老後はどうする? 終の棲家を考えた過ごしやすい間取りとは
子どもが成長して独立した、近いうちに会社を定年退職するなど家族のライフスタイルの変化をきっかけに住み替えを検討する人が近年増加しています。
その理由は、家族の人数が減って今の家が広く感じられる、自分が老後と呼ばれる年代なり慣れ親しみ住んでいた家にも過ごしやすさがなくなり不満が出始めるなど、様々です。
しかし、人生のうちに何度もマイホームを購入できるわけではありません。老後を考えて住み替えをすれば、人生最期の住まいである「終の棲家」ともなります。
何年後、何十年後の老後に備えてどのような家に住み替えすればいいのか分からない方も多いですよね。
この記事では、老後の暮らし方や過ごしやすい間取りなどを考えるうえで参考になるポイントを紹介していきます。
いつかはやってくる老後に備えて「どんな暮らし方をするのか?」を視野に入れた住まいづくりや住み替えを考えることはとても大切です。
読んだ方の終の棲家が快適な住まいにするためのヒントになれば幸いです。
目次
「理想の住まいが見つからない…。」減築やリノベーションの検討をしよう!
さいごに|老後の生活を考えて、「終の棲家」に適した間取りを選ぼう
「終の棲家」とは?|老後を考えた住み替えが急増している
「終の棲家」とは、言葉通り人生最期の住まいのことです。若いときには、なかなか想像できないですよね。
結婚や子どもが産まれたタイミングで、今の住まいを購入したという方も多いでしょう。若い時代に購入する住まいは、自分一人だけの生活ではなく家族みんなが快適に暮らせる空間を意識して住まいを選ぶでしょう。
しかし、年数が経つにつれ、家族のライフスタイルは変化していきます。
子どもが大きくなり独立してしまった、定年退職で仕事をしなくなったと大きい変化がきっかけとなり快適だった今の家が不便ということを感じ始めることもあるかもしれません。そこで、マイホームを手放して住み替えをしたいと考える方が増えているのです。
必ずやってくる老後について、元気なうちに前もって考えておくのは実はとても大事なことです。
詳しくはこちら:老後のことを考えて住み替える? タイミングや気を付けるべきポイントとは
どう変わる? 老後の生活
当然ですが、若いときと老後の生活はさまざまな面で変化します。ライフスタイルが変化すれば、住まいの快適さもかなり変わってくるはずです。
年を重ねるごとに起こり得る変化とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
子どもの自立、定年退職などによるライフスタイルの変化
家族みんなのライフスタイルが考えられた広い間取りの家では、子どもの独立後に「家が広すぎる」と感じてしまうかもしれません。人のいなくなった子ども部屋は、物置として使用している住まいも多いのではないでしょうか。
使わない部屋であっても、ホコリが溜まるので放置するわけにはいきません。定期的に掃除をしたり、空気の入れ替えをしたりする必要があります。一戸建ての場合、2階に子ども部屋があることが多いため、掃除のために2階と1階の往復で階段を使うのは足腰の負担にもなります。
また、老後には定年退職という大きな変化もあります。郊外の一戸建てに暮らしていた方が、老後の生活を考えて利便性のよい都市部に住み替えるケースも多いです。
加齢によって足腰が弱くなる
毎日使う体は加齢によって機能が低下します。若いころのように体を動かせないと、運動しなくなり筋肉が落ちてきます。関節の周囲にある筋肉は動きをスムーズにしてくれるものですが、筋肉量が減少することによって足腰の動きが悪くなりがちです。
若いときにはスムーズに昇り降りできていた階段は、シニア世代にはなかなかきついものとなります。階段のある2階建の一戸建ては、足腰が弱くなった老後には住みにくいと感じやすいのです。
今の住まいに不満が出てくる
仕事や子育て中心の生活の頃に購入したマイホームは、子どものために広くしたり、デザイン性に富んでいたりと、若いときの理想に合った間取りとなっているかもしれません。
ところが、先述のように子どもが独立していなくなった場合の他に、一戸建てで2階にリビングがある場合も不満が出がちです。明るい陽射しで暖かな2階リビングは、家族団らんの場としてもイメージがよいものです。ただ、老後には使いづらい間取りになる可能性があります。食事や外出のとき、寝るときなど1日に階段を何往復もするのは加齢で弱まった体のことを考えるとかなりきついものでしょう。
終の棲家、ここに注目!
終の棲家として住み替えを考えたときは、身体のことを一番に考えた使いやすい間取りにしたいですよね。足腰が弱くなると若いとき以上に動きやすいことが重要なポイントになります。バリアフリーや家事動線の短さなどが考えられている間取りに注目しましょう。
バリアフリーが考えられた間取り
階段や段差のある間取りは、加齢による体力の低下や足腰の弱まりによって不便になります。足腰が弱いシニア世代の転倒事故を防ぐためにも、バリアフリーが考えられている間取りをおすすめします。
室内では、できるだけ段差をなくして転倒事故を防ぐようにしましょう。また、廊下やトイレ、浴室にも手すりを設置されていると足腰が弱くなっても安心ですよね。
もし車椅子となってしまった時のことも考えて、通行しやすい廊下の幅であるかも確認しておきたいポイントです。
引用:コスモひばりが丘ザ・ガーデンズフォート
この間取りのように、リビング・ダイニングと和室が隣り合っている部屋も老後にはおすすめです。年齢を重ねると和室で足を伸ばしてくつろぎたいという方も多いでしょう。和室とリビングを隔てる扉は引き戸にしておき、普段は開けておけば開放感のある空間にもなります。
また、部屋の寒さで体調を崩す方も多いので、リビングが南側に面し、床暖房が入っている部屋もシニア世代には過ごしやすい部屋となります。
生活動線、家事動線の考えられた間取り
住んでみてから不満の出やすい生活動線、家事動線への配慮。もし、住み替えをするのであれば、きちんと動きやすさや効率のよさを考えられた間取りを選びたいですね。
引用:イニシア草加高砂
こちらの間取りは、玄関からリビングまでが直線の廊下で繋がれています。高齢となり足腰が弱くなると、直線で動くことができるとスムーズに稼働ができるでしょう。
また、キッチン、リビングの近くに洗面室や浴室があるので動線が短めです。年齢を重ねると浴室での事故も増えるので、リビングから近い場所に浴室があると同居している方が異変にも気づきやすくなります。
さらに、洋室すべての入り口ドアが引き戸になっているのも、老後には暮らしやすいポイントです。一般的な住宅によく利用されている開き戸は、開閉のために一度体を後退させなければなりません。一方、扉を開けてすぐ室内に出入りできる引き戸は、車椅子になったときにも移動がスムーズになります。
このように、生活動線や家事動線が短くなると老後でも快適に暮らせるのです。
マンションと一戸建て、住み替えるならどっち!?
実際に足腰が弱くなって生活がしづらい状況となってから住み替えをすると、住まい探しや引越しが負担となり、なかなか難しいものです。老後を見据えて住み替えをするなら、仕事を持っている間に検討しておくのがおすすめです。
そこで、まず迷うのが「マンション」か「一戸建て」のどちらにするかではないでしょうか。老後の暮らし方の重視するポイントがそれぞれ違うので、どちらがいいとは一概に言えないかもしれません。
詳しくはこちら:【マンションVS一戸建て】買うならどっち? 11項目から徹底比較!
そこで、マンションと一戸建てそれぞれの特徴やチェックしたいポイントについて考えてみましょう。
マンションの場合|耐震性、共有部分もしっかりチェック!
最近では、終の棲家としてマンションを選ぶ方が多くなっています。どんな点が選ばれるポイントになっているのでしょうか。
・ワンフロアで生活できて階段の負担が少ない
集合住宅で階数があるマンションですが、エレベーターを使えば自宅まで階段を使う必要がありませんよね。生活する部屋は、2階がないワンフロアで生活ができます。「階段がきつい」と嘆くこともないでしょう。
・建物の管理を自分でしなくてもいい
「管理が楽」という気持ちから終の棲家としてマンションを選んだ人も実際に多くいます。一戸建て住宅は、定期的に外壁や屋根の塗装が必要、庭の手入れをしなければならないなど、屋外の管理もすべて自分で行わなければなりません。しかしマンションであれば、そういった心配がありません。共用部分のメンテナンスは管理費に含まれているので、自分で考える必要はないのです。
・耐震性、耐久性、共用部分は要チェック
終の棲家として長く住むなら、建物の耐震性や共用部分についてもチェックをしておきましょう。耐震性を考えたときにキーワードとして出てくるのが「新耐震基準」です。新耐震基準は1981年6月以降に確認申請をして建築されたマンションで採用されています。
旧耐震基準は、「震度5程度の地震では倒壊しない」という基準でした。それに対し新耐震基準は「震度5程度の中規模な地震では損傷をほとんど受けない」「震度6以上の強い地震では倒壊せず、人命を守れること」が基準になっています。つまり、新耐震基準では「人の命を守ろう」という考えが強くなったのです。
旧耐震基準の建物だからといって必ずしも危険とは言い切れませんが、判断材料のひとつとして築年数を重視する方も多いです。
また、共用部分もチェックしましょう。いくらエレベーターがあっても、エントランスやホールに段差が多いとシニア世代にとっては危険な箇所となります。それに、車椅子を使う可能性を考えると段差は大敵です。スムーズに通過するためには、共用廊下が広いマンションかどうかも気にしたいポイントです。
マンションに老後安心して住めるメリットとして、セキュリティ面が良いところもあります。オートロックはもちろん、管理人が常駐あるいは通勤していることなどもマンションならではの魅力と言えるでしょう。
一戸建ての場合|自分の趣味に特化した家づくりができる
老後と言われる世代になると、足腰が弱まり健康面でも不安を抱え始める人が多いです。なかには、元気に活動している高齢の方もいますが、若い頃と比べると体力の衰えは感じるものですよね。
それでも仕事を定年退職し、子どもたちが巣立ったあとには「自分の第2の人生を楽しみたい…」と、のんびりしながらも自分の趣味を見つけてアクティブな過ごし方をする方もいるでしょう。そんな方は、一戸建てを終の棲家として検討されるかもしれません。
・のんびりと過ごせる一戸建て
一戸建てでは上下階の音が気にならず、プライバシーにも守られるメリットがあります。郊外でのんびりと自分の趣味を楽しみつつ暮らしたい人は、一戸建てを選択するとよいでしょう。駅やバスなどの公共的な乗り物の本数は少なめになるものの、自然が身近となりのんびりした生活ができそうです。
・自分の趣味にも没頭できる
庭を設けることができるというのも、一戸建てならではのメリットでしょう。
一戸建てなら庭に小さな家庭菜園をつくることができます。日中は庭いじりのために時間を費やすことで生活のリズムがうまれます。自分が育てた野菜が食卓にのぼるのは気持ちのよいものですよね。最近では、定年後に家庭菜園を趣味にしている方も多くいらっしゃいます。
「理想の住まいが見つからない…。」減築やリノベーションの検討をしよう!
老後に向けてあれこれと考えても、「今の家に住み続けたい」と考えている方も多いかもしれません。頭では理想の家を考えても、住み慣れた住まいを離れることに抵抗があるという人もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのは、今の住まいを老後に住みやすいように変える「減築」や「リノベーション」です。
・2階はいらない…そんな不満には部屋を減らす「減築」
減築という言葉は聞き慣れない方も多いかもしれませんが、部屋を増やす「増築」とは反対の意味で、部屋を削ったりして住まいの面積を減らすことを指します。
一戸建ての場合、子どもが独立した後の子供部屋は使わないことも多いでしょう。使わない部屋であっても、掃除や空気の入れ替えをしなければ住居が傷んでしまうものです。誰もいない部屋のために掃除をしたり、窓の開け閉めをしたりと階段をのぼるのも大変です。
そこで、2階を減築し平屋にすれば、シニア世代で負担となる階段の昇り降りが不要になります。また、居住面積が減りスッキリとした空間になるため、全体的に生活動線が短めになります。老後も快適に暮らせます。
・バリアフリーを意識したリノベーション
室内の段差を解消したり、廊下やトイレ、浴室など毎日使う場所に手すりをつけたりするだけでも動きやすくなります。また、間取りを全体的に変えて大がかりなリノベーションをすると快適性が向上します。
部屋数が多ければ、壁を取り払って広々としたワンルームにしてもいいでしょう。リビングと寝室を近くすることで、足腰が弱くなったときに生活動線が楽になります。
家の中で転倒事故も起こりやすいので、滑りにくい床材へ変えてみるのも老後には考えたいことです。廊下や部屋の床以外でも、お風呂の床もすべりにくいものにすると安全・安心の入浴タイムとなります。また、将来車椅子になっても家の中がスムーズに移動できるように、家の中の扉をすべて引き戸にしてもよいですね。
詳しくはこちら:おしゃれに! 安く! 中古マンションをリノベーションする時に知りたい5つのこと
さいごに|老後の生活を考えて、「終の棲家」に適した間取りを選ぼう
長い人生のなか、誰しも健康で丈夫に生活し続けたいと願うものです。ただ、加齢とともに体力が落ち、身体能力が衰えるのは自然な流れとも言えます。その年齢が早まるかどうかはそれぞれの体質や食生活の環境にも左右されます。そして、若いときには快適だったマイホームが「なんだか暮らしにくい」と感じることもあるかもしれません。
何十年後の将来の心配をするのは難しいですが、のんびりと暮らす幸せな老後のためには考えておきたいことです。
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年齢を重ねても快適に過ごせる終の棲家を見据えた間取りを考えて、マイホーム選びをしてみてはいかがでしょうか。
2017/05/11時点での情報です。