能性がある」ということです。
また、金融機関にとっても「担保物件よりも高額な融資をする」ことになるので、年収や勤続年数等の審査条件が厳しくなる傾向にあります。
住宅ローンを組むときは必ずシミュレーションをすると思いますが、不動産会社を通じて金融機関を紹介してもらうなど、直接相談することをおすすめします。
将来的な年収の見通しなども含めて、返済に無理がないかどうか、事前にチェックしておきましょう。
【ここに注意!】家の売却と新居の購入を同じタイミングで実行できるか?
住み替えローンでは、いま住んでいる家のローン残債を、「家を売ったお金」と「住み替えローンで借りたお金」で一括返済します。
そのため、「住み替えローンを融資してもらう日」と「家を売ってローン残債を一括返済する日」が一致しなければなりません。
しかし、家が売れるタイミングは売り主がコントロールできるものではありませんし、買い手が現れて家が売れなければ、新居が決まったとしても、住み替えローンを借りることはできません。
この事態を避けるために、住み替えローンの利用を考えているときは、「買い替え特約」を付けて新居を買うのも1つの方法です。
▼買い替え特約とは?
「期限内に今住んでいる家が売れなければ、新居購入の契約を白紙に戻せる」という特約のことです。
ペナルティなしで契約を解除できるので、新居の売り主側には不利な内容ですが、買い主にとっては便利な特約です。売り主が個人の場合は断られることもありますが、不動産会社であれば付けてくれることが多いでしょう。
3.無理のないローンを組もう! ローンの組み方2大ルール
最後に、無理のないローンを組むために守るべきルールを紹介します。
絶対に守るべきルールは、下記のたった2点です。
- 返済期間を安易に延ばさない
- 返済できない金額を借り入れない
「ローン残債のある状態から住み替えている人が少なくはない」とはいっても、気軽にローンが組めるというわけではありません。
今の住まいを買ったときと同様、綿密なシミュレーションが必要なのは当然として、住み替える場合は上記2点を意識する必要があります。
ひとつずつ、詳細をみていきましょう。
住み替えのローン鉄則1:返済期間を安易に延ばさない!
住み替えでローンを借りる場合は、返済期間を安易に延ばさないようにしましょう。
国土交通省の調査によると、住み替えという2度目のマイホーム購入を行う年齢は、40代~60代がメインとなっています。
(参考記事:【住み替え入門】資金は? タイミングは? 3つのキホンを徹底解説)
初めて家を買う年齢が30代~40代メインなので、そこから10年~30年程度経ってから住み替えを実行していることがわかりますね。
年齢を重ねているということは、定年までの期間が短くなっている、ということです。
初めて住宅ローンを組んだときと同じ感覚で30年ローンなどを組んでしまうと、老後の生活に支障が出る可能性があります。
多くの人が定年を迎える65歳までに完済できるよう、返済期間を延ばしすぎない計画を立てることをお勧めします。
住み替えのローン鉄則2:返済できない金額を借り入れない!
当然ではありますが、返済できない金額を借りないようにしましょう。
金融機関が融資してくれる金額の上限が、返済できる金額の上限であるとは限りません。
「返済できるかどうか」という判断の目安のひとつとして、今組んでいる住宅ローンの月々の返済額が挙げられます。
今の家を買った時点と比較して大幅に世帯年収が増加しているなら、月々の返済額が多少上がったとしても影響は少ないかもしれません。しかし、あまり変化がないのであれば、現在の返済額を大幅に超えるようなローンを組むのは危険です。
「子どもの進学」「親との同居」などの可能性も考慮に入れて、本当に返済できる金額なのかよく検討しましょう。年齢に応じたライフイベントや収入の変化などを書いたキャッシュフロー表を作っておくと、機械的なシミュレーションよりもリアルに計画が立てられます。ファイナンシャル・プランナーに相談してみてもよいですね。
資金計画をできるだけ正確に立てるためには、新居の購入より家の売却を優先して、売却金額を明確にすることをお勧めします。
住み替えを考えている人は、まずは一度、売却査定をしてみましょう。
Webサービスを利用すれば、営業マンの訪問なしでも売却査定が可能です。部屋の片づけや内覧対応なども不要なので、検討段階の方でもお気軽にお試しください。
最後に|事前計画を綿密に
不動産という大きな買い物にはつきものの住宅ローンですが、2度目の利用でもわからないことは多いものです。
最初に述べたとおり、住み替えを実現している人の多くは、ローン残債がある状態からスタートしています。
住み替えの場合のみ適用される減税措置などもあるので、「ローンを返しきれていないから」と諦めないで、一度シミュレーションしてみるとよいでしょう。
ライフスタイルの変化によって、住宅に対するニーズが変わるのはごく自然なことです。
理想の住まいを手に入れるために、まずは売却査定から始めてみてはいかがでしょうか。
2016/12/22時点での情報です。