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大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

SPECIAL CONTENTS

職人の仕事

何百年も受け継がれたものを、何十年も受け継がれた技を未来に残す。
その物語とともに過ごすことの贅を尽くす。

THE WORK

時を刻むごとに、
変わる姿を慈しむ
人は天然石で垣をつくり、樹木を住まいの梁や柱とし、土を使って瓦を焼き、風雨から暮らしを守ってきた。楮から生まれる紙は文字を後世に残すとともに障子として外界からほのかな明かりをとり、空間に陰影を生んだ。それらの天然素材は日々の営みの中で、竈や炉からの煤に黒ずみ、何かの拍子に傷が入り、虫が喰い——より豊かな表情となった。不思議なことではあるが、私たちはそれらを過去の遺物とは思っていない。あらゆる素材の工業化が推し進められた今、むしろ逆に普遍的風景として憧憬が高まっていないだろうか。伝統工芸に携わる職人たちが見据えているのは未来だ。過去の技術をただそのまま反復しているのではない。芯にあるのは何十年も経年変化を重ねながらその表情を豊かにしてゆく天然素材、そうしたものに囲まれて暮らすことの言葉にしがたい寛ぎへの共感。伝統工芸の使命とは、過去を模倣することではなく、普遍の価値を次代へと受け継いでいく営みであり、現在に生きる者の責務として、なくてはならないものを自らの手仕事によって未来へ渡すことであった。この一邸に、そうして受け継がれ、未来へと残していくべき工芸を刻む。
THE WORK 01
大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

例え話として、建築の「築」という字は、竹に土に瓦に木と書く、ということを言うんです。画一的で均一な人工建材、樹脂にプラスチックに塗料では、この漢字はできないんだと。ご存じの通り瓦には約1400年ものあいだ先人たちが知恵と努力を重ねて受け継いできた文化があります。そして何より、土という地球由来の素材ということがあります。いわゆる四大元素、風・火・水・土のひとつであり、この世から絶対に消えない普遍的な素材なのです。本件では建物の外壁や床といった目に触れやすい部分を担います。地球由来の普遍的な素材がつくりだす空気感が、根源的に心に響く価値、本当の豊かさというものに触れるきっかけになればと考えています。

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社(2024年9月撮影)

大栄窯業株式会社
道上 大輔

故郷・淡路島の恵みである土の可能性を追求し、屋根瓦以外の瓦製品開発への取り組みを通じ、伝統産業の未来づくりに挑戦している。
本件では外壁・エントランスホール・アプローチ床・バルコニー床・一部玄関床の瓦タイル・庇の瓦を担当。

THE WORK 02
株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

日本には木とともに暮らしてきた文化があります。そして例えば古い町家の梁、床、また家具として経年変化を重ねてきた天然木は佇まいの気配が違います。私は取り壊された町家のそうした古材を、先達がどういう風に暮らしていて今その材があるのか、そんな物語も含めて受け継ぎ、新しい形にして未来へと渡しています。本件においては共用部に置かれる古材のベンチなどを担当します。京都で使われていたものを京都でもう一度使う。何十年と使われたものを磨き直してもうあと何十年使う。伝わってきたよき天然木古材が新たな住まいに息づき、時代が変わろうとも、変わることなく住まう方の穏やかな心を育むものであったらと願っています。

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉(2024年9月撮影)

株式会社丸嘉
小畑 隆正

天然木の目利き・製品化に加え、古民家の古材をリユースすることで木の持つ価値や物語まで伝える。
本件ではエントランスベンチ、専有部フローリング(オプション)を担当。

THE WORK 03
株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

京名栗という加工を親子四代約100年に渡って継承しています。京名栗とは栗の木の表面をちょうなという大工道具でハツり、つまり削って表情をつける加工のこと。今や京都で唯一名栗加工ができる銘木店ということで京都御苑や桂離宮の橋の改修にも携わりました。職人による手作業なので一定の調子ではなくいわば不揃い。今はみなツルツルのきれいな木肌に慣れてしまっていますが、ハツることで木の表面に凹凸ができ、光と影による豊かな表情が出てきます。今回のプロジェクトではオプションとして、玄関框・キッチン腰壁(オプション)に使われます。「手ざわり・足ざわり」がよく、長年使い込むほどに色が変わって味が出る京名栗の肌合いをぜひ味わってください。

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社原田銘木店(2024年9月撮影)

株式会社 原田銘木店
原田 隆晴

京都の茶室や数寄屋建築に欠かせない柱や板の表面加工技術「京名栗」を、京都で唯一継承。本件では専有部の玄関框・キッチン腰壁(オプション)を担当。

エントランスアプローチ完成予想CG ※1

エントランスアプローチ完成予想CG ※1