『Next GOOD「よい暮らし」「よい社会」の、次のこたえを。』というCSVビジョンを掲げ、マンション・戸建等の事業用地の仕入れから建設・分譲、賃貸・資産運営のコンサルティング等、幅広く不動産事業を展開しているコスモスイニシア。
空間づくりの自由と楽しみを提案するために、オンラインでの内装建材やパーツの販売や、オリジナル商品の開発、リノベーションまで幅広く手がけるtoolbox。そして新しい視点で不動産を発見し紹介していくサイト「東京R不動産」。3社がタッグを組み、これまでと視点を変えて誕生した、リノベーションの新発想。プロジェクトに関わる4名が語ります。
作り込みすぎない、
暮らしの“背景”になる住まい
小林
コスモスイニシアが提案するリノベーションは、暮らす方のニーズに合わせて大きく2つあります。まずひとつは「中古マンションをお客さまのご要望に合わせてリノベーションしていく」というもの。もうひとつは「リノベーション済みマンションを購入していただく」というものですね。
今回のtoolboxさんとのプロジェクトは、既存のこの2つとは少し視点を変えて新しいことをやってみよう!と取り組みました。
プロジェクト第一弾となった西荻台マンションをリノベーションすることが決まったときに、僕からtoolboxさんに「何か新しいリノベーションを一緒にやりませんか?」ってお声がけしたのがはじまりです。
荒川
僕らは、「自分で住まいを作りたいけど使いたい材料がどこに売っているかわからない」というような方にもっと自由に家作りできるようなパーツや設備をご提案しています。小林さんからご相談いただいたときに、建物の外観や共有部のイメージとtoolboxのパーツが使われた内装とが合わさるとすごく良いものが出来そうだね、という話をしました。
石田
このマンションでのデザインコンセプトは、あえて一言でまとめないようにしました。
リノベーションマンションはテーマに沿って作り込んでいるものが多く販売されていて、そういうのが好きな人もいると思うのですが、自分たちが住みたい住まいってもっと「普通」じゃない?という気がするんですよ。でも、意外とそういう部屋って流通してないと感じていて……。
荒川
僕らが扱っているパーツや設備もそういう思いを意識して選んでいる部分があるので、際立った特徴がある住まいをつくるというよりは、住む人の生活が大事で、住まいは背景であればいいなと思っています。だから作り込みすぎない。でも一個一個使っているものには全部ストーリーや理由がある。そんな住まいがいいよね、ということを目指しました。
小林
リノベーションマンションの販売活動を手伝っていただいている東京R不動産の古橋さんからも、「完成されたものよりも、自分で手を加えるところに喜びや価値を見つけてる人が増えている」とお話を伺っていたので、「作り込みすぎない」というところがポイントだなと思いました。
最初はtoolboxさんにはデザイン面でご協力いただきたいなと思ってお声がけしたのですが、お話していくうちに、作り込んだデザインではなく、住まい手のニーズを汲んだ“仕組み”で新しいリノベーションができないか、という方向に進んでいきました。
自分で仕上げるから
“ちょうどいい”
荒川
住まいをつくるという仕事をしている中で、やっぱりいつも最後に判断に迷うところって、リビングと寝室の関係性なんですよね。
この2つは仕様や広さの自由度が高いんです。だからこそ、その2つをどう作るかで暮らしがズバっと決まってしまう。
キッチンはちゃんと使いやすいものであれば良い。玄関もお風呂もトイレもリノベーションとなると選択肢は限られます。そう考えると、最後はやっぱりリビングと寝室をどうつくるかで住まいは大きく変わります。
石田
普段から住まいを作っているプロとして、「この部屋だったらこれが理想だよ」という住まいの基本的なフレームまでは作り、リビングと寝室の間取りの部分はそれぞれ住む人に決めてもらえるっていう仕組みが出来たら良いんじゃないかと。
荒川
そうして寝室とリビングの境の壁の位置や仕様を選べる、というアイデアが生まれました。
石田
リビングと寝室以外も自分に合わせて変えられた方がいいのかという話もあったんですけど、自由度が高まればいいのか?と言われるとそうではないと思っていて。全部壊して自分で一から作り直せば当然自由度は高くなるんですけれど、そうやって「自分で全部やればいいじゃん!」ができる人は少ないと思うんです。
古橋
寝室も広くてリビングも広くて、全部心地よければもちろんベストなんですけど、住まいを探している方ってみんな、予算が限られているなかで、「ここは自分で工夫できる」とか、「ここはこだわりたい」というものを何かしらお持ちだと思うんです。それがどこまで叶えられるかを考えながら内見されている方がほとんど。今回「壁のカスタマイズ」ができることで、お客さまそれぞれが持っている住まいのイメージが実現する可能性はぐっと高まりますよね。
小林
たとえば寝室はできるだけコンパクトにして、最大限リビングを広げたいとか、二人暮らしならベッドルームをゆったりとりたいとか、家族構成やライフスタイルによって希望する間取りって本当にいろいろだと思います。
間取りを少し変えられるようにするだけで一人ひとりに合わせたアジャストができるし、「こういう使い方もできるんだ!」といった新しい発見も生まれます。
古橋
どんな間取りがいいかを話し合うことって、住まいを探したり作ったりするときに一番夢が広がる部分ですよね。完全に妄想だとしても、新しい暮らしを想像して盛り上がれる。間取りが決まったあとは家具が置けるか置けないか、くらいの話しかできないですから(笑)
小林
広い寝室なら作業用デスクも置いて、仕事が終わったらそのままベッドにダイブできるなぁとか、友だちを呼んだ時にはベッドは見られたくないし、リビングは広いほうがいいなぁとか……それぞれありますよね。
チームワークが生んだ、
これまでにない住まい
荒川
なぜこれまでこのような微調整が出来るリノベーションがなかったかというと、普通の会社はやれないからなんです。これってコスモスイニシアさんだからできるんですよ。
コスモスイニシアさんはデベロッパーとして自社で物件を取得し、リノベーションして販売するだけではなく、その後のお客さまのリノベーション工事の施工までできる。良いマンションを見つけられて内装もやって追加のカスタマイズ工事までできる会社だから、このスタイルが可能なんです。ここまでできちゃうって、すごいことなんですよ。
小林
そうですね。一貫して住まい作りが出来るというのは強みですね。
いろいろな物件の情報も集まってきますし、その中で、「すごくいい立地!」とか、「こういうのが好きなお客さまっていそうだなあ」と思う物件があるとすぐに古橋さんに連絡して、「このマンションなんですけど、好きなお客さまいますか?」と聞くようにしています(笑)
荒川
販売する人が側にいるっていう、この連携もまた珍しいですよね。
古橋
一番お客さまに近いところに立っているので、「お客さまがこんなことおっしゃっていたよ」という声は全部小林さんに共有していて。うまくチームが成立しているなと感じます。
完成されているからこそ生まれる
自分らしい空間のイメージ
小林
マンションを取得し、リノベーションして出来上がるまでは、無限に時間をかけられるわけではありません。「ここにも照明を入れたい!」とか「あそこもこうしたい!」と、どんどん追加したくなることも多いのですが、限られた期間の中でできることには限界があります。でも私たちはお客さまのオーダーがあるなら、それには応えられるようにしたいと思っています。
荒川
なんなら自分たちで作ったあとに、全部壊してフルリノベーションでもやるらしいですよ(笑)
小林
それは……(笑)
荒川
え、やらないの?(笑)
小林
いや…(汗)。でもご希望があれば、お客様と相談しながら工事をさせていただきます。※
荒川
ある程度、住まいが完成されているから、
それがお客さまの暮らしをイメージする上でのガイドになっているんですよね。
小林
イメージが湧いて、お客さまの中に「もっとこうしたい!」っていう思いが生まれときに、そこに応えたいんです。お客さまのライフスタイルに合わせるための新しい仕組みなので、やっぱりとことんできないと、と思っています。
石田
例えば「こっちは赤い壁にしたいけど、こっちは白、ここだけは黄色にしたい」とか言われても?(笑)
小林
……やります!(汗)
荒川
せっかくシンプルに作ったのに……。って感じですけれどね(笑)
古橋
でもシンプルだからできるんですよね。今回のプロジェクトで出来上がったマンションって、比較的主張は少ないけど質感があって心地良い物を使っている。ベーシックに作っているからこそ、いろんな想像ができるとお客さまにも喜んでいただけました。
作り込みすぎちゃっていると、「これはいらない」とか「なくしたい」とか、「この壁紙剥がしたい」とか、
引き算の話になったりもしちゃうんで(笑)
石田
そうそう、シンプルなベースがあるから、新しい発想が出てきますよね。お客さまにとっても、ある程度完成されていることでより、「ここをこう変えたい」といった細かい希望が出てくるっていうか。うまく想像できるようになってくると思うんです。
小林
その変化が面白いなあと思ってて。ベースはシンプルなんだけど、最後はその人の個性や好み、生活を反映した部屋になるっていうのが、この取り組みのゴールとして一番面白いところなんじゃないかと思っています。