【原因別】もう悩まない!マンションでの騒音・防音対策を徹底解説
さまざまな人が共同で生活をしているマンション。壁や床を隔てて暮らしているとはいえ、日常生活のあらゆる音が聞こえてくることは珍しくありません。時には、他の人が出す些細な音が気になってしまうこともありますよね。
ご近所さんとの関係を崩したくないあまり、「うるさい」とは言えずにストレスを溜めている方もいるかもしれません。逆に、自分の家からの生活音が周囲の人から「騒がしい」と思われていないか心配な方も中にはいるでしょう。
多くの人が生活を共にしているからこそ、何気ない音が「騒音問題」に発展してしまうこともあります。
これからマンションの購入を検討している人は、少し不安に感じてしまう点ですよね。
そこで今回の記事では、マンションで生活するうえでの「騒音問題」について、原因と対策を紹介していきます。
近隣の方とのトラブルを防止する対策にもなるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
購入前にチェック!マンションの騒音問題に悩まされないためには?
騒音の基準とは?
騒音と一口に言っても、騒がしいと感じる音については個人差があり、どのような音を不快に感じるのかも人によって異なります。
住宅内では、日々さまざまな音が発生しています。動いたときに出る足音や日常的な会話、ドアを開閉する音などの生活音は、必ず発生してしまいますよね。
また、洗濯機や冷蔵庫など家電から出る音もあるでしょう。さらに、テレビやステレオ、ピアノなどの趣味を楽しんでいる際に生じる音、ペットの鳴き声などもありますが他の住民からすると不快な音になっている可能性もあるのです。
一般的に音の大きさのレベルは、「デシベル(dB)」という単位で表わしています。環境省が定める環境基準によると、一般的な住宅地域では昼間で55デジベル以下、夜間で45デジベル以下が理想的とされています。
こちらの表は、「生活騒音の現状と今後の課題」(環境省)を参照に作成したものです。
日常生活で聞こえる主なものの音の大きさは、ピアノが約80~90デシベル、ステレオが約70~86デシベル、洗濯機が約64~72デシベル、掃除機が約60~76デシベル、犬の鳴き声が約90~100デシベル、子どものかけ足が約50~66デシベルなどとなっています。
一般的な住宅の昼間の理想的数値が55デシベルとされているので、日常的な生活音のなかには「騒音」と言えるような音がたくさんあることが分かります。
ただ、住んでいる環境や時間帯によって、「騒音」と言える音がどのように聞こえるかは異なります。
例えば、賑やかな住宅街であれば昼夜問わず様々な音が聞こえてくることが多いので、あまり気にならないかもしれません。一方、閑静な住宅街では日中窓やドアを開けると、隣の住宅からの掃除機や洗濯機の音などちょっとした生活音も聞こえて気になることもあるでしょう。
また、どのような環境であっても夜間になると周囲が静かになり、昼間は気にならない小さな音も目立って聞こえてくるのです。周囲の音が「気になる」「うるさい」と感じると同時に、自分が出している音が周囲の人の耳障りになることもあるので、周囲に配慮しながら暮らすことが大切です。
騒音の原因・種類別で対策をしよう!
ひとくちに騒音と言いますが、様々な種類の音があります。例えば、マンションの建物内部を伝わることにより聞こえてくる音、子どもの声やペットの鳴き声、車の音など、毎日の生活のなかでは様々な音が聞こえてきます。
そこで、種類別の騒音について、ケース別の対策方法を紹介していきます。
足音
マンションの騒音問題で多くの人々を悩ませているのが、足音です。小さな子どもが住んでいると「バタバタ」と走り回る音や遊びに夢中になった子どもがジャンプしているような音が発生し、時間帯によっては聞こえる音を不快だと感じる方もいるでしょう。
また、大人であっても歩き方によっては足音がうるさく聞こえることもあります。ライフスタイルがそれぞれ異なるので、多くの人が寝ている深夜や早朝の時間帯に大きな足音が聞こえると目が覚めてしまい迷惑にもなることもあるのです。
足音に困ったら…。
我慢できないほどうるさい足音の場合、管理会社に相談することもできます。しかし、集合住宅なので少しくらいの音が出てしまうのは仕方のないことかもしれません。
上の階の足音がどうしても気になる場合、少しでも軽減するために自分でできる対策もあります。グラスウールや発砲ウレタンなどの、軽量で音を吸収する柔らかい素材でできた吸音材を天井に貼り付けることです。
ホームセンターやインターネット通販などで購入し、自分で取り付けすることも可能です。ただし、どれだけの効果が得られるのかは素材や室内環境によって異なるため、事前の確認はしておいた方がよいと思います。また、高所での作業になるため、注意しながら取り付けていきましょう。
下階に足音を響かせないようにするには?
小さな子どもは、騒音問題など気にも留めず、足音を立ててしまうことがよくあります。「静かにしようね」と教えたとしても、すべての行動を制限することはできません。下の階に響いていないかどうか、気になってしまいますよね。
そこで、気軽にできる対策として防音マットや防音カーペットを敷く方法があります。
防音マットや防音カーペットはクッション性が高いので、足が床に着くときの衝撃を吸収し、音を伝えるのを和らげる働きをします。子どもがメインで遊ぶ部屋に敷いてみてはいかがでしょうか。「防音マット+防音カーペット」とダブルで対策してみるとより高い防音効果が期待できるはずです。
また、子育て世帯におすすめなのは「ジョイント」タイプの防音カーペットです。ジュースをこぼしたり、クレヨンや絵の具で汚したりしたときにも、その部分だけ外して洗濯できるメリットもあるカーペットです。
フローリングを遮音性の高いものにリフォームする方法もあります。フローリングの遮音性は「L値」という数値で表されます。この数値が小さいほど「遮音性」が高いことになり、マンションでは階下への配慮として「L45」よりも低い数値のものが推奨されていることが多いです。
マンションの場合、一般的にフローリングのリフォームは管理規約で規制されています。
リフォームするときにも、上下階や周囲の部屋の人から承諾を得ることを条件にしていることもあります。管理規約は、各マンションによって違うので事前にしっかり確認しましょう。
上下左右の部屋からの生活音
上下左右の部屋から、テレビ・ステレオなどの音や人が大きな声で話している声が聞こえるケースもあります。これらの音は、お互いにテレビをつけるなど音を出している状況ではそれほど気になりませんが、片方が静かな状態であればより聞こえやすく騒音ととらえられる音にもなるでしょう。
上下左右の部屋からの生活音が気になるなら…。
周辺の部屋の音が気になるときには、気軽にできる防音対策として壁側に家具を設置する方法があります。本棚やタンスなど大型のものなら、厚みがあって音を隔ててくれる効果があるのです。まずは、家具の配置を変えてみるというのもひとつの防音対策になります。
また、家具の配置を変えても音が気になるなら、天井や壁に吸音材を貼り付けてもいいでしょう。遮音シートと呼ばれる簡単に貼り付けることの出来るタイプや何枚も貼り付けていくパネルタイプがあり、音を遮って聞こえにくくしてくれます。
天井一面、壁一面にすべて貼り付けるとなると費用がかかるので、事前にどのくらい必要なのか予算を考えながら検討することをおすすめします。
周囲の部屋に生活音を漏らさないためには?
家具の配置変更や吸音材の貼り付けは、自分の家の生活音を周囲に漏らさないための防音対策としても効果があります。テレビの音は壁伝いに聞こえてしまうので、リビングの中央に置くなど壁から離して設置する方法もいいでしょう。
さらに、夜の遅い時間帯にテレビを見るときにはイヤホンやヘッドホンで楽しむのも周囲への配慮になります。
家庭用機器、設備からの騒音
冷蔵庫や洗濯機などのモーター音は、些細ですがとても気になってしまう音のひとつです。振動が床や壁を伝わって聞こえたり、機器や設備の劣化によって音が大きくなったりしてしまうことが騒音の原因になっているようです。
中には携帯電話を床に置いたままにして、受信やアラームの際に発する振動が下階に伝わるケースもあります。
冷蔵庫、掃除機、ドアの開閉の音がうるさく感じるときは?
冷蔵庫のモーター音、掃除機をかける音、ドアの開閉音が聞こえることもありますよね。足音や生活音が聞こえる際の対策と同じで、天井や壁に遮音シートや吸音材などを貼り付けるといいでしょう。
家庭用機器、設備からの音を遮断するために
冷蔵庫や洗濯機などはモーターが振動することで音を出します。そのときに家電と床が触れあうことで、共に振動する「共振音」が発生するのです。そのため、振動を抑えるグッズが効果的です。冷蔵庫や洗濯機を設置するときに、家電と床の間に「防振ゴム」や「防振シート」を敷きましょう。モーターが動くときの大きな音を防ぐことができます。
また、洗濯機や掃除機の使用する時間帯にも気をつけましょう。全ては難しいかもしれませんが、できるだけ日中に行うようにすれば、周囲への配慮にも繋がります。
ペットの鳴き声や足音
ペット可のマンションの場合、ペットの鳴き声や足音が騒音トラブルの原因になることがあります。特に犬の無駄吠えや夜鳴きは、周囲にとっては騒音と捉えられてしまうこともあるのです。「ペット可」と言ってもペットを飼っていない人も住んでいるので、不快な音と思われても仕方ないかもしれません。
ペットの鳴き声に悩んでいるなら…。
そもそもペットがOKとなっているマンションなら、犬の鳴き声は仕方がないと諦めている人も多いかもしれませんね。ときどき吠える声が聞こえる程度というケースなら、こちら側の窓を閉めるなどして聞こえないようにすることで対処ができます。
ただ、飼い主さんが留守にしているときに犬が鳴き続けたり、夜鳴きがひどかったりすることもあるでしょう。あまりにも鳴き声が続く場合は管理会社に連絡して、飼い主さんに伝えてもらう方法がおすすめです。
ペットの鳴き声対策でできることって?
自分がペットを飼っている側なら、近隣の人への配慮が必要になります。犬の吠える声や猫のうなり声などは、窓を開けているときに周囲に伝わることが多いです。
そこで、窓側に防音対策をしてみましょう。音を吸収してくれる防音カーテンなら、室内の音を窓から漏れることを防ぎ、夜泣き対策としても効果が得られる方法です。また、犬や猫を飼うスペースに、防音マットやカーペットを敷いてみてもいいでしょう。敷くだけで防音できるという気軽さの他、ペットの足腰への負担軽減の効果もあり、ペットを飼っている人にはおすすめです。
そして最も大切なのが、無駄吠えをさせないしつけです。飼い主さんが上手くコントロールすることで、無駄吠えと言われる騒音を軽減することができます。
車、電車、トラックなどのマンション外からの騒音
マンションの中だけでなく、外からの音に悩むケースも多いですよね。立地環境によって音の大きさや聞こえてくる頻度は異なりますが、車や電車、トラックが通るときの音が気になることもあります。
周囲の住民が出している音ではないので、管理会社に相談したとしても解決には結びつきにくいものですよね。外からの騒音には、どのように対処したらいいでしょうか。
マンション外からの騒音に悩んでいる場合の対策方法
マンションの近くを通る車や電車、トラックなど乗り物の音は、窓の外から聞こえてきます。そこで、窓側にできる防音対策として防音カーテンを検討してみてはいかがでしょうか。
一般的なカーテンよりも厚い生地なので、音を遮ってくれる効果があります。また、外からの熱を遮ってくれるなど、冷暖房費の節減効果もあるのが嬉しいポイントです。
外からの音をすべて遮断できるわけではないですが、不快だった騒音が軽減され、効果を感じられるでしょう。
購入前にチェック!マンションの騒音問題に悩まされないためには?
一般的なマンションの主な構造は、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)です。木造建築が主流である一戸建て住宅と比較すると、コンクリート構造なので防音性が高いのが魅力です。木造と違って、空洞がなく厚みのあるコンクリートは音を通しにくいのです。
ただ、コンクリートだからといって音を周囲に全く漏らさないわけではありません。窓から音が漏れることもありますし、子どもがバタバタと歩く足音は躯体であるコンクリートを伝わって下階に響くことも考えられるでしょう。
そこで、事前にチェックしておきたいポイントをいくつか紹介します。
・静かな立地を選ぶ
まずは、住む場所を選択する際に、静かな場所を選択することが騒音トラブルを防ぐための一つの策となります。
例えば、周辺に幹線道路や線路がないなどです。新築・中古に関係なく、購入前に確認ができる点なので、時間を変更してマンション周辺を散策したり、不動産会社に確認したりするのもよいかもしれませんね。
・角部屋や最上階を選ぶ
最上階であれば、上からの足音が気になることはないでしょう。
また、左右の部屋からの音を緩和したいなら、角部屋がおすすめです。隣に面している壁が少ない分、聞こえる音も少なめになります。
・周辺の住人の状況は?
子どもやペットがいる部屋が身近にあるとどうしても騒音と考えられる音が聞こえる頻度が高くなります。また、家族が多い住戸の近くに住むと気になる生活音が多くなる可能性も考えられるでしょう。
中古マンションの場合であれば、実物見学の際に周辺にどのような人が住んでいるのか確認することができます。
隣や上下の部屋の住人について「子どもが住んでいるか」「ペットを飼っているか」「家族が多いか」などの情報を聞いておくとよいでしょう。
自分たちが騒音トラブルのもとにならないためには?
マンションは集合住宅であるため、騒音問題が起こりやすい環境にあります。
隣近所との友好な関係を保つためにも、自分たちが騒音トラブルのもとにならないような行動を心掛けることが大切です。
例えば、まだ小さな子どもの鳴き声や足音が気になるのであれば、1階住戸を購入すると下階から苦情がくることはありませんよね。
他にも、夜に大きな音がでることは避ける、生活音のでやすい掃除・洗濯を日中に行うなど、近隣の方々にも配慮を行うようにしましょう。
また、ご近所付き合いは騒音トラブルに発展させないためには大変重要です。お互いが顔見知りであり、挨拶をするような関係であれば、深刻なトラブルへの発展は避けることができるはずです。
まとめ
マンションは集合住宅なので、近隣住宅の音が聞こえるのは仕方がないことかもしれません。でも、「騒音かどうか」の感じ方は人それぞれで、音が聞こえるたびにイライラしてしまいストレスに発展してしまうこともあるでしょう。
ひとりひとりが周囲への配慮をすることがとても大事です。そのためには、音の種類に応じてできる対策を知っておくようにしたいものです。
近隣住民の騒音が気になる人、あるいは自分の家からの音が周囲に漏れるのを防ぎたい人は、この記事で取り上げた対策を知っておき、快適な暮らしに結び付けてみてはいかがでしょうか。
隣人・近隣トラブルに関してはこちら:あなたならどうする?隣人・近隣トラブルの事例と正しい対処法
2017/06/08時点での情報です。