コスモスイニシアのESGというよりesgのコト

個人の発意から生まれる
チームとプロジェクト

それを見守る会社との心地いい距離感

-----今日はESGのG(ガバナンス)についてお話をお伺いしようと思っています。
ただ、一般的な企業統治や経営の健全性の話ではなく、今日はコスモスイニシアという組織の中でも、個人の発意からプロジェクトを動かしている4名にお集まりいただきました。
今日はどんな4名が集まってくださったのですか?

古田:私が会社全体のESGプロジェクトを担当している中で、社内を見渡して自ら機会を生み出している方や、常識に囚われず活動しているメンバーにお声がけをしました。

田片:それって浮いてるメンバーってこと?笑

全員:笑い

古田:浮いてる人というか会社のルールやさまざまなハードルに対して、一人ひとりに「人とひと」として向き合い、会社のルールに縛られすぎずに個人として自然体でありながら、最終的にはいろいろな人の応援を得て、会社も巻き込んでプロジェクトを実行している人に集まってもらいました。

-----それでは自己紹介も踏まえながらそれぞれのプロジェクトの紹介をお願いできますか。

田片:私は2007年入社、今年で16年目になります。
現在は新規事業推進一課という部署で公的不動産の利活用を推進する事業に取り組んでいます。具体的な活用として2020年に始まったETOWA※1の運営や事業企画も行っています。
また今日ここにいる本木も同部署で、本木は社内の新規事業コンペ(通称GIA)での最終審査を通過し新規事業化に向けたアイデアを実現させる業務を担っていますが、そのような過程で生まれた新規事業の立ち上げも一緒になって推進しております。

-----ETOWAは田片さんが発起人とお伺いしましたがどんな経緯で始まったのですか?

田片:高木塾という会社の中堅従業員向けのプロジェクト型育成プログラムから生まれた企画でした。

当初は地方の不動産を有効活用して植物工場を作りたいと思っていたのですが、敢えてコスモスイニシアがやる意味がなかなか見いだせず、当時の上司に日々相談や指導をしていただいた中で、
「植物工場が作りたいのか。地方や遊休不動産の活用に目を向けたいのか。どっちなんだ?」
そう言われたときに、自分は後者に新しい価値を見出したんだと気付き、改めてやりたいことがクリアになりました。

地方に目を向け、都心の生活者にとって気軽に利用できる魅力的なサービスが増えるだけでなく、地域の不動産を有効的に活用することで地域の人に喜んでいただき、「あなたたちが来てくれてよかったわ」、ってなったら素敵だなと思って。
その想いを実現するために試行錯誤しました。

そこから具体的な事業を構想し、現在のアウトドアリゾート施設「ETOWA」が誕生しました。

今、社内ではグランピングの人(部署)って思われていますが、これも地方ならではの資産に光を当てる一つの手段、これからはもっといろんな活用事業を展開していきたいと考えています。

-----そんな事業部に入ってきた本木さんはどういった経緯で異動されてきたのですか。

本木:新卒で入社し現在4年目の本木です。
先ほど田片からもあった社内の新規事業コンペで最終審査を通過し、そのプロジェクトを実現するために当課に異動してきました。

-----まだ入社歴は浅いものの、かなり意欲的に活動されていますね。

元々のコンペ応募の経緯からお話をすると、まだ1年目で営業だったときに取引先の女性の方と生理休暇の話になり、コスモスイニシアにも制度はあるけど、みんな取れているのかな?
とひっかかるものがあって、社内の同期とか先輩に聞いたら取得したことがある人がだれもいなくて、コスモスイニシアって社員の半分は女性なのにこの取得状況ってどうなんだろう、と課題意識が芽生えました。

ちょうど疑問に思っていたタイミングで社内報の為に先輩社員にインタビューする機会があり、先輩になにかやりたいことないの?と聞かれたときに生理休暇を変えたいってお話をしたらその先輩から
やっちゃいなよ!と背中を押してもらいました。
そんな流れもありインタビュアーとして先輩社員のインタビューをしながらも最後に自分の想いも掲載しました。

古田:そっと自分の意思も差し込んだ?

本木:そうです。そしたら記事を見てくれた同期の阿久澤や根岸も想いに賛同してくれ、同期三人で生理休暇を変える取り組みを行いました。

-----具体的にはなにを変えていったのですか?

本木:まず、名前がよくないよね!ってLifestyle Support休暇(通称L休)という名称に変更し、
生理だけではなく女性特有の病気での休暇取得可能に変更し、取得単位も1日単位じゃなくて通院など数時間単位の取得可能にし、不妊治療の場合など男性も取得できるよう、サポートの範囲の拡大と、もっと軽やかに取得できるようにイメージを変えていきました。

高橋:1年目で会社の制度を変えるのはすごいね。

本木:年次とか関係なくやりたいと思ったらやらせてくれる会社なんだ!って思ってそんなタイミングでコンペがあったので、出してみようかなって同期の木本と応募しました。

-----成功体験の積み重ねでより意欲的になっていったのですね。その新規事業はどういった内容なのですか?

本木:新規事業なので、具体的な内容は今の段階ではお話しできないのですが、せっかく不動産に携わっているから普段の生活の中で一消費者として感じる「もっとこういうものがあったら良いのに」と思うこととを実現するための企画を提案しています。

-----これも順調に進んでいる?

本木:いや、そもそも社長とか役員でそういう体験をしている人が少なくて。笑
やはりそういう体験をしていない方には分かり辛いんだろうな、と。お客さまや当社にとっての価値を私たちがしっかりと伝えないとな、と日々思考錯誤しています。

田片:会社からは高いハードルを設けられているし、時に冷静なブレーキを踏まれることもあるのでバランスが難しいよね!
「ブレーキ」も全然悪いことじゃなくて、もちろん会社なので事業性とか会社としてやる意義みたいなのもすごく重要だと思います。個人の想いだけではなく。
冷静にブレーキを踏んでくれる社内の方や力を貸してくれる会社という存在があるから、今日集まっている、ある種アクセル踏みっぱなしの人が活動できているんだと思います。

高橋:役割分担ですね。

-----高橋さんはどんなアクセルを踏み続けているんですか?

まずは自己紹介からすると、コスモスイニシアは2社目で最初は建築専門誌の編集者をしていたのですが、元々建築学科出身で実業にも興味があって不動産会社を中心に探しているタイミングでコスモスイニシアに出会いました。
今は流通事業部というところでリノベーションマンションの商品企画、設計を中心に活動しております。

アクセルという部分で言うと今もいろいろと仕掛けていますが、例えば元々大学時代の知人でコーヒー染めをされている方がいました。ちょうど同じチーム内にもその方と知り合いのメンバーもいて、これはリノベーションに合うなと話していて、コーヒー染めの張地を使った建具やシェードランプを設置した物件を設計しました。

これも最初は、意味わからない。って言われましたが伝え方や伝える人を巻き込みながら一回やってみたらいいじゃん、というところまで話を進め1件目で好評を得て、現在は5物件ほどに拡大しています。

他にも施工会社の方から間伐材を内装に使えませんか?と提案受けて商品企画部20名ほどで実際に奥多摩の山地に視察に行って森の実態を見てきました。また、以前取り組んでいたCOCOLABOの延長線上で建築学科やインテリア学科の学生と一緒に研究したり住空間をワークショップして実際に作ったり、常にアンテナを張りながら活動しています。

本木:他の部署と比べて社外の協力者や交流を交えながら活動していますね。

高橋:特にリノベーションの場合は部屋単位での設計なので新築と比べたら新しいチャレンジができる環境ですよね。
だったら同じことをしているほうがリスクだと思っていて。
影響が小さいなら色んなことを試してみて、いいものは新築に拡大していけばいいし、ダメならすぐ撤退すればいい。プロトタイプをつくり続けながら挑戦し続けることが大事だと思っています。

田片:僕も本木も当社に新卒で入社し、他社を経験したことがないのですが、他社と比べてギャップを感じたことはありますか。

高橋:ブレーキはたしかに存在しているけど、前職と比べるとかなり前向きなブレーキ。
やっちゃダメというよりやる前提で、大事故にならないように、ちゃんと目的地に最短で行けるように、いろいろとブレーキを踏んでくれる感じ。
あと、業務中にすごい笑いを求めてくるなって。一会議一笑いみたいな雰囲気がある。

古田:たしかに前向きなブレーキかも。
私は一回コスモスイニシアを辞めてカムバック制度で戻って来ているんです。

-----ぜひ古田さんの話も聞かせてください。

私は元々大学の時にフィリピンで未舗装の道を整備したり途上国支援の活動をしたりNPOやNGOに興味があったんです。
大学4年の時にインターンしていたHITOTOWA※2の代表の荒さんが当社のOBでCSR/CSVのコンサルティングをしていてコスモスイニシアにも何度か来ていて、就職活動の時にもコスモスイニシアはCSR/CSVの話もしていて、ここなら社会課題を仕事として取り組るかも。と思って入社しました。

田片:イメージ通りだった?

古田:全然!
配属されたのが分譲販売の部署で「お部屋売ってこーい!」ってなってもちろん1年目だから自分がしたいことはできないのは頭でわかりつつ、社会課題の話をしても周りにも共感されないし、あれ?思っていたのと違ったなと。
もっと社会に役立つことしたいなってもやもやしながら過ごしていました。

そんな中、社内で続けていたのが防災の取組で、コミュニティって色々な入り方や切り口があると思っていますが、防災って子育てとか高齢者とか障がい者も関係なく誰しもが平等に関係するコミュニティーだなと思って、そこでの繋がりが非常時じゃない日常でも生きやすさや、地域活性に繋がるなと感じて継続していました。

高橋:防災セミナーとかやってたよね?

古田:たしか入社2年目くらいだと思うのですが、それが自分から始めた最初の企画で、部署内で防災セミナーを開催しました。

そうしたら同期の子から感化された!とか防災グッズ買ったよ!って声かけてもらって自分から動くことで必ず響いて共感してくれる人がいるんだって心強くなれました。

それでもやっぱり仕事自体のモヤモヤは消えず一度辞めてNPO法人に転職しました。

でも結局、全然自分のやりたいことができなくてそこもすぐに離れました。
その時にはすでにコスモスイニシアは個人のやりたいことをしっかりと受け止めてくれる会社なんだなと感じ始めてはいたのですが、その後は、防災のベンチャーに入りなおしました。

そこでは地区防災計画という取り組みをしていたのですが、辞めてからもつながりのあった同期の田脇と一緒に、コスモスイニシアの地区防災計画を作ってきました。
地区防災計画を作成しているデベロッパーが当初は存在しておらず、お客さまの価値とか、売りっぱなしじゃない姿勢とか、外に出てみて改めてコスモスイニシアの良さを知って戻ってきて、いまは生き生きと働いています。

-----みなさんそれぞれアクセルを踏んでいますが、そのモチベーションの根源みたいなものはなんですか?

田片:私の場合は、自己実現欲求みたいなものかもしれないです。もちろん結果として同僚・会社や社会からの評価がもらえれば嬉しいですけど、それよりも自分が「喜んでもらいたい」・「社会にとって絶対意義があるんだ」と思って進めているからこそ責任感や、ある種の執念みたいものがあるのかも。

高橋:コーヒー染めも似たような想いがあって。自分の発意から始めて、それこそ友人を巻き込んで進めたプロジェクトだと、途中で辞めちゃったら友人に申し訳ないし、一緒にやっていたメンバーもいて、お客さまにとっても価値あることだと信じているからこそ、辞めてしまったら損だなと思って自分を信じて突き進みました。

古田:私も販売だけやりなさいだったら戻って来てないかも。
通常の業務はもちろん、個人発意のプロジェクトも会社としてのアウトプットになるからいい意味でプレッシャーを感じながら取り組んでいます。

本木:私の新規事業もです。
ブレーキは踏まれながらも実現に向けて信じてくれて、任せてもらっているので責任は重大ですが、せっかく会社が信じてくれているのにその想いを裏切れない!と日々奮闘しています。

田片:自分の成し遂げたいコトとか、自己実現できる環境というか声を上げたら会社は否定せず、むしろ応援してくれる環境っていうのが土壌にあるのかも。

あと、これは自分が採用されるときから今も大切にしている考え方で「なにをやるかではなく、誰とやるか」っていうのをすごく意識していてそれはいまも変わってないかなと思います。

誰かが声を上げたらそれをきっかけにこの人と一緒に仕事したいなって思ったら、本木とか古田みたいに仲間が集まり、上司も実現できるようアドバイスをくれたり、繋がりの中から間伐材の相談がきたらそれを事業で活用してみたり。

それぞれが自分の自己実現の為にいろいろな人の共感を得ながらアクセルを踏み、会社が前向きなブレーキを踏みながら個々の想いを形にしていく関係性なのかも。

※1『ETOWA』について
『ETOWA』は「会(エ)と話(ワ)」をコンセプトとし、株式会社コスモスイニシアが運営するアウトドアリゾートです。2020年の『ETOWA KASAMA(茨城県笠間市)』の開業に続き、2022年に2施設目の『ETOWA KISARAZU』を開業しました。自治体等が所有する遊休不動産を利活用する『ETOWA』の運営を通じて、関係人口(移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと)の創出、観光・産業振興など、地域活性化に通じる民間企業ならではのノウハウを活かし、国や地方自治体が抱える公共施設の価値向上・ 財政負担軽減といった社会課題の解決と、地域との関係人口の創出への貢献を図っています。

※2 HITOTOWAについて
「HITOTOWA」は、コスモスイニシアOBの荒昌史氏が2010年に創業。
人と和のために仕事をし、企業や市民とともに、都市の社会環境問題を解決する会社です。防災減災、子育て、お年寄りの生きがいの創出。それらを地域住民の方々が助け合って行動できるように。そのための事業を行なっています。
https://hitotowa.jp/

田片 有利

R&D部門R&D戦略部新規事業推進一課

2007年コスモスイニシア入社。新築分譲マンションの販売、建設会社への現場出向、経理財務、一戸建住宅の建築担当とさまざまな部署を経て2018年から新規事業の推進を担当。
現在は、当社の中堅従業員向けのプロジェクト型育成プログラム「高木塾」によって承認を得た公的不動産の利活用事業を推進。2021年にグッドデザイン賞を受賞したアウトドアリゾート「ETOWA」やオフサイトミーティング施設「OUT WORK」の運営や事業推進を担当する。

本木 寧々

R&D部門R&D戦略部新規事業推進一課

2020年コスモスイニシア入社。企画開発本部で土地・建物仕入れ営業を担当する。2022年に新規事業コンペ(通称GIA)に応募した案件が最終審査を通過し、2023年からR&D部門へ異動。「ETOWA」の運営や、新規事業提案を担当する。入社1年時には同期と一緒に人事を巻き込み、Lifestyle Support休暇を提案し、より女性が働きやすい環境づくりを推進。

高橋 晴彦

レジデンシャル本部流通事業部商品企画部建築一課

2014年コスモスイニシア入社。賃貸事業部にてサブリース受託の仕入れおよびサブリースオーナー担当業務を行う。2017年から流通事業部でリノベーションマンション(買取再販)の仕入を担当後、現在は建築を担当。流通事業部内のESG活動として、アップサイクルや間伐材利用、古材利用などのプロジェクトを推進。また、お客さまから請け負うリノベーション工事も担当する。

古田 白峰

レジデンシャル本部流通事業部・統括部

2016年コスモスイニシア入社。分譲事業部にて4年間新築マンション営業を担当。2020年退社。NPO、ベンチャー企業を経験し、社内のカムバック制度を利用し再入社。流通事業部へ配属となり、中古マンション・一戸建の仲介、販売を担当。現在、全社ESG推進プロジェクトも担当し、全社・事業部内のESG活動を推進。