壁を取り払って部屋を広くしたい!壁を壊すマンションリノベーションをする前に確認しておきたいこと
自宅の間取りに不満があり、リノベーションを考えている方は多いのではないでしょうか。壁を撤去するリノベーションでは、部屋の間取りの変更や拡張が可能です。ただし、中には構造上「壊してはいけない壁」が存在するため注意しましょう。
今回の記事では、壁を撤去するリノベーションについて以下の内容を解説します。
- 壁を撤去するメリットとデメリット
- 撤去できる壁の見分け方
- 壁を撤去する際の注意点
壁を撤去したリノベーション事例に加え、既存の間取りを活かす方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. リノベーションで壁を撤去するメリットとデメリット
ここでは、リノベーションで壁を撤去するメリットとデメリットを紹介します。メリットとデメリット2つの面を照らし合わせながら、壁のリノベーションを検討してみてください。
・メリット
リノベーションで壁を撤去する主なメリットは、以下の3つです。
- 1つの部屋のスペースが増える
- 部屋全体が広く見える
- 室内の通風が良好になる
例えば、リビング横の居室の壁を撤去すれば、広々とした開放感のあるリビングが完成します。子どもが独立して使わなくなった部屋などがあれば、壁を取り払うことで1つの広い空間として使えるでしょう。
さらに、部屋を遮断する壁がなくなるため、室内の空気がスムーズに流れやすくなり風通しが良くなります。
・デメリット
壁を壊すリノベーションで起こるデメリットは「室内に冷暖房が行き渡るのが遅くなること」です。壁を撤去することにより、物理的に部屋の体積が広がります。エアコンの空気が室内全体へ行き渡るまでに時間がかかるため、冷暖房効率は悪くなります。
その場合の対処法として、「壁に断熱材を入れる」方法もあります。記事の最後の項目で紹介しているので参考にしてみてください。
壁を壊せるか否かは、そのマンションの構造によって異なります。プロと相談をしながら「どの壁であったら撤去することが可能か」を前提にリノベーションの計画を立てていきましょう。
2. リノベーションで壊してOKな壁・NGな壁の見分け方
リノベーションをする際に「撤去してもいい壁」と構造上「撤去してはいけない壁」の見分け方を解説します。マンションの構造の種類によって壁を撤去できるかは異なるため、事前に確認しましょう。
・マンションの壁における2種類の構造
マンションには、大きく分けて2種類の構造があります。
- 壁式構造
- ラーメン構造
それぞれの構造の特徴に加え、壁の撤去の可否についてを説明します。
壁式構造
建物を壁全体で支えているのが「壁式構造」と呼ばれる構造のマンションです。マンションが「壁式構造」だった場合、部屋の要所要所に建物自身を支える重要な「耐力壁」が存在します。「耐力壁」は建物を支える上で重要な役割を担っているため、取り壊すことはできません。
ラーメン構造
柱と梁(はり)で建物を支えているのが「ラーメン構造」と呼ばれる構造のマンションです。5階建て以上のマンションは「ラーメン構造」で造られていることが多いと言われています。
「ラーメン構造」のマンションであれば大半は撤去できる壁ですが、まれに「耐力壁」が組み込まれているため注意が必要です。自ら壁を撤去する前に、一度専門家に確認してもらいましょう。
・構造の種類の見分け方
それでは、どのようにして「壁式構造」と「ラーメン構造」を見分けることができるのでしょうか。まず、物件の間取り図を用意しましょう。部屋の四隅に黒い四角で記されている柱がある場合は「ラーメン構造」です。柱がない場合は「壁式構造」と判断します。
また、間取り図で黒い四角で記されている「ラーメン構造」の柱に当たる場所は壊すことができません。さらに、実際に壁を叩いてみたときに中が空洞のように響き「コツコツ」と鳴る音が高ければ撤去できる壁です。一方で「コツコツ」と鳴る音が低ければ、撤去できない「耐力壁」である可能性があります。
3. マンションで壁を撤去するリノベーションを行う際の3つの注意点
マンションで壁を撤去し2つの部屋を繋げるリノベーションを行うとなると、どのような点に注意すればよいでしょうか。ここでは代表的な3つの注意点を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・工事のスケジュールや費用は余裕を持って組んでおく
マンションで壁を撤去するリノベーションを行う際は、工事スケジュールが重要です。現場で工事に必要な素材の搬入が遅れたり、壁を壊した後に問題が発覚したりする場合があります。作業中のイレギュラーなアクシデントで工期が延びれば、施工業者への支払いは増えていくため注意が必要です。そのため、工事期間についてはあらかじめ余裕を持ったスケジュールを組んでおくのがいいでしょう。
また「費用」についても注意が必要です。壁を撤去するだけであれば「施工業者へ支払う日当」と「材料費」だけとなります。しかし、リノベーションを行う施工業者の中には、壁を取り壊す前の補強や最終的な撤収作業を工事費用に加算する会社があります。「後に数倍の金額を請求される…」というケースがあるため気をつけてください。
・撤去したい壁にコンセントや照明のスイッチなどがないか確認する
取り壊したい壁の近くにコンセントや照明のスイッチがあった場合、コンセントやスイッチを移設させるために電気工事士による作業が追加で必要になります。壁を撤去する際は、移設の費用が追加でかかることを考慮に入れましょう。また、リノベーション後にコンセントとスイッチをどこへ移動させるか考えておくことが重要です。
壁にインターフォンが設置されているマンションの場合、工事中に断線などで不具合が発生しないかを事前に確認しておきましょう。また、コンセントの位置が変わると、TVや冷蔵庫、電子レンジなど日用的に使用していた電子機器を、今までと同じ場所で使えなくなる可能性があります。
壁を撤去した後「どのような動線で電子機器をつなぐか」「その場合家具は配置し直す必要があるのか」などを、あらかじめ考えておくことが大切です。
・素人の独断で壁を撤去するのは危険
室内の壁は、建物の構造を保つためにさまざまな条件で計算され、設置に至っています。「壊してもいい壁」「壊してはいけない壁」の見分け方が分かっても、不動産会社から手渡される間取り図には柱の表記がないものがあったり「耐力壁」であっても施工の条件によって高めの「コツコツ」といった音が鳴ったりすることがあります。
そのため、素人では壁を撤去できるか判断することは困難です。間取りを変更するような大規模なリノベーションに関しては、専門家であるプロの知見を借りながら工事を着実に進めていくことをおすすめします。
4. 壁の撤去や間取りを活かしたリノベーション事例
実際に壁を撤去することによって、住居はどのように変化を遂げるのでしょうか。ここでは、マンションで壁を撤去したキッチンリノベーションの事例を紹介していきます。
・ダイニングキッチンの壁を取り払い開放感のあるキッチンへ
ダイニングキッチンにある壁を撤去し、フラットなキッチンへとリノベーションした事例です。仕切りがなくなることにより、部屋全体が広く感じられます。見晴らしが良くなるため、お子様のいるご家庭では料理をしながら様子を把握しやすくなるでしょう。また、元々は壁があった部分までシンク台を増築し、バーのようにカウンターテーブルを新たに造るとさらにお洒落です。
壁の撤去は「部屋を広くしたい」という要望から実施することの多いリノベーションです。キッチン部分を広げたり、造りを変えたりすることができます。現在の住居がダイニングキッチンの場合、リノベーションの選択肢の一つとして参考にしてみてくださいね。
・壁にまつわるリノベーション
住空間のうち壁が占める割合は高く、手を加えることによって室内の雰囲気を大きく変えられるポイントです。ここでは、撤去以外の方法の壁にまつわるリノベーション事例を紹介します。
壁紙のクロスや材質を変えて部屋の印象をチェンジ
リノベーションの初心者であっても一番実施しやすいのが「クロスの張替え」です。既存の物件は、万人に受け入れやすいようにシンプルな白壁がスタンダードとなっています。「白壁ではでは物足りない人」「部屋とインテリアの統一感を出したい人」「今の部屋のデザインに飽きが来てしまった人」には、クロスの張替えがおすすめです。
壁の一面だけでもお好みのクロスに変更することで、印象はガラリと変化します。最近では海外からの輸入品が増え、日本の物件では見られないような個性的でお洒落な柄が多く流通しているため、ぜひチェックしてみてください。クロスの張替えをすることで「壁を木材で板張りにした天然木の香り漂うリビング」「カラフルなタイルを貼った北欧調のキッチン」など、手軽に部屋の変化を楽しめるでしょう。
壁の内部に断熱材を入れ冷暖効率の良い部屋に
断熱材とは、熱の移動を物理・化学的物性により減少させる素材の総称です。断熱材を壁の内部に入れることによって、外から入る冷気を防ぎ、室内温度を外気へと逃しづらくなります。
冷暖房をつけた際に夏は涼しく、冬は暖かい室温が維持されやすくなることがメリットです。温度変化が小さくなるため、睡眠時にエアコンのタイマーが切れた後でも心地よく眠れるでしょう。エアコンの温度を夏は冷やしすぎず、冬は温めすぎないように設定しても快適に過ごせるため、電気代の節約になり経済的です。
壁を設置して部屋を2つに区切る
壁を撤去する工事とは真逆で「1つの部屋を区切って2つの部屋を造る」というリノベーションです。部屋の間に壁を設置することで、もう1つ新たな空間が誕生します。子ども部屋を増やしたり、趣味の部屋を増やしたりできます。横にスライドさせる可動式の壁であれば、用途に応じて開け放したり部屋を遮ったりできて便利です。
壁に収納や洗面台を取り付ける
壁に直接収納棚を設置することで、今まで使えていなかったスペースを有効活用できます。見せる収納として本や雑貨を置けば、インテリア替わりになるでしょう。
デッドスペースになっていることが多い洗濯機置き場では、棚を取り付けることで収納スペースを確保できます。洗面所の壁には、洗面ボウルや鏡などを取り付け可能です。壁に設備を取り付けることで、空きスペースが狭くても他のレイアウトを圧迫することなくリノベーションできます。
5. まとめ|リノベーションで壁を撤去して理想の間取りを実現しよう
壁を撤去するリノベーションでは、部屋を広げて開放感のある家に仕上げられます。空間を繋げることで部屋全体が広く見えるうえ、風通しが良くなるため心地よく過ごせるでしょう。
ただし、マンションの構造の中には撤去できない種類の壁があるため注意が必要です。また構造上は壊せる種類であっても、家を支える重要な部分を撤去してしまうと倒壊するリスクがあります。リノベーションで壁の撤去を考えている方は、必ず事前に専門家へ相談しましょう。
※2025年3月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです