RESEARCH
「シェア」について考える
シェアを基盤とした居住スタイルを考えるにあたり、プロジェクトチームは、まず「シェア」がどのくらい身の回りで広がっているのか250の事例をリサーチ・分類し、さらに国の制度について調査した。
シェア事例のリサーチ・分類
- Step1. 「シェア」の分類軸を設定
- Step2. 1の観点から新聞・雑誌・Webサイトなどを検索し、「シェア」に関わる事例を250個収集
- Step3. 2で収集したものを集約・分類
- Step4. シェア型の居住スタイルに示唆する観点を検討し、フィールドワーク調査の対象事例を設定
シェアの分類軸(抜粋)
250の事例からシェアされている対象を分類した。
国の制度
都市と地方を行き来する居住スタイルは1980年代から提唱されている。
マルチハビテーション
1987年に策定された第四次全国総合開発計画のなかで、特定の地域への過度な集中を是正するとともに、地域間の相互交流を重視し地域活性化につなげる意図のもと提唱された。
交流居住・デュアルライフ・二地域居住
都市住民の多様なライフスタイルを実現するための手段の一つとして、特定の地域に定期的・反復的に滞在する生活の拠点を持つことが提唱された。総務省※1は、2001年より過疎地域の自立・活性化施策の一つとして「交流を主たる目的として田舎と都市を行き来するライフスタイル=交流居住」を提案し、2002年に農林水産省※2が、都市と農産漁村の強制・対流を目的としたライフスタイル(デュアルライフ)を提唱した。2005年には、国土交通省※3が都会に暮らす人が、週末や1年のうちの一定期間を農山漁村で暮らす「二地域居住」を提唱している。国土交通省※4の予測によれば、2030年には1,000万人を超える人々が二拠点および他拠点の生活をすると言われている。
シェア型の居住スタイルは、交流人口を増やし、地域を活性化することに加え、生活者一人ひとりの暮らしのニーズを満たす手段としても大切なものになりつつある。