コスモスイニシアのESGというよりesgのコト

お客さまを置き去りにしないという
サスティナブル

新長期修繕計画

-----このプロジェクトの経緯を教えてください。

定期的に修繕工事を行う長期修繕計画は、今ではマンションの品質維持のためには当たり前の話ですが、
実はこの取り組みを今から30年前に業界で最初に取り入れたのがコスモスイニシアなんです。
それをもっとサスティナブルなものに進化させたいという話が、あるプロジェクトの中で話題に上がり3年前からスタートしました。

企業の環境の取り組みというとCO2の削減だったり再生可能エネルギーの話が多いのですが、
話が大きすぎてどうも実感が湧きづらくて、
でも建物の寿命を延ばすことはシンプルに環境にやさしいし、何より住まい手にとって非常に大きなメリットなると思ったんです。

-----具体的にはどういう取り組みなのでしょうか。

現状、大規模修繕工事は12年サイクルで計画し、それに沿った修繕金の積み立てを行っています。
どうしても築年数が経っていくと修繕個所も多くなり、年々お客さまの積立金の負担額が大きくなってしまうのですが、それにしても毎月の修繕積立金が非常に高くなることに疑問を感じていました。
その頃、他社でももう少し長い修繕サイクルでの取組事例が出てきたのですが、当社も建材を耐久性の高いものに変更し、12年のサイクルを15年、18年に延長することで修繕費用を抑えようという取り組みを検討し始めました。

-----実際に取り組むにあたり難しかったことはありますか?

いざ、取り組みを始めてみると仕様の検討や社内の調整はもちろんのこと、
施工会社や管理会社との調整など社内外に渡りさまざまな関係者との議論を
深めていく必要がありました。
また規模が大きいマンションは一世帯あたりの負担額を抑えやすいのですが、
コスモスイニシアは比較的小規模なマンションが多いため、
どうしてもお客さまの負担額は大きくなりやすい傾向があります。
そのためお客さまの負担をできるだけ減らすにはどのような計画とすべきか、
たくさんの修繕費用のシミュレーションを管理会社にお願いしながら相当頭を悩ませました。

-----それは社内の説得も大変だった?

実は社内の説得という意味ではあまり困りませんでした。
今回の新長期修繕計画を会社に提案した際、ほとんどの人に「それはお客さまにとっても社会にとっても、とてもよい取り組みなのでぜひやるべき!」と言われました。
新築時の建築費はUPするのにですよ!
普通の会社なら、建築費がUPするからという理由で反対する人がいるのが当然だと思うのですが、誰ひとり反対する人がいなかったことには正直驚きでした。
お客さま満足という考え方が当社には昔からあるのですが、それが根付いている証拠ですね。
あとのやり方は任されました。
とにかく実現してくれという感じですね。笑
今回の提案はこれからのコスモスイニシアにとっても大きな指針になる第一歩だったので、もちろん周囲の方にも適宜相談しながら進めましたが、それを私の判断で決めちゃっていいの?という不安となにがなにでも実現しなきゃというプレッシャーはありましたね。
そもそも私個人として絶対に実現したいという思いが一番強かったですが。

コスモスイニシアも企業なので、企業としての社会的責任を果たす必要はあると思います。
環境のことを考えることはもちろん重要ですが、それだけではなくお客さまが置き去りになるようなことはしない、
というのは社内の文化としてあるので、それが守られていれば個々の裁量は大きいですね。

-----お客さまを置き去りにしないというのは具体的には?

世の流れに沿ってサスティナブルな観点や社会的な意義を優先させた取り組みをした結果、お客様にとってメリットがないのは意味がないと思っています。
お客さまのお財布にやさしいことが大事ですし、なにより愛着を持って安心して長くお住まいいただくことで、結果として環境にも優しい取り組みになればと思っています。

佐々木 美帆

建築本部品質管理部

1997年リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。
新築分譲マンション販売を2年間担当した後、約10年間新築分譲マンションの建築を担当。
2人の子どもの出産・育児休暇の後、商品企画課、建築統括課、品質管理課など建築領域に広く携わる。
代表作の「イニシアイオ横濱関内」「イニシア横濱鶴見」にてグッドデザイン賞受賞。
現在は品質管理部で、建物の品質管理とアフターサービスを担当し、さらなる品質の向上を推進する。